★NY株式市場では、主要三指数は全て反発する展開になった。9月ISM製造業景況指数や消費者信頼感指数が予想外に改善を示したため、寄り付き後は上昇した。その後、格付け会社フィッチが債務上限問題の解決が遅れた場合格付けを圧迫すると警告したため、一時下落に転じる局面もあった。しかし、 新型コロナ感染の沈静化や新たな治療薬などへの期待に景気循環株に買いが向かい再び上昇した。NYダウは一時640ドル超上昇した。長期金利の低下を受けてハイテク株が下げ止まったことも手伝い、引けにかけNYダウは上げ幅を拡大した。一方、長期金利は、米債務上限問題などへの警戒は根強く、安全資産とされる米国債に買い(利回りは低下)が入った。市場では『債券売りに傾いていた一部の投資家が買い直した』との指摘があった。なお、この日発表の9月米ISM製造業景気指数は予想を上回ったものの、反応は一時的だった。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。
感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感のほか、中国大手不動産の恒大集団の経営危機懸念が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は23.14から21.15に低下した。再びVIX指数が20を上回っていることもあり、相場的には不安定化している。
NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.290%
・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%
20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、
20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・9月30日:▲3.161%⇒10月1日:予想▲3.119%(前日比で縮小:割高)
10月1日のNYダウは大幅反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.290%から▲0.171%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.107%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.983%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.422%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.898%下回った。NYダウは、メルクが新型コロナウイルス治療薬の緊急使用を申請するとのニュースを受けてセンチメントが改善した。初期や軽症の患者の死亡率を5割引き下げる効果があるとしたことで空運株などの経済活動再開銘柄が軒並み上昇したほか、エネルギー、金融などの景気敏感株も幅広く上昇した。前日に546ドル下落したNYダウは朝方に58ドル安まで下落する場面もあったが、終盤に646ドル高まで上昇し、482.54ドル高(+1.43%)と大幅反発して終了した。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.777%
・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%
20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、
19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%
20/3/23-▲6.222%
・9月30日:▲3.097%⇒10月1日:予想▲3.069%(前日比で縮小:割高)
S&P500が大幅反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.777%から+0.292%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.800%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.933%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.110%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.430%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.153%下回った。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.774%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%
21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、
19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%
・9月30日:▲1.694%⇒10月1日予想▲1.692%(前日比で縮小:割高)
NASDAQは6日ぶりに反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.774%から▲0.082%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.487%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.691%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.806%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.111%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.402%下回った。
NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下した一方で、株価は反発したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台後半で推移しているが、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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