FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月17日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。三指数ともに高値圏で推移している一方で、米長期金利も以前より上昇してきたことで過熱感が出始めてきた。重要イベントを通過したことで、次の材料探しの展開となる。金利の上昇が進むようなら、NY株式に割高感が高まる。そのため、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。

 

NYダウは上昇し、一時史上最高値を上回った。5日SMAの28,059ドル、10日SMAの27,905ドル、25日SMAの27,905ドルがサポートラインとして意識される。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%DがSlow%Dを上抜け両線とも上向きとなっている。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.214%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月13日:▲3.273%⇒12月16日予想▲3.205%

 

12月16日のNYダウは上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.214%から▲1.009%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.136%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.157%に接近してきた。

 

NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。しかし、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。前週末に米中が貿易協議の『第1段階』で合意し、新たな制裁関税が見送られたことで買い安心感が広がった。アップルや3Mなど中国関連銘柄の上昇が目立ったほか、ゴールドマン・サックスなど金融株の上昇が目立った。半面、2度の墜落事故を起こした主力旅客機「737MAX」の生産停止観測を背景にボーイングが大幅に下落した。 

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.556%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・12月13日:▲3.244%⇒12月16日予想▲3.159%

 

S&P500が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.520%から▲0.361%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.428%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.193%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.081%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・12月13日:▲1.723%⇒12月16日予想▲1.641%

 

NASDAQが上昇したうえ、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.081%から▲0.440%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.443%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.173%に接近した。

 

NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは1.60%台前半まで低下した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで三指数ともに縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.80%台に上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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