★NY株式市場では、三指数とも上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことで、イールドスプレッドは三指数ともに前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した三指数ともに高値圏で推移している一方で、米長期金利も上昇してきたことで過熱感が出始めてきた。米中貿易摩擦の後退や英国総選挙で保守党が過半数を獲得できる見通しとなり、リスク選好の動きが強まっている。金利の上昇が進むようなら、NY株式に割高感が高まる。そのため、今後米長期金利が低下するのか、上昇するのか重要なポイントとなる。
NYダウは大幅上昇し、一時史上最高値を上回った。5日SMAの27,970ドル、10日SMAの27,851ドル、25日SMAの27,864ドルがサポートラインとして意識される。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)でも、%DがSlow%Dを上抜け両線ともかい離幅を広げて上向きとなっていることで強い上昇基調を継続している。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過剰に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.256%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・12月11日:▲3.356%⇒12月12日予想▲3.214%
12月12日のNYダウは大幅上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.256%から▲1.042%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.145%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.166%に接近してきた。
NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。しかし、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。トランプ米大統領がツイッターに『中国との大きな合意が非常に近づいている』と投稿したほか、WSJが『米交渉担当者は15日に予定している対中関税第4弾の取りやめと既存の追加関税の引き下げを提案した』と報じると、米中協議の進展期待から買いが広がった。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェース、キャタピラーなどに買いが集まり、上げ幅は一時310ドルを超えた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.589%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・12月11日:▲3.312%⇒12月12日予想▲3.165%
S&P500が上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.589%から▲0.424%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.434%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.199%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.106%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・12月11日:▲1.773%⇒12月12日予想▲1.644%
NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドが前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.106%から▲0.462%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.446%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.176%に接近した。
NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も大幅したことでイールドスプレッドは1.60%台半ばまで一気に縮小した。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。
三指数のイールドスプレッドは、指数が大幅したうえ、米長期金利も大幅したことで三指数ともに大幅に縮小した。米国株は史上最高値近辺に推移しているうえ、米長期金利も1.90%台に上昇してきたことで、やや割高感を感じるようになってきた。米長期金利がもう一段上昇すると、一気に米国株に割高感が出てくるので、今後の米長期金利の動向には注意が必要となる。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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