FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで12月15日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て反落する展開になった。製薬会社ファイザー(PFE)やジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)製の新型コロナウィルスワクチンがオミクロン変異株感染における重症化を防いでいるとの南ア調査結果に加え、ファイザーのコロナ経口治療薬も入院や死亡リスクを大幅に低減させるとの治験結果を受け、オミクロン株への警戒感が後退し、寄り付き後はNYダウは一時上昇した。しかし、11月生産者物価指数(PPI)が予想を上回り、過去最大の伸びを記録すると、インフレ高進により連邦公開市場委員会(FOMC)がよりタカ派に傾斜することが警戒され下落に転じた。その後、世界保健機関(WHO)がオミクロン変異株感染の速さを警告すると、さらに売りに拍車がかかり、終日軟調に推移した。市場では『明日の米連邦公開市場委員会(FOMC)結果公表を前に、買いが手控えられた』との声も聞かれ、一時200ドル超下落した。一方、長期金利は、11月米卸売物価指数(PPI)の大幅上昇で、米利上げ前倒し観測が改めて高まり債券売り(利回りは上昇)を促した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、株価の反発と米長期金利が上昇したことで割高強まる結果となった。

 

世界的にオミクロン変異株の感染の速さが懸念されたほか、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は20.31から21.89へ上昇した。VIX指数が再び20台を上回ってきたことで、リスク回避の動きが再び高まってきた。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.284%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・12月13日:▲2.982%⇒12月14日:予想▲2.962%(前日比で縮小:割高)

 

12月14日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.284%から▲0.322%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.264%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.140%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.579%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.055%下回った。NYダウは、翌日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控える中、米11月生産者物価指数(PPI)が市場予想を上回る強い伸びとなったことで警戒感が強まった。午後に主力ハイテク株に利益確定売りが強まったことも相場を押し下げた。NYダウは一時、209ドル安まで下落し、106.77ドル安(-0.30%)と2日続落して終了した。トラベラーズが2%超上昇し、アムジェン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ゴールドマン・サックスなども1%超上昇した一方、セールスフォース、マイクロソフトが3%超下落し、指数を押し下げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・12月13日:▲2.997%⇒12月14日:予想▲2.997%(前日比と変わらず)

 

S&P500が続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で変わらず(米国10年債金利に対して米国株は前日比で変わらず)した。平均値の▲2.779%から+0.218%と平均値より下方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.872%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.005%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.182%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.502%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.225%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.769%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・12月13日:▲1.608%⇒12月14日予想▲1.610%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは大幅続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.769%から▲0.159%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.569%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.773%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.888%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.193%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.484%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価は大幅続落したことで前日比でわずかに拡大した。ただ、イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.610%台へスプレッドは拡大したものの、2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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