FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月10日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て大幅反発する展開になった。ロシア、ウクライナ外相会談を10日に控え停戦期待に寄り付き後は上昇した。1月JOLT求人件数が過去最高となったほか、石油輸出国機構(OPEC)の増産期待に原油価格が高値から大きく反落すると、スタグフレーション懸念も後退し投資家心理の改善で一段高となった。さらに、ウクライナのゼレンスキー大統領が『ある程度妥協する準備がある』と発言すると、引けにかけてさらに上げ幅を拡大した。3日の高値から昨日の安値までの4営業日で1600ドル超下げていたこともあり、短期的な戻りを見込む買いも入りやすかった。一方、長期金利は、ウクライナ情勢の緊張緩和期待を背景に、相対的に安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。米10年債入札が『低調』との見方も売りを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は大幅上昇したうえ、主要三指数も大幅反発したことでイールドスプレッドは三指数ともに大幅縮小した。前日比で大幅に縮小したことで割高感は強まった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価がが売られやすい。米国株のVIX指数は35.13から32.45へ低下した。しかし、VIX指数が30台で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続している。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.272%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・3月8日:▲3.046%⇒3月9日:予想▲2.843%(前日比で縮小:割高)

 

3月9日のNYダウが大幅反発したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.272%から▲0.429%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.383%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.259%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.698%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.174%下回った。NYダウは、前日まで大幅に4日続落したことで自律反発が期待される中、原油をはじめとした商品先物相場が大きく下落したことでスタグフレーション懸念が後退した。足もとで大きく下落した銘柄が軒並み大幅反発した。NYダウは653.61ドル高(+2.00%)と5日ぶりに反発いした。シェブロンが2.5%下落したものの、セールスフォース、アメリカン・エキスプレスが5%超上昇し、ナイキ、マイクロソフト、ビザ、JPモルガン・チェースも4%超上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.781%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・3月8日:▲3.373%⇒3月9日:予想▲3.136%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500は大幅反発した一方うえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.781%から+0.355%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.733%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.866%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.043%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.363%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.086%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.764%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・3月8日:▲1.851%⇒3月9日予想▲1.616%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反発したうえ、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.764%から▲0.148%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.563%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.767%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.882%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.187%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.478%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇したうえ、株価も大幅反発したことで前日比で大幅縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。ただ、NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台前ばまでスプレッドが縮小して、平均値を下回ってきたことで割高感はやや強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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