FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで2月21日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数が下落する展開となったうえ、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で三指数ともに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。新型コロナウイルスの感染者数が増加し、感染拡大によるアジア経済への影響も懸念された。また、ゴールドマンサックスがコロナウィルスの影響が過小評価されていることを理由に、短期的な株価調整が入る可能性を指摘したことも相場の重石となった。NASDQのPERが13日に大幅上昇した。企業業績の下方修正が入ったことによりPERが上昇したものと思われる。そのため、NASDAQの割安感は払しょくされている。

 

NYダウは下落したものの、25日SMAの29,081ドルがサポートラインとして意識され、持ち直して終了した。一方で、5日SMAの29,324ドルと10日SMAの29,321ドルがレジスタンスとして意識され上値を抑えられる展開となった。一方で、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、買われ過ぎ域から%DがSlow%Dを下抜け両線とも下向きとなってきたことで、下落調整の兆しが出ている。史上最高値圏で推移しているものの、米長期金利が低下基調にあることから、過度な割高感は出ていない。現在は割高感も割安感も出ていないため、材料次第で上下に振れる展開になりやすい。

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.269%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/01/17‐▲3.018%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・2月19日:▲3.382%⇒2月20日:予想▲3.454%

 

2月20日のNYダウが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.269%から▲0.815%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井となった▲3.069%まで▲0.385%に接近した。19年4月25日の天井となった3.048%まで▲0.406%に縮小した。20年1月17日の天井となった▲3.018%まで▲0.436%まで接近した。米長期金利が1.5%台前半で推移していることで、イールドスプレッドが拡大傾向となりやすくNYダウの割高感は払しょくされやすい。。

 

NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。中国以外の地域でも新型肺炎の感染者数が増加し、感染拡大によるアジア経済への影響も懸念されるなか、投資家のリスク志向低下を意識した売りが出た。半導体関連株などの下げが目立ったが、一方でディフェンシブ銘柄には買いが入り、売り一巡後は急速に下げ幅を縮小した。ゴールドマンサックスがコロナウィルスの影響が過小評価されていることを理由に、短期的な株価調整が入る可能性を指摘したことも相場の重石となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.644%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

               20/01/17-▲2.990%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

2月19日:▲3.422%⇒2月20日予想▲3.491%

 

S&P500が下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.644%から▲0.153%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.760%に接近した。19年4月25日の天井となった▲2.966%まで▲0.525%に接近した。20年1月17日の天井となった2.990%まで▲0.501%に接近した。

 

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.180%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・2月19日:▲1.921%⇒2月20日予想▲1.993%

 

NASDAQが上昇したうえ、米長期金利もわずかに上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.199%から▲0.280%と平均値より縮小している分割高となっている。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.721%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.451%に接近した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。中国発の新型コロナウイルスの感染が拡大してきたが、中国政府による景気支援策が好感されている。NASDAQ市場の企業業績下方修正があり、13日のPERが大幅に上昇した。そのため、▲2.0%台だったイールドスプレッドが一気に1.90%台まで縮小する展開となっていることで、割安感は払しょくされている。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数が下落する展開となったうえ、米長期金利も低下したことで三指数ともに前日比で拡大した。中国の新型肺炎の感染数が中国以外のアジア地域でも広がっていることが嫌気された。そのため、感染拡大によりアジア地域の経済への影響が懸念されている。米国株式市場では、現在は割安感も割高感もない状況である。そのため、上下どちらに振れても不思議ではない状態となっている。ウイルス感染報道や米中貿易交渉、中東情勢、英国のブレグジットなどの報道で市場は振れやすい状況となっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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