FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て上昇する展開になった。10月雇用統計が予想を上回る強い結果を好感し、寄り付き後は上昇した。製薬会社のファイザー(PFE)が開発中の新型コロナウイルス感染症治療の飲み薬が重症化リスクを大きく軽減することを明らかにし、専門家が来年の1月までにパンデミックが終了する可能性に言及すると回復期待感が一段と強まり、買いが加速した。主要株式指数は総じて終日堅調に推移し、連日で史上最高値を更新し終了した。一方、長期金利は、主要国の中央銀行が今週に入って利上げに慎重な姿勢を相次いで示したこともあり、債券の売り持ち高を解消(利回りは低下)する動きが強まった。10年物国債利回りは一時1.4340%前後と924日以来の水準まで低下する場面も見られた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、やや割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は15.44から16.48へ上昇した。VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。しかし、米長期金利が上昇しやすいことや株高が並行していることもあり、徐々に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。また、S&P500指数が上昇したにも関わらずVIX指数が上昇したことで、週初のNYダウ先物は弱含みの展開になりやすい。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.286%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月4日:▲2.934%⇒11月5日:予想▲2.984%(前日比で拡大:割安)

 

11月5日のNYダウは反発した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.286%から▲0.302%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.242%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.118%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.557%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.033%下回った。NYダウは、米10月雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回る強い結果となり、景気回復への楽観的な見方が強まったほか、ファイザーのHIV治療薬がコロナウイルスの重症化リスクを89%低下させるとのニュースも経済活動正常化期待を高めた。前日に6日ぶりに小幅反落したダウ平均は203.72ドル高(+0.56%)と反発し、再び史上最高値を更新した。ボーイングが5.37%高となったほか、ビザ、ウォルト・ディズニーも3%超上昇し、NYダウを押し上げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月4日:▲2.816%⇒11月5日:予想▲2.874%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から+0.096%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.995%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.128%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.305%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.625%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.348%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.772%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月4日:▲1.419%⇒11月5日予想▲1.488%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.772%から▲0.284%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.691%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.895%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.010%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.315%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.606%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価が続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで縮小推移していることで割高感が強まっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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