FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月27日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで続伸する展開になった。「オミクロン変異株の入院リスクはデルタ株に比べ50%から70%低い」との英国の調査結果や食品医薬品局(FDA)が製薬会社メルク(MRK)の新型コロナ経口薬の緊急使用を承認したことを受け、安心感が広がり、寄り付き後は上昇した。さらに、12月のミシガン大消費者信頼感指数確定値が予想外に上方修正されたほか、11月新築住宅販売の増加など良好な経済指標の結果を受けて景気回復期待感も根強く、終日堅調に推移した。引けに掛けてはクリスマス前のポジション調整も膨らみ値位置を切り下げたが堅調なレベルを維持した。S&P500指数は最高値を更新した。一方、長期金利は、11月米PCEコアデフレーターが予想を上回るなど強いインフレ指標が確認できたことで債券売り(利回りは上昇)が強まった。米国株高に伴って安全資産とされる債券需要が低下した面もあった。なお、本日の米債券市場は短縮取引だった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の続伸したものの米長期金利も上昇したことで全般割高感が強まった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大が懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は18.63から17.96へ低下した。VIX指数が20台を下回ってきたことで、リスク回避の動きは後退してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.283%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月22日:▲2.945%⇒12月23日:予想▲2.879%(前日比で縮小:割高)

 

12月23日のNYダウは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.283%から▲0.404%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.347%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.223%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.662%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.138%下回った。NYダウは、翌日のクリスマス休場を控えて薄商いとなったが、複数の研究機関から新型コロナウイルス・オミクロン株の重症化リスクが低いとの研究が報告されたことや、米食品医薬品局(FDA)がメルクの新型コロナ経口治療薬を承認したことで投資家心理の改善が続いた。注目された11月コア個人消費支出(PCE)価格指数が市場予想を上回り、インフレ高進が懸念されたものの、11月耐久財受注や新規失業保険申請件数、11月個人所得が市場予想を上回る強い結果となり景気回復期待を高めた。NYダウは196.67ドル高(+0.55%)の35950.56ドルで終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月22日:▲2.929%⇒12月23日:予想▲2.861%(前日比で縮小:割安)

 

S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から+0.082%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.008%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.141%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.318%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.638%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.361%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月22日:▲1.542%⇒12月23日予想▲1.476%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.769%から▲0.293%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.703%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.907%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.022%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.327%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.618%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半へスプレッドが縮小したことで割高感が強まった。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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