FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月6日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て反落する展開になった。米議会がつなぎ融資延長案を可決、政府機関閉鎖が回避されたため安心感に寄り付き後は上昇した。しかし、国内でオミクロン変異株感染が拡大、さらに、11月雇用統計で雇用者数が予想の半分の伸びにとどまり失望感から、下落に転じた。同時に連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和解消の軌道に変わりはなく、時期尚早の金融緩和解除への警戒感も強まり、さらなる売りに繋がった。上場廃止への懸念を受けた中国ハイテク株の下落が重石となりナスダック総合指数も大きく下げた。もっとも、引けにかけては急速に買い戻しが強まり、下げ幅を縮めた。一方、長期金利は、11月米雇用統計の発表後に債券売り(利回りは上昇)が強まる場面もあったが、米国株が下落すると安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が集まり大幅に反発した。利回りは一時1.3329%前後と9月23日以来の低水準を付けた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の下落と米長期金利が低下したことで割高感解消傾向が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大懸念されてきたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は27.95から30.67へ上昇した。VIX指数が30台超になったことで、リスク回避の動きが強まっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.284%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月2日:▲3.132%⇒12月3日:予想▲3.229%(前日比で拡大:割安)

 

12月3日のNYダウは小幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.284%から▲0.055%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲0.997%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.873%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.312%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.788%下回った。NYダウは、強弱まちまちとなった米11月雇用統計を受けて上昇してスタートしたものの、新型コロナウイルス・オミクロン株への警戒感や雇用統計での非農業部門雇用者数(NFP)の下振れが嫌気され、週末を控えた持ち高整理の売りが強まった。11月雇用統計は、NFPが21.0万人増と市場予想の55.0万人増を大きく下回った一方、失業率は前月の4.6%から4.2%に改善し、市場予想の4.5%を下回る強い結果となった。オミクロン株は感染者の症状が比較的マイルドとの見方があるものの、感染力が強いとされ、ニューヨーク州で5人の感染が確認された。前日に617ドル上昇したNYダウは朝方に161ドル高まで上昇したものの、午後には375ドルまで大幅反落した。しかし、ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス、プロクター・アンド・ギャンブルなどのディフェンシブ株が買われ、終値では59.71ドル安(-0.17%)と小幅反落で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月2日:▲3.047%⇒12月3日:予想▲3.175%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅反落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から+0.397%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.694%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.827%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.004%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.324%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.047%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.770%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月2日:▲1.563%⇒12月3日予想▲1.711%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.770%から▲0.059%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.468%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.672%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.787%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.092%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.383%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下したうえ、株価も大幅下落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.7%台前半までスプレッドが拡大した。ただ、2%台に拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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