FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月22日の米国株市場を先取り!

 

2月21日はプレジデント・デー(Washington’s Birthday)で休場

 

★NY株式市場では、主要三指数の全てが続落する展開になった。米露外相が来週会談を予定しているほか、両国の国防相が18日電話会談を計画していることが明らかになると、寄り付き後は一時上昇した。しかし、ウクライナ東部の親露派指導者が一部住人をロシアに避難させたとの報道や、ウクライナ分離主義者がドネツクで車が爆破されたと発表したため緊張が高まり売りに拍車がかかった。市場では『3連休を前に多くの投資家が買いを手控えた』との指摘もあり、一時330ドル超下落した。ただ、前日には今年最大の下げ幅を記録しているだけに、自律反発狙いの買いも入りプラス圏を回復する場面もあった。 終日軟調に推移したが、オプション満期日に絡んだ買いが下値を支えた。一方、長期金利は、緊迫化するウクライナ情勢を背景に、相対的に安全資産とされる米国債が買われた(利回りは低下)。米国株相場の下落も債券買いを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利は低下したうえ、主要三指数とも続落したことで、イールドスプレッドは三指数ともに拡大した。S&P500指数は3.0%台を回復してきており、割高感はやや後退した。イールドスプレッドでは、米長期金利の動向が重要なポイントになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。また、ウクライナ情勢の緊迫化が続くなか地政学リスクから株価がが売られやすい。米国株のVIX指数は28.11から27.75へ低下した。しかし、20台半ばで推移していることで、ボラティリティの高い相場が継続しやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.274%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月17日:▲2.653%⇒2月18日:予想▲2.721%(前日比で拡大:割安)

 

2月18日のNYダウは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.274%から▲0.553%と平均値より上方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.505%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.381%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.820%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.296%下回った。NYダウは、ウクライナ情勢の緊迫化が引き続き相場の重しとなった。朝方はプラス圏で推移する場面もあったが、ウォール・ストリート・ジャーナルが日中に、ロシアが数日以内にウクライナに侵攻すると米政府が見ていると報じたほか、NBCニュースが、バイデン米大統領がウクライナ付近の米軍を増強する予定だと報じたことで再びリスク回避の流れが強まった。翌週月曜日がプレジデンツデーの祝日で3連休を控えていることも持ち高調整の売りを強めた。NYダウは111ドル高まで上昇したが、終盤に335ドル安まで下落し、232.85ドル安(-0.68%)と3日続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・2月17日:▲2.959%⇒2月18日:予想▲3.032%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500は続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.779%から+0.253%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.837%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.970%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.147%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.467%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.190%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.765%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・2月17日:▲1.452%⇒2月18日予想▲1.531%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.765%から▲0.234%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.648%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.852%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.967%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.272%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.563%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台前半までスプレッドは拡大したものの、引き続き割高感は強い。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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