FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月27日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て上昇する展開になった。予想を上回る米主要企業の決算が相次ぐ中、業績期待からの買いが優勢となった。その後、ソーシャル・ネットワーキング・サイト運営のフェイスブック(FB)の下落が全体指数を押し下げる局面もあった。しかし、押し目からは10月消費者信頼感指数の改善で、第4四半期の景気回復を期待した買いも強く、底堅く推移。NYダウ株価は連日史上最高値を更新して引けた。ただ、連日で史上最高値を更新していることもあり、利益確定の売りも出やすく上値は重かった。一方、長期金利は、来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)など重要イベントを控えて、全体的に様子見気分が強かったが、堅調な2年債入札を受けて買い(利回りは低下)が強まった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、やや割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は15.24から15.98へ上昇した。VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。しかし、長期金利の上昇と株高が並行していることで、急速に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.288%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月25日:▲2.854%⇒10月26日:予想▲2.878%(前日比で拡大:割安)

 

10月26日のNYダウは小幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.288%から▲0.410%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.348%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.224%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.663%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.139%下回った。NYダウは、総じて良好な第3四半期決算発表が続いたことや、米10月消費者信頼感指数が3カ月ぶりに改善したことが追い風となったが、フェイスブックなどの一部ハイテク株が上昇後に反落したことで上昇幅は限られた。NYダウは15.73ドル高(+0.04%)で終了し、小幅ながら3日連続で終値の最高値を更新した。一時、151ドルまで上昇し、取引時間中の最高値も更新した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月25日:▲2.750%⇒10月26日:予想▲2.768%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が小幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.778%から▲0.010%と平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.101%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.234%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.411%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.731%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.454%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.773%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月25日:▲1.414%⇒10月26日予想▲1.438%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは小幅続伸した一方で、米長期金利が大幅低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.773%から▲0.335%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.741%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.945%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.060%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.365%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.656%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅低下した一方で、株価が小幅続伸したものの前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台前半まで縮小推移していることで割高感が強まっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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