FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月30日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも下落したうえ米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)する結果となった。三指数とも割高なほどは買われているわけではないものの、過去のイールドスプレッドと比較して目に見えて割安感が薄れてきている。今回のFOMCでの利下げはほぼ織り込まれている一方で、12月の利下げの有無を探る展開となり上下に振れやすい展開となりそうだ。

 

NYダウは、5日SMAの26,951ドルと10日SMAの26,917ドルが上向きとなっており、5日SMAが10日SMAを上抜けるゴールデンクロスしており、短期的な上昇基調は継続している。米長期金利も1.8%台(29日終値:1.837%)まで上昇してきている。さらに長期金利が上昇するようなら米国株の割安感がさらに薄れる可能性がある。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.332%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月28日:▲3.509%⇒10月29日予想▲3.519%

 

10月29日はNYダウは小幅低下したうえ、長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドは前日比で小幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.332%から▲0.813%と平均値よりかい離が縮小している。19年1月3日の大底▲4.226%を▲0.707%と縮小した。19年6月3日の大底4.038%を▲0.519%と縮小した。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.583%と縮小した。

 

NYダウが小幅低下したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で小幅拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。NYダウは7-9月期決算への期待感から上昇に転じる場面も見られたが、30日に米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えて様子見ムードが強く、前日終値を挟んだ方向感の乏しい動きになった。足もとで上昇が目立っていたハイテク株などに利益確定目的の売りが散見された。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.664%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・10月28日:▲3.461%⇒10月29日予想▲3.474%

 

S&P500が下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で小幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.664%から▲0.190%と平均値より縮小している。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%に対して▲0.395%より縮小。19年6月3日の大底となった3.881%から▲0.407%とイールドスプレッドは縮小。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%から▲0.528%縮小した。19年8月15日の▲4.179%とは▲0.705%より縮小した。イールドスプレッドは以前より縮小してきたことで割安感も薄れてきている。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.191%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・10月28日:▲1.944%⇒10月29日予想▲1.974%

 

NASDAQが下落したうえ、米長期金利もわずかに低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲2.191%から▲0.217%と平均値より縮小した。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.205%下回った。19年6月3日の大底となった▲2.328%に対して▲0.353%縮小した。19年8月5日の大底となった▲2.383%から▲0.409%と縮小した。19年8月15日の大底となった▲2.498%から▲0.524%縮小した。

 

NASDAQが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは拡大した。割高にはなっていないが、イールドスプレッドが2%割れとなってきており、以前ほどの割安感も払しょくされてきた。NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が下落したうえ米長期金利もわずかに低下したことで拡大する結果となった。米国株は割高感を感じるまでは買われていないが、全般米国株への割安感は薄れてきている。割高・割安感がないということは見方を変えれば、上振れ・下振れしやすいとも言える。今回のFOMCでの利下げはほぼ織り込まれている一方で、12月の利下げの有無を探る展開となり上下に振れやすい展開となりそうだ。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

 

フジトミでは、期間内にLINE@お友達登録した方を対象に、フジトミアナリスト 米倉教公が執筆した『水星逆行レポート』を無料でプレゼントいたします。

詳しくは、下記URLをご覧ください。
https://www.fujitomi.co.jp/reports/mercury/

カテゴリー: ホットニュース

カテゴリー

カレンダー

5月 2024
« 1月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ページの先頭へ