FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月19日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、NYダウは小幅反落した一方で、S&P500指数とナスダック総合指数は上昇する展開になった。中国の経済成長の鈍化や鉱工業生産が予想を下回ったため、寄り付き後は大きく下落し一時250ドル超下落した。NY原油が7年ぶり高値を更新し、根強いインフレや米長期金利の上昇も警戒され、NYダウは終日軟調に推移した。ハイテク株は強く、ナスダック総合値数は上昇した。一方、長期金利は、英中銀(BOE)が近く利上げに踏み切るとの観測が高まる中、英国債相場が下落。米国債にも売り(利回りは上昇)が波及した。WTI原油先物価格が約7年ぶりの高値で推移していることも、インフレ懸念による債券売りを誘った。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、やや割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は16.30から16.31へわずかに上昇した。ただ、VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。しかし、長期金利の上昇が今後も継続するようなら、米国株式市場全般に割高感が浮上することになる。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.289%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月15日:▲2.946%⇒10月18日:予想▲2.930%(前日比で縮小:割高)

 

10月18日のNYダウは反落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.289%から▲0.359%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.296%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.172%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.611%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.087%下回った。NYダウは、中国の7-9月期GDPが市場予想を下回ったことや、米国の9月鉱工業生産が予想に反して減少したことなどで下落してスタートしたが、好決算発表期待を背景に買い直された。20日に決算を発表するテスラが3.2%上昇し、19日発表のネットフリックスも1.5%上昇した。NYダウは258ドル安まで下落後、36.15ドル安(-0.10%)と3日ぶりの小幅反落となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月15日:▲2.860%⇒10月18日:予想▲2.824%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.778%から+0.046%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.045%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.178%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.355%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.675%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.398%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.774%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月15日:▲1.511%⇒10月18日予想▲1.465%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.774%から▲0.309%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.714%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.918%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.033%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.338%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.629%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価も続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばまで縮小推移していることで割高感が出始めている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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