FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月21日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数ともに反落する展開となった。前日に史上最高値を更新したあとだけに利益確定目的の売りが優勢となった。米追加経済対策を巡り、マコネル上院院内総務(共和党)は『協議は依然として建設的』と述べたものの、その後の進展状況が報じられず、相場の重しになった面もあるようだ。また、 国家核安全保障局(NNSA)を含む複数の連邦政府機関が大規模サイバー攻撃を受けたことも警戒感に繋がった。引けにかけては、S&P500種指数のリバランスやクアドルプル・ウィッチングで、オプション、先物の期日に絡んだ調整取引に下げ幅を縮小した。一方米長期金利は、新型コロナウイルスのワクチン普及による経済活動正常化への期待から、相対的に安全資産とされる米国債に売り(利回りは上昇)が出た。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数ともかなり割高感が出ており、リスク回避の材料が出ると下落しやすい。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与で有効性が実証されるなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。また、新型コロナウイルス感染『第3波』が懸念されている。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を押し上げている。そのため、期待感が薄れるような事態となると、再び下値模索の動きとなりやすい。VIX指数は21.93から21.57に低下した。VIX指数が20台を上回っているほか、株価の日中ボラティリティも高まっていることで、引き続き不安定な動きが続く。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.319%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

                20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月17日:▲2.864%⇒12月18日:予想▲2.870%(前日比で拡大:割安)

 

12月18日のNYダウが反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.319%から▲0.449%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.356%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.232%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.671%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.147%下回った。小高くスタートしたものの、合意に至ることが期待された追加経済対策を巡る与野党協議が難航したことが嫌気された。テスラ株のS&P500指数採用に伴うパッシブ・ファンドの巨額リバランスの影響がみられたほか、株価指数先物・オプションや個別株オプションの満期日が重なるクワドルプル・ウィッチングの影響で取引は活発だった。NYダウは終盤に一時、273ドル安まで下落し、124.32ドル安(-0.41%)で終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.774%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、20/08/27-▲2.677%

               20/10/12-▲2.664%、20/12/08-▲2.666%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月17日:▲2.649%⇒12月18日予想▲2.652%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が反落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.774%から▲0.122%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.217%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.350%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.527%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.847%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.570%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.802%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/10/22-▲1.438%

              20/12/4-1.351%、20/12/8-1.383%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月17日:▲1.318%⇒12月18日予想▲1.310%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小幅反落した一方で、米長期金利は上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.802%から▲0.492%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.869%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.073%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.188%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.493%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.784%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇した一方で、株価は小幅反落したものの縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQのイールドスプレッドは、▲1.3%前半まで低下して推移している。そのため、割高感が続いていることから、ネガティブなニュースが出ると引き続き下落しやすい地合いが続いている。また、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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