★NY株式市場では、三指数全て上昇する展開となった。追加経済対策・歳出法案の成立で政府機関閉鎖が回避されたほか、景気見通しの改善で、寄り付きから大きく上昇した。ワクチンへの期待も支援し、終日堅調に推移し史上最高値を更新した。スマートフォンのアップルが上場来高値を更新するなど、主力ハイテク株の上昇が相場をけん引した。一方米長期金利は、米追加経済対策法案の成立で債券売りが出たものの、下値は限定的だった。市場では『薄商いで静かな相場だった。当面はレンジが続くだろう』との声が聞かれた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は21.53から21.70へ上昇した。VIX指数が21台半ばで推移しているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。また、S&P500が上昇したにもかかわらず、VIX指数が上昇しており今晩のNY市場で下押す可能性もあるので注意。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.318%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月24日:▲2.860%⇒12月28日:予想▲2.836%(前日比で縮小:割高)
12月28日のNYダウが続伸した一方で、米長期金利はほぼ変わらずでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.318%から▲0.482%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.390%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.266%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.705%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.181%下回った。トランプ米大統領が9000億ドルのコロナ対策法案に署名し、失業給付の延長が決まったことや、政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)が回避されたことが好感された。NYダウが204.10ドル高(+0.68%)となった。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%
20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・12月24日:▲2.621%⇒12月28日予想▲2.591%(前日比で縮小:割高)
S&P500が続伸した一方で、米長期金利はほぼ横ばいだったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.774%から▲0.183%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.278%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.411%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.588%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.908%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.631%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.801%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%
20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・12月24日:▲1.331%⇒12月28日予想▲1.316%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは続伸した一方で、米長期金利はほぼ変わらなかったことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.801%から▲0.485%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.863%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.067%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.182%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.487%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.77%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利はほぼ変わらなかった一方で、株価は続伸したことで縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%前前半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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