FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月23日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数ともに反発する展開になった。スポーツ用品ブランドのナイキ(NKE)の好決算を好感した買いや金利高の恩恵を受ける銀行セクターの上昇がけん引し、寄り付き後は上昇した。連邦準備制度理事会(FRB)が引き締めペース加速の必要性を主張し、高インフレへの対応を強化する方針を示したことが中銀への信頼回復に繋がったことも買い材料になり、終日堅調に推移した。ハイテク株の買いも継続した。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを急ぐとの観測が強まる中、この日も債券売り(利回りは上昇)が続いた。利回りは一時2.3898%前後と2019年5月以来の高水準を付けた。なお、米金融大手ゴールドマン・サックスは『FRBは5月と6月に連続して0.50%の利上げに踏み切る』と予想している。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したうえ、主要三指数も反発したことで、イールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。そのため、割高感が急速に強まっている。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まっていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価が売られやすい。米国株のVIX指数は23.53から22.94へ低下した。VIX指数が30台割れとなったものの、20超えの高水準で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.271%

・直近イールドスプレッド縮小:20/10/12-▲2.847%、 21/1/11-▲2.611%

                21/10/21-▲2.758%、22/3/21-▲2.358%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月21日:▲2.358%⇒3月22日:予想▲2.234%(前日比で縮小:割高)

 

3月22日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.271%から▲1.037%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.992%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.868%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲2.307%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.783%下回った。NYダウは、ウクライナ情勢が膠着状態となる中、前日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長発言を受けてより積極的な利上げを織り込む動きが強まった。長期金利の上昇を背景に金融株が上昇したほか、金利上昇が逆風となるハイテク・グロース株も軒並み上昇した。NYダウは254.47ドル高(+0.74%)と反発し、前日の下落幅を回復した。前日に売られたボーイングが2.76%高と反発し、好決算を発表したナイキも2.23%上昇。このほか、JPモルガン・チェース、インテル、セールスフォース、アップルが2%超上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.782%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

               21/1/11-▲2.320%、22/3/21-▲2.611%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月21日:▲2.611%⇒3月22日:予想▲2.467%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.781%から▲0.314%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.402%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.535%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.712%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲2.032%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.755%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.763%

・直近イールドスプレッド縮小:21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

              21/11/23-1.299%、22/3/21-1.139%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月21日:▲1.139%⇒3月22日予想▲0.983%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQが反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.763%から▲0.780%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲1.196%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.400%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.515%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.820%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲3.111%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も大幅反発したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いが続いている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.0%割れまで縮小したことで、割高感が非常に強まっている。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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