FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月31日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも上昇したものの米長期金利が大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)する結果となった。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して目に見えて割安感が薄れてきている。パウエル議長が今後の利上げには大幅なインフレ率上昇が必要になるとの認識を示し早期の利上げ転換はないことを示唆したため、発表後に上昇した。その後は引けにかけて上げ幅を拡大した。米国債は、利下げの停止によって長短金利差が一段と縮小するとの思惑を手掛かりにした買い(金利は低下)が長期債に入った。米国株が上昇しても、米長期金利が低下することで割高感は払しょくされやすい。そのため、イールドスプレッドの伸縮が今後米国株の動向のキーポイントとなる。

 

NYダウは、5日SMAの27,022ドルと10日SMAの26,936ドルが上向きとなっていて、5日SMAが10日SMAを上抜けるゴールデンクロスしており、短期的な上昇基調は継続している。その中、米長期金利は30日現在1.775%へ低下した。今後も長期金利が低下するようなら米国株の割高感が抑制される。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.357%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月29日:▲3.560%⇒10月30日予想▲3.598%

 

10月30日はNYダウは上昇した一方で、長期金利は大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.357%から▲0.759%と平均値よりかい離が縮小している。19年1月3日の大底▲4.226%を▲0.628%と縮小した。19年6月3日の大底4.038%を▲0.440%と縮小した。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.504%と縮小した。

 

NYダウが上昇したことで株式益利回りは低下した。一方で、米長期金利が大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。NYダウは朝方は、FOMC(連邦公開市場員会)発表を午後に控えて小動きとなった。米FOMCが予想通りの利下げを決めたほか、パウエル議長が今後の利上げには大幅なインフレ率上昇が必要になるとの認識を示し早期の利上げ転換はないことを示唆したため、発表後に上昇した。その後は引けにかけて上げ幅を拡大した。米国債は、利下げの停止によって長短金利差が一段と縮小するとの思惑を手掛かりにした買い(金利は低下)が長期債に入った。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.665%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・10月29日:▲3.462%⇒10月30日予想▲3.508%

 

S&P500が上昇した一方で、米長期金利の低下が大幅だったことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.665%から▲0.157%と平均値より縮小している。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%に対して▲0.361%より縮小。19年6月3日の大底となった3.881%から▲0.373%とイールドスプレッドは縮小。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%から▲0.494%縮小した。19年8月15日の▲4.179%とは▲0.671%より縮小した。イールドスプレッドは以前より縮小してきたことで割安感も薄れてきている。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.198%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・10月29日:▲1.957%⇒10月30日予想▲2.006%

 

NASDAQが上昇した一方で、米長期金利が大幅に低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.198%から▲0.192%と平均値より縮小した。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.173%下回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して▲0.322%縮小した。19年8月5日の大底となった▲2.383%から▲0.377%と縮小した。19年8月15日の大底となった▲2.498%から▲0.492%縮小した。

 

NASDAQが上昇した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは拡大した。割高にはなっていないが、イールドスプレッドが2%近辺まで縮小してきており、以前ほどの割安感も払しょくされてきた。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が上昇したものの米長期金利が大幅に低下したことで拡大する結果となった。米国株は割高感を感じるまでは買われていないが、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。米長期金利が引き続き低下するようなら、米国株が上昇しても割高感は出難くなるので、米長期金利の動向が重要ポイントとなる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

 

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