FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月24日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数が下落する展開となったうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。新型コロナウイルスの感染者数が増加し、感染拡大によるアジア経済への影響も懸念された。また、2月米国製造業・サービス部門PMI速報値が弱い結果でリスク回避の動きが強まった。NASDQのPERが13日に大幅上昇した。企業業績の下方修正が入ったことによりPERが上昇したものと思われる。しかし、NASDAQのイールドスプレッドが▲2.1%台拡大したことで割高感はない。

 

NYダウが続落したことで、サポートラインとして意識されていた25日SMAの29,079ドルを下抜けする展開となった。5日SMAの29,238ドルと10日SMAの29,282ドルが下向きとなっており、レジスタンスとして意識され上値を抑えられる展開となっている。さらに、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、買われ過ぎ域から%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなっていることで、下落調整の兆しが出ている。史上最高値圏で推移しているものの、米長期金利が低下基調にあることから、過度な割高感は出ていない。現在は割高感も割安感も出ていないため、材料次第で上下に振れる展開になりやすい。

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.309%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月20日:▲3.464%⇒2月21日:予想▲3.550%

 

2月21日のNYダウが下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.309%から▲0.759%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井となった▲3.069%まで▲0.481%に接近した。19年4月25日の天井となった3.048%まで▲0.502%に縮小した。20年1月17日の天井となった▲3.018%まで▲0.532%まで接近した。米長期金利が1.4%台まで低下したことで、イールドスプレッドが拡大傾向となりやすくNYダウの割高感は払しょくされている。

 

NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。中国以外の地域でも新型肺炎の感染が拡大するなか、投資家のリスク志向低下を意識した売りが出た。この日発表された2月のマークイット米国製造業・サービス業PMIが共に前回から下落し米企業の景況感悪化が目立ったことも売りを誘い、下げ幅は一時320ドルを超えた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.680%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・2月20日:▲3.491%⇒2月21日予想▲3.593%

 

S&P500が下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.680%から▲0.087%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.862%に接近した。19年4月25日の天井となった▲2.966%まで▲0.627%に接近した。20年1月17日の天井となった2.990%まで▲0.603%に接近した。

 

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.225%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・2月20日:▲2.012%⇒2月21日予想▲2.123%

 

NASDAQが下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.225%から▲0.102%と平均値より縮小している分割高となっている。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.925%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.655%に接近した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。NASDAQ市場の企業業績下方修正があり、13日のPERが大幅に上昇した。しかし、NASDQ市場の下落調整や米長期金利の大幅低下から、イールドスプレッドが一気に▲2.1%台まで拡大する展開となっている。そのため、割高感はない。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が下落する展開となったうえ、米長期金利も大幅低下したことで三指数ともに前日比で拡大した。中国の新型肺炎の感染数が中国以外のアジア地域でも広がっていることが嫌気された。そのため、感染拡大によりアジア地域の経済への影響が懸念されている。米国株式市場では、現在は割安感も割高感もない状況である。そのため、上下どちらに振れても不思議ではない状態となっている。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況となっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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