★NY株式市場では、主要三指数は全て反発する展開になった。好調な9月ISM非製造業景況指数の結果を受け、景気回復期待が再燃し寄り付き後は上昇した。その後、バイデン大統領の経済政策課題の多くを盛り込む税制・支出法案を巡り反対姿勢を示していた民主党穏健派のマンチン上院議員が規模で妥協する姿勢を示すと、上昇幅が拡大した。ハイテク株の買いも再開した。一方、長期金利は、原油価格の上昇を受けて、インフレ圧力の高まりが改めて意識されると債券売り(利回りは上昇)が広がった。9月米ISM非製造業指数が予想を上回ったことも相場の重石になった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感のほか、中国大手不動産の恒大集団の経営危機懸念が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は22.96から21.30へ低下した。VIX指数が20を上回っていることもあり、相場的には不安定な状態が継続している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.290%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・10月4日:▲3.164%⇒10月5日:予想▲3.074%(前日比で縮小:割高)
10月5日のNYダウは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.290%から▲0.216%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.152%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.028%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.467%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.943%下回った。NYダウは、前日の大幅安の反動や、米9月ISM非製造業PMIが市場予想を上回ったこと、連邦債務上限問題などへの警戒感がやや和らいだことで買戻しが優勢となった。前日の下落の主役となったハイテク・グロース株が軒並み反発したほか、金融、資本財などの景気敏感株も幅広く上昇した。NYダウは488ドル高まで上昇し、311.75ドル高(+0.92%)で終了した。メルクなど4銘柄が下落した一方、ゴールドマン・サックス(+3.12%)、マイクロソフト(+2.00%)など26銘柄が上昇した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.777%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・10月4日:▲3.110%⇒10月5日:予想▲3.015%(前日比で縮小:割高)
S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.777%から+0.238%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.854%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.987%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.164%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.484%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.207%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・10月4日:▲1.742%⇒10月5日予想▲1.655%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.774%から▲0.119%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.524%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.728%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.843%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.148%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.439%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台半ばで推移しているが、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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