FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月13日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも大幅下落したうえ、米長期金利も低下したことで、イールドスプレッドは前日比で三指数ともに大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三指数とともにイールドスプレッドは拡大したことでかなり割安感が強まっている。そのため、反発すると大きくなりやすい。米国ではFRBによる利下げや量的緩和などの動きはあるが、今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げや量的緩和、財政政策などを実施しても市場の不安は払しょくしない。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、原油価格も下げ止まると安心感が出てくる。三指数ともにイールドスプレッドが大幅に拡大したことから、かなり割安感が強まっている。

 

NYダウは、2月12日の高値29,569ドルから下落率20%の23,655ドルを下回ったことで、テクニカル的には『弱気相場』入りとなっている。そのため、下値模索の展開となり大きく下落基調が続いている。早々に回復出来ないと、上昇トレンドから下落トレンド入りとなる。また、5日SMAと10日SMAが真下を向いていることから、下落の勢いが強いことを示している。そのため、5日SMAや10日SMAがロウソク足に追いつくまでは、不安定な値動きになりやすい。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを下抜けして両線ともに下向きとなってきたことで下落の勢いが強いことを示している。リスク回避の動きが強く、ネガティブな材料に反応しやすい地合いとなっている。一方、好材料が出てくると、割安感が強いだけに一気に上昇基調となりやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲5.066%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/9-5.344%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月11日:▲4.978%⇒3月12日:予想▲5.694%

 

3月12日のNYダウが大幅下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲5.066%から+0.628%とかい離が逆転していることで割安になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+1.468%と上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を+1.592%と上回った。20年2月28日の大底4.541%と+1.153%上回った。20年3月9日の5.344%と+0.35%上回った。

 

NYダウが大幅下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したがイールドスプレッドは前日比で大幅拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。

米国が新型コロナウイルスの拡大阻止のため、英国を除く欧州からの外国人の入国禁止を発表すると、経済活動が世界で収縮する懸念が強まり売りが膨らんだ。今週2度目となる「サーキットブレーカー」が発動され、取引が一時停止される事態となった。下げ幅は過去最大となり、下落率は87年10月19日のブラックマンデー以来の大きさだった。米連邦準備理事会(FRB)が追加レポオペで1兆5000億ドルを供給すると伝わると715ドル安まで下げ幅を縮小する場面もあったが、戻りは鈍かった。VIX指数は 53.90から75.47と大幅上昇した。過去最大は2008年の89.53だった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲4.496%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/9-▲5.461%

・3月11日:▲5.125%⇒3月12日予想▲5.819%

 

S&P500が大幅下落したうえ、米長期金利も低下したがイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.496%から+1.640とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+1.950%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+1.817%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+1.640%上回った。20年2月28日の大底4.499%まで+1.320%上回った。20年3月9日の5.461%と+0.358%かい離した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.902%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/9-▲3.685%

・3月11日:▲3.366%⇒3月12日予想▲3.872%

 

NASDAQが大幅下落した一方で、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.902%から+0.526%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+1.693%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+1.489%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+1.372%上回った。20年2月28日の大底2.803%まで+1.069%上回った。20年3月9日の▲3.685%と▲0.187%上回った。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場では、大幅反発したものの過去のイールドスプレッドを上回るなど割安感を維持している。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、急速な戻り基調となりやすい。イールドスプレッドはなお▲3.8%台まで拡大しておりかなり割安感が強まっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が大幅下落したうえ、米長期金利が低下したことで三指数ともに前日比で大幅拡大した。米政府による大規模経済対策への期待がはく落したことや、新型コロナウイルスの感染拡大でWHOが『バンデミック』宣言したことでリスク回避の動きが継続した。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況が続いている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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