FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月5日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数が大幅上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。中国の景気対策の発表で、中国や世界の景気が下支えされるとの期待から株高となった。しかし、新型コロナウイルスの感染者拡大や死者数増が続いており、リスク選好の動きが継続するかは不透明感がある。ネガティブな報道で株価が大幅下落しやすいので十分注意する必要がある。ウイルスのワクチン完成や感染者が縮小するような動きになるまでは、リスク回避の動きが継続しやすい。

 

NYダウは、大幅上昇したことで5日SMAの28,611ドルは上抜けしたものの、25日SMAの28,828ドルがレジスタンスとなり上値を抑える展開となっている。5日SMAが横向きとなっており、今晩の動きがポイントなる。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%DがSlow%Dを上抜けしてきており、戻り基調となってきた。そのため、下落の勢いが鈍化してきている。さらに、欧米貿易協議の行方と米企業決算結果やコロナウイルスの感染拡大報道などで上下に振れやすくなっている。割安感の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.371%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

               20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月3日:▲3.586%⇒2月4日:予想▲3.437%

 

2月4日のNYダウが大幅上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.371%から▲0.934%と平均値よりかい離していることで現在は割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を▲0.789%と縮小した。19年6月3日の大底4.038%を▲0.601%と縮小した。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.665%と縮小した。

 

NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。中国の景気対策を受けて新型肺炎をめぐる市場の懸念が和らぎ、買いが膨らんだ。アップルにとって最も重要なサプライヤーである鴻海が『中国本土の全ての施設で予定通り業務再開できると依然見込んでいる』と表明すると、同社株は3%超上昇した。半面、原油先物価格の下落を背景にエクソンモービルは1%超売られた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.738%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

                20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・2月3日:▲3.610%⇒2月4日予想▲3.458%

 

S&P500が大幅上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.738%から▲0.280%とかい離していることで現在は割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%に対して▲0.411%より縮小。19年6月3日の大底となった3.881%から▲0.423%とイールドスプレッドは縮小。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%から▲0.544%縮小した。19年8月15日の▲4.179%とは▲0.721%より縮小した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.395%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・2月3日:▲2.351%⇒2月4日予想▲2.195%

 

NASDAQが大幅上昇したうえ、米長期金利も上昇したことからイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.395%から▲0.200%とかい離していることで現在は割高になっている。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+0.016%上回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して▲0.133%縮小した。19年8月5日の大底となった▲2.383%から▲0.188%と縮小した。19年8月15日の大底となった▲2.498%から▲0.303%縮小した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。『第2段階合意』に向けて米中間で協議される。そのため、今後も米中貿易摩擦に関する報道に振られる展開が予想される。また、中国発の新型コロナウイルスの感染が拡大してきた。2003年に発生したSARS発生後では、中国GDP第1四半期は11.1%だったが、第2四半期のGDPは9.1%に低下した。そのため、感染拡大の規模が大きくなると中国経済に悪影響を与え、NASDAQの上値も抑えられる。NASDAQは割安感が残っていることから、戻り基調が継続しやすい。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数とも上昇したことや、米長期金利が上昇したことで三指数ともに前日比で縮小した。新型コロナウイルスの感染急速に拡大しているものの、中国の景気対策を受けて中国や世界の景気が下支えされるとの期待感によるリスク選好の動きとなった。そのため、米長期金利も再び上昇してきた。しかし、このままリスク選好の動きが続くかは不透明感が残る。NASDAQは戻る基調が強まっているものの割高感が出ていないことから、引き続き戻りが継続する可能性がある。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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