FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで3月1日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は反落した一方で、ナスダック総合は続伸する展開になった。ウクライナ危機を受け政府はロシア中銀との取引禁止を発表するなど、対ロ制裁を強化したため、寄り付き後は下落した。ロシアのプーチン大統領も報復制裁を発表すると、警戒感が強まり一時580ドル超まで下げ幅を拡大した。同時に、ロシアとウクライナが初の停戦協議を開催、一定の成果が見られ、近く2度目の開催で合意したことが報じられたほか、金利の低下に伴うハイテク株の上昇にも支えられ、引けにかけダウは下げ幅を縮小した。一方、長期金利は、ロシアのウクライナ侵攻に対し、欧米諸国がロシアに厳しい経済制裁を発動した。世界経済の先行き不透明感が強まり、相対的に安全資産とされる米国債には買い(利回りは低下)が集まった。市場では『月末の機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買いが入った』との声も聞かれた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅に低下した一方で、主要三指数はまちまちの動きになったものの、イールドスプレッドは三指数ともに拡大した。S&P500指数は3.0%台を再び回復してきたことで、割安感はやや強まった。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価がが売られやすい。米国株のVIX指数は27.59から30.15へ上昇した。しかし、VIX指数が30台で推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.273%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月25日:▲2.676%⇒2月28日:予想▲2.840%(前日比で拡大:割安)

 

2月28日のNYダウが反落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.273%から▲0.433%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.386%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.262%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.701%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.177%下回った。NYダウは、ウクライナ情勢や、欧米による対露経済制裁の世界経済への影響をにらんで神経質な展開となった。NYダウは166.15ドル安(-0.49%)と3日ぶりに反落した。一時、589ドル安まで下落したが、取引終盤に下落幅を縮小した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.780%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月25日:▲2.998%⇒2月28日:予想▲3.152%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は反落したうえ、米長期金利も大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.780%から+0.372%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.717%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.850%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.027%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.347%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.070%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.764%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月25日:▲1.468%⇒2月28日予想▲1.595%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.764%から▲0.169%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.584%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.788%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.903%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.208%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.499%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価が続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台後半までスプレッドが拡大してきたものの、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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