FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月7日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数が上昇した一方で、米長期金利は小幅に低下したもののイールドスプレッドは前日比で三指数ともに連日縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。新型コロナウイルスの治療薬開発前進や中国の対米関税引き下げを好感した買いが優勢となった。

 

NYダウは、5日SMAと10日SMAが上向きとなってきており、25日SMAに向かって上昇してきたことで再び強い相場となってきた。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜けしてきており、明確な戻り基調となっている。ただし、株価上昇と米長期金利の上昇により、以前ほどは割安感はなくなっている。昨日は米長期金利は小幅に低下したが、リスク選好の動きから金利は上昇しやすい。そのため、イールドスプレッドが縮小しやすく株価に割高感が生じる。米長期金利の動向がポイントとなる。

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.241%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

               20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月5日:▲3.326%⇒2月6日:予想▲3.316%

 

2月6日のNYダウが上昇した一方で、米長期金利は小幅低下したがイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.241%から▲0.925%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井となった▲3.069%まで▲0.247%に接近した。19年4月25日の天井となった3.048%まで▲0.268%に縮小した。20年1月17日の天井となった▲3.018%まで▲0.298%まで接近した。NYダウが戻り基調となっている一方で、米長期金利も1.6%台に上昇してきていることから、イールドスプレッドは縮小傾向にある。

 

NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利は小幅に低下したがイールドスプレッドは前日比で縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。中国政府が14日より米国からの輸入品750億ドル相当に対する関税を半減させることを発表したものの、利益確定の動きから、寄り付き後は揉み合う展開となった。その後は、コロナウィルスを巡る懸念が一服したこともあり、堅調推移となった。米国主要3指数は史上最高値を更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.616%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

                20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・2月5日:▲3.366%⇒2月6日予想▲3.354%

 

S&P500が上昇した一方で、米長期金利は小幅に低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.616%から▲0.262%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.623%に接近した。19年4月25日の天井となった▲2.966%まで▲0.388%に接近した。20年1月17日の天井となった2.990%まで▲0.364%に接近した。

 

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.292%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・2月5日:▲2.146%⇒2月6日予想▲2.125%

 

NASDAQが上昇した一方で、米長期金利は小幅に低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.292%から▲0.167%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.927%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.657%に接近した。イールドスプレッドは2.1%台となっていることから、割高感はまだないものの、割安感は払しょくされてきている。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。『第2段階合意』に向けて米中間で協議される。そのため、今後も米中貿易摩擦に関する報道に振られる展開が予想される。また、中国発の新型コロナウイルスの感染が拡大してきた。一方で、新型コロナウイルスの治療薬開発で前進との報道もあり、先行きに明るさも見られる。2003年に発生したSARS発生後では、中国GDP第1四半期は11.1%だったが、第2四半期のGDPは9.1%に低下した。そのため、感染拡大の規模が大きくなると中国経済に悪影響を与え、NASDAQの上値も抑えられる。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数とも上昇した一方で米長期金利が小幅に低下したものの三指数ともに前日比で縮小した。新型コロナウイルスの感染が拡大しているものの、治療薬開発で前進との報道でリスク選好と動きとなった。また、引き続き中国の景気対策を受けて中国や世界の景気が下支えされるとの期待感によるリスク選好の動きが続いた。リスク選好の動きとなったものの、1月米雇用統計の発表を控えポジション調整による債券買いが入り米長期金利は小幅に低下した。ただ、イールドスプレッドは縮小傾向にあり、割安感は払しょくされてきている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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