FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月28日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウとS&P500指数は反落した一方で、ナスダック総合指数は小幅続伸する展開になった。NYダウは連日で史上最高値を更新していただけに、利益確定の売りに、寄り付き後は下落した。四半期決算で業績予想が嫌気されたクレジットカードのビザが7%近く急落し、1銘柄でダウ平均を98ドル程度押し下げた。米長期金利の大幅低下で、利ざや悪化の懸念からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も売られた。戻り乏しく終日軟調推移となり、引けにかけて下げ幅を拡大した。一方、長期金利は、欧州債相場の上昇につれたほか、米国株相場の下落に伴う買い(利回りは低下)が入った。好調な5年債入札も債券買いを誘った面がある。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、やや割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は15.98から16.98へ上昇した。VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。しかし、米長期金利が上昇しやすいことや株高が並行していることもあり、徐々に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.287%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月26日:▲2.894%⇒10月27日:予想▲2.989%(前日比で拡大:割安)

 

10月27日のNYダウは反落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.287%から▲0.298%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.237%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.113%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.552%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.028%下回った。NYダウは、総じて好調な第3四半期決算発表を背景とした上昇モメンタムが弱まった。前日まで3日連続で史上最高値を更新したNYダウは、266.19ドル安(-0.74%)と4日ぶりに反落した。好決算を発表したマイクロソフトが4.2%高、マクドナルドが2.7%高となったものの、弱い見通しや金融テクノロジー企業との関係を巡る司法省の調査が嫌気されたビザが約7%下落し、NYダウを100ドル超押し下げたほか、3M、JPモルガン・チェースなどの下落も指数の重しとなった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月26日:▲2.776%⇒10月27日:予想▲2.859%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅反落したうえ、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から+0.081%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.010%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.143%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.320%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.640%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.363%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.773%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月26日:▲1.435%⇒10月27日予想▲1.495%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.773%から▲0.278%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.684%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.888%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.003%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.308%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.599%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価が小幅続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台後半まで縮小推移していることで割高感が強まっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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