FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月28日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数が大幅低下したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。新型コロナウイルスによる肺炎の感染が世界で広がり、世界景気の下押しになるとの懸念から売りが膨らんだ。市場では『売りが売りを呼ぶ展開』との指摘があり、下げ幅は一時1200ドルを超えた。主要三指数ともにイールドスプレッドが拡大してきており、過去の大底を上回る展開となってきたことで、割安感が出てきている。

 

NYダウが大幅続落したことで、200日SMAの27,237ドルや260日SMAの26,962ドルを一気に下抜けする展開となった。5日SMA、10日SMAと25日SMAが真下を向くほど下落の勢いが強い展開となっている。また、大陰線のほぼ安値引けとなっていることから、下げ止まりの動きは出ていない。そのため、5日SMAが追い付いてくるまで上値の重い展開が予想される。さらに、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、買われ過ぎ域から%DがSlow%Dを下抜け両線とも真下を向いていることで、明確な下落基調を示している。売られ過ぎ過熱感が出ているが、明確なトレンドが発生している時は、低水準で底這いするダマシが発生するので注意が必要となる。米長期金利が低下傾向にあることでイールドスプレッドが拡大しており、かなり割安感が出ている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.604%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月26日:▲4.053%⇒2月27日:予想▲4.363%

 

2月27日のNYダウが大幅続落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.604%から▲0.241%と平均値よりかい離していることで割高になっている。19年1月3日の大底▲4.226%を+0.137%と上回った。19年6月3日の大底4.038%を+0.325%と上回った。19年8月5日の大底▲4.102%を+0.261%と上回った。

 

NYダウが大幅続落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。新型コロナウイルスによる肺炎の感染が世界で広がり、世界景気の下押しになるとの懸念から売りが膨らんだ。市場では『売りが売りを呼ぶ展開』との指摘があり、下げ幅は一時1200ドルを超えた。なお、テドロスWHO事務局長は新型肺炎の世界的な感染拡大について『パンデミック(世界的流行)の可能性がある』とし、各国に一段の警戒を促した。投資家心理の悪化が続いているほか、原油相場の下落や米長期金利の低下も重なり、終日大幅下落となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.953%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・2月26日:▲4.038%⇒2月27日予想▲4.347%

 

S&P500が大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.953%から+0.394とかい離が逆転していることで割安になってきた。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を+0.478%上回った。19年6月3日の大底となった3.881%を+0.466%上回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を+0.345%上回った。19年8月15日の▲4.179%を+0.168%上回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.468%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・2月26日:▲2.496%⇒2月27日予想▲2.742%

 

NASDAQが大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下をしたことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.468%から+0.274%とかい離が逆転していることで割安になってきた。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては+0.563%上回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して+0.414%上回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して+0.359%上回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して+0.244%上回った。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場では過去のイールドスプレッドを上回るなど急速に割安感が高まっている。そのため、新型コロナウイルスの感染などのポジティブな報道があると、急速な戻り基調となりやすい。イールドスプレッドが一気に▲2.7%台前半まで拡大する展開となっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が大幅下落したうえ、米長期金利が大幅低下したことで三指数ともに前日比で大幅拡大した。中国の新型肺炎の感染数が中国以外の韓国、イタリア、イランなどでも広がっていることが嫌気された。また、米疾病対策センター(CDC)がカリフォルニア州で海外渡航歴がなく、感染者との接触も未確認の人への感染事例があったと発表したことなどが投資家心理の悪化につながった。米国株式市場では、株価の下落と米長期金利の急低下で割安感が出てきた。そのため、押し目買いも入りやすくなる。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況となっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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