FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月19日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したものの、イールドスプレッドは前日比で三指数ともに拡大(米国10年債金利に対して前日比で米国株は割安)した。三指数とともにイールドスプレッドは再び拡大したことで割安感が強まっている。米国ではFRBによる利下げや量的緩和、さらに大規模な財政政策などの動きはあるが、今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は一時的なものになりやすい。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、原油価格も下げ止まると安心感が出てくる。三指数ともにイールドスプレッドが再び拡大したことで割安感が強まった。

 

NYダウは、2月12日の高値29,569ドルから下落率20%の23,655ドルを下回ったことで、テクニカル的には『弱気相場』入りとなっている。また、心理的節目となる2万ドルを下回った。下値を切り下げているほか、真下を向いている5日SMAがレジスタンスとして意識され下落基調が継続している。5日SMAや10日SMAがロウソク足とかい離があり追いつくまでは、不安定な値動きになりやすい。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、低位で%Dが横ばいとなってきておりオシレータでは下落の勢いが鈍化したことを示している。リスク回避の動きが強く、ネガティブな材料に反応しやすい地合いとなっている。一方、好材料が出てくると、割安感が強いだけに一気に上昇基調となり上下に大きく振れやすい地合いが継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲5.108%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/16-5.808%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月17日:▲5.061%⇒3月18日:予想▲5.370%

 

3月18日のNYダウが大幅反落した一方で、米長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲5.108%から▲0.262%とと平均値よりかい離していることで割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+1.144%と上回っている。19年8月5日の大底▲4.102%を+1.268%と上回っている。20年2月28日の大底4.541%と+0.829%上回っている。20年3月16日の5.808%から▲0.438%かい離した。

 

NYダウが大幅反落したことで株式益利回りは上昇した。一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。NYダウは、約3年1カ月ぶりに節目の2万ドルを下回った。新型コロナウイルスの感染拡大への懸念から売りが膨らんだ。原油先物価格の暴落を背景にシェブロンやエクソンモービルなど石油株が急落し指数を押し下げた面もある。NYダウは一時2300ドルを超す急落となり、今月4回目となる『サーキット・ブレーカー(取引を一時停止)』を発動した。市場では『ヘッジファンドなどの売りが断続的に出ている。売りが売りを呼ぶ展開』との声が聞かれた。NYダウは2016年11月にトランプ政権発足後の上昇を全て消し た。VIX指数は75.91から76.45へ上昇した。

 

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲4.581%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/16-▲6.043%

・3月17日:▲5.295%⇒3月18日予想▲5.537%

 

S&P500が大幅反落した一方で、米長期金利が上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.581%から+0.956とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+1.668%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+1.535%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+1.358%上回った。20年2月28日の大底4.499%まで+1.038%上回った。20年3月12日の5.806%から▲0.269%かい離した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.954%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.009%

・3月17日:▲3.470%⇒3月18日予想▲3.588%

 

NASDAQが大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.954%から+0.634%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+1.409%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+1.205%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+1.090%上回った。20年2月28日の大底2.803%まで+0.785%上回った。20年3月16日の▲4.094%から▲0.506%かい離した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場では、大幅反落したことで過去のイールドスプレッドを上回るなど割安感を維持している。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、急速な戻り基調となりやすい。イールドスプレッドが再び拡大し▲3.5%後半まで拡大しており割安感が強まっている

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が大幅反落した一方で、米長期金利は上昇したものの三指数ともに前日比で拡大した。市場では『ヘッジファンドなどの売りが断続的に出ている。売りが売りを呼ぶ展開』との声が聞かれた。また、原油価格が30ドル割れとなるなどリスク回避の動きが強まった。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況が続いている。イールドスプレッドが再び拡大したことで、売られ過ぎによる割安感が強まった。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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