FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで11月17日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数が全て反発する展開になった。10月米小売売上高が予想を上回る伸びとなり、堅調な消費動向が確認されると、米景気の先行きに安心感が広がった。ホーム・デポが発表した四半期決算の内容も好感されて、指数は一時220ドル超上昇する場面があった。ただ、そのあとは利食い売りなどが出たため、引けにかけては伸び悩んだ。一方、長期金利は、良好な米経済指標が相次いだことで債券売り(利回りは上昇)が優勢となった。米国株相場の上昇も相場の重石となった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は16.49から16.37へ低下した。VIX指数は20を下回っていることもあり、過度なリスク回避の動きにはつながっていない。しかし、インフレ高進警戒感から米長期金利が上昇しやすいことや株高も並行していることもあり、徐々に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.286%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・11月15日:▲2.902%⇒11月16日:予想▲2.878%(前日比で縮小:割高)

 

11月16日のNYダウは小幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.286%から▲0.408%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.348%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.224%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.663%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.139%下回った。NYダウは、インフレ高進による消費への影響が懸念される中、米10月小売売上高が市場予想を上回る強い結果となり、小売りのホーム・デポ、ウォルマートの決算も市場予想を上回ったことで安心感が広がった。前日にほぼ横ばいで終了した主要3指数はそろって上昇した。NYダウは一時229ドル高まで上昇し、54.77ドル高(+0.15%)で終了した。ホーム・デポが5.73%高となり、1銘柄でダウ平均を140ドル押し上げた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・11月15日:▲2.746%⇒11月16日:予想▲2.711%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.778%から▲0.067%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.158%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.291%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.468%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.788%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.511%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.771%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・11月15日:▲1.334%⇒11月16日予想▲1.294%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.771%から▲0.477%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.885%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.089%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.204%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.509%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.800%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価が反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.2%台後半まで縮小推移していることで割高感が強まっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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