FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月25日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウは小反落したと一方で、S&P500指数とナスダック総合指数は上昇する展開になった。週次失業保険申請件数が52年ぶり低水準となったほか、10月PCEコアデフレーターが31年ぶりの大幅な伸びとなり早期の利上げ観測が強まったため、寄り付き後は下落した。また、連邦準備制度理事会(FRB)が公表した11月開催分の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でも数人の高官が量的緩和(QE)縮小ペースの加速を支持したことが明らかになり利上げ観測を後押しし、終日軟調に推移した。ただ、引けにかけては感謝祭の祭日を控えた買戻しなどにNYダウは下げ幅を縮小した。金利上昇が一段落したためナスダック総合指数は上昇に転じ終了した。このところ買われていたゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株に利益確定の売りが出て、指数を押し下げた。一方、長期金利は、米利上げ前倒しへの思惑から売り(利回りは上昇)が先行し、利回りは一時1.6913%前後と約1カ月ぶりの高水準を付けた。ただ、そのあとは25日の米感謝祭の祝日を控えたポジション調整目的の買い(利回りは低下)が優勢となり、上げに転じた。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は19.38から18.58へ上昇した。VIX指数は20を近づいていることもあり、過度なリスク回避の動きにはつながりやすくなっている。また、インフレ高進警戒感から米FRBによる早期の利上げの思惑も根強い。そのため、米長期金利が上昇しやすいことや株高も並行していることもあり、徐々に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.285%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月23日:▲2.816%⇒11月24日:予想▲2.849%(前日比で拡大:割安)

 

11月24日のNYダウは小幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.285%から▲0.436%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.377%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.253%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.692%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.168%下回った。NYダウは、前日まで2日続伸したNYダウは、朝方に222ドル安まで下落したが、終盤に11ドル高まで上昇し、9.42ドル安(-0.03%)とほぼ変わらずで終了した。パウエルFRB議長の続投決定を受けて上昇に転じた米10年債利回りは、先週末の1.548%から23日に1.684%まで上昇し、この日も一時、1.693%まで上昇したが、1.643%で終了した。前日比で0.033%低下した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月23日:▲2.706%⇒11月24日:予想▲2.728%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅続伸した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から▲0.005%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.141%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.274%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.451%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.771%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.494%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.770%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月23日:▲1.299%⇒11月24日予想▲1.317%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは反発した一方で、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.770%から▲0.453%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.862%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.066%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.181%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.486%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.777%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下した一方で、株価は反発したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台前半まで縮小推移していることで割高感は強まっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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