FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月10日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも大幅下落したうえ、米長期金利も0.5%台と低水準に低下となったことで、イールドスプレッドは前日比で三指数ともに大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三指数とともにかなり割安感で出てきていることから、反発すると大きくなりやすい。米国ではFRBによる利下げや財政政策拡大の動きはあるが、今回のリスク回避の動きは新型コロナウイルスの感染拡大や原油急落にある。そのため、利下げしても財政政策を実施しても市場の不安は払しょくしない。まずは、感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチンが開発されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続く。また、原油価格も下げ止まると安心感が出てくる。三指数ともにイールドスプレッドが大幅に拡大したことから、かなり割安感が強まっている。

 

NYダウは、2月12日史上高値の29,568ドルから下落率20%の23,654ドル寸前まで下落したものの、下抜けることなく終了した。しかし、5日SMAの25,769ドルと10日SMAの26,076ドルが真下を向いていることから、下落の勢いが強いことを示している。そのため、5日SMAや10日SMAがロウソク足に追いつくまでは、不安定な値動きになりやすい。一方、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、再び%DがSlow%Dを下抜けしたことから、下押しバイアスが強まってきている。米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドが大幅拡大しており、割安感が強まっている。リスク回避の動きが強く、ネガティブな材料に反応しやすい地合いとなっている。好材料が出てくると、割安感が強いだけに一気に上昇基調となる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.960%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/6-4.764%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月6日:▲4.764%⇒3月7日:予想▲5.447%

 

3月9日のNYダウが大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.960%から+0.487%とかい離が逆転していることで割安になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+0.523%と上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を+1.345%と上回った。20年2月28日の大底4.541%と+0.906%上回った。20年3月6日の4.764%を+0.683%と上回った。

 

NYダウが大幅下落したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で景気や企業業績の減速懸念が一段と高まるなか、原油価格の急落が売りに拍車をかけた。S&P500種株価指数は寄り付き後まもなく7%超急落し、売買を一時中断する措置(サーキット・ブレーカー)が発動され15分間取引停止となった。なお、サーキット・ブレーカーが実施されるのは今の制度が2013年に導入されて以来初めてとなる。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲4.348%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/6-▲4.829%

・3月6日:▲4.829%⇒3月9日予想▲5.505%

 

S&P500が大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.348%から+1.157とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+1.636%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+1.503%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+1.326%上回った。20年2月28日の大底4.499%まで+1.006%上回った。20年3月6日の4.829%を+0.676%上回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.811%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/6-▲3.183%

・3月6日:▲3.183%⇒3月9日予想▲3.707%

 

NASDAQが大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.811%から+0.896%とかい離が逆転していることで割安になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+1.528%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+1.324%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+1.209%上回った。20年2月28日の大底2.803%まで+0.904%上回った。20年3月6日の▲3.183%に対して+0.524%上回った。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場では過去のイールドスプレッドを上回るなど急速に割安感が高まっている。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、急速な戻り基調となりやすい。イールドスプレッドが一気に▲3.70%台まで拡大しており割安感がより強くなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことで三指数ともに前日比で大幅拡大した。新型コロナウイルスの感染拡大や原油価格の急落などにより、世界的な景気悪化懸念も加わり大幅に下落した。また、全般的には米長期金利が0.5%台の低水準で推移していることから、株価には割安感が強い。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況となっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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