FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月12日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、3指数全てで上昇する展開となった。週次の新規失業保険申請件数が減少したほか、1月JOLT求人件数も予想外に増加するなど良好な雇用関連指標を好感し寄り付き後、上昇した。米追加経済対策が成立したことで、景気回復が勢いづくとの期待から幅広い銘柄に買いが入った。長期金利動向の混乱も鎮静化したため、ハイテクなど高PER(株価収益率)銘柄も買われた。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に反発し、同329.84ポイント高の13398.67で取引を終えた。電気自動車(EV)のテスラや半導体のエヌビディアの上昇が目立った。NYダウは連日史上最高値を更新し引けた。一方米長期金利は、バイデン米大統領は11日、予定より1日早く1.9兆ドル規模の追加経済対策に署名し、法案が成立した。米追加経済対策の成立で、景気回復が早まるとの見方から米株式相場が上昇し、相対的に安全資産とされる米国債には売り(利回りは上昇)が出た。なお、30年債入札は『無難』な結果だった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が残っており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。ただ、米長期金利の上昇が止まらないことから、市場に警戒感が強まっている。米FRBが長期金利の上昇に懸念を示すまでは上昇基調が続く可能性があり、株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は25.47から22.56へ低下した。VIX指数がえ22半ばで推移していることで不安定な値動きが継続しやすい。20を割れるまでは不安定な動きが継続する。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.310%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月10日:▲2.832%⇒3月11日:予想▲2.787%(前日比で縮小:割高)

 

3月11日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.310%から▲0.523%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.439%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.315%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.754%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.230%下回った。NYダウは、1400ドルの現金給付や約200億ドルのワクチン対策費用を含む1.9兆ドルのコロナウィルス救済法案がバイデン米大統領の署名により成立したことが好感されたほか、半導体株を巡り米中が実務者協議を開始することや、新規失業保険申請件数が予想を下回ったこと、長期金利が落ち着いた動きとなったことも投資家心理の改善につながった。NYダウは一時364ドル高まで上昇し、188.57ドル高(+0.58%)と5日続伸して終了した。4日連続で終値の最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.773%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月10日:▲2.745%⇒3月11日:予想▲2.682%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.773%から▲0.091%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.187%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.320%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.497%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.817%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.540%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.790%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月10日:▲1.377%⇒3月11日予想▲1.286%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.790%から▲0.504%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.893%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.097%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.212%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.517%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.808%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も大幅反発したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台後半まで縮小して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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