FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月29日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウは続伸したものの、S&P500指数とナスダック総合指数は反落する展開になった。新型コロナのオミクロン変異株感染が急増する中、比較的重症化リスクが低いとの見方が引き続き安心感に繋がったほか、疾病対策センター(CDC)が、新型コロナウイルスに感染した無症状の国民に対する隔離推奨期間を従来の10日間から5日間に短縮したことも、景気回復への楽観的見解を支援し、寄り付き後は上昇した。航空機メーカーボーイング(BA)や消費関連株の上昇がけん引しNYダウは終日堅調に推移した。ハイテクは、利益確定売りに押され下落した。一方、長期金利は、月末を控えて機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買い(利回りは低下)が入ったものの、5年債入札の需要が低調だったとの見方から終盤売り(利回りは上昇)に押された。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小して全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大が懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は17.68から17.54へ低下した。VIX指数が20台を下回ってきたことで、リスク回避の動きは後退してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.283%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月27日:▲2.837%⇒12月28日:予想▲2.819%(前日比で縮小:割高)

 

12月28日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.283%から▲0.464%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.407%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.283%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.722%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.198%下回った。NYダウは、前日に大きく下落した空運株などが上昇した一方、足もとで大きく上昇した半導体株などに利益確定売りが強まった。感染拡大が続く新型コロナウイルス・オミクロン株をめぐっては、前日に米疾病対策センター(CDC)がウイルス検査で陽性となったが無症状の人については、隔離期間を従来の10日間から5日間に短縮したことで経済活動正常化期待が高まったほか、南アフリカの調査では重症化リスクの低いオミクロン株への感染が、デルタ株などの他の重症化リスクの高い変異株への感染リスクを抑えるとの報告も伝わった。NYダウは95.83ドル高(+0.26%)と5日続伸した。セールスフォースが1%超下落した一方、ウォルト・ディズニー、ボーイング、ウォルマート、ウォルグリーン、ダウ・インクが1%超上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月27日:▲2.820%⇒12月28日:予想▲2.817%(前日比で縮小:割安)

 

S&P500が小幅反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.038%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.052%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.185%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.362%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.682%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.405%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.768%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月27日:▲1.457%⇒12月28日予想▲1.467%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.768%から▲0.301%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.712%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.916%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.031%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.336%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.627%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価は反落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばへスプレッドが縮小したことで割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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