FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月15日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て続伸する展開になった。先週分新規失業保険申請件数がパンデミック以降で最小となったため労働市場の回復期待に寄り付き後は上昇した。9月生産者物価指数(PPI)の伸びが予想を下回りインフレ警戒感も後退した。さらに、企業の好決算を好感した買いも強まり、引けにかけて上げ幅を拡大。長期金利の低下でハイテク株も上昇した。一方、長期金利は、9月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことで、過度なインフレへの懸念が後退し債券に買い(利回りは低下)が入った。欧州債相場が上昇した影響も受けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感のほか、中国大手不動産の恒大集団の経営危機懸念が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は18.64から16.86へ低下した。VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.289%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月13日:▲3.069%⇒10月14日:予想▲3.021%(前日比で縮小:割高)

 

10月14日のNYダウは大幅反発した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.289%から▲0.268%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.205%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.081%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.520%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.996%下回った。NYダウは、決算発表銘柄が軒並み大幅高となり相場をけん引したほか、新規失業保険申請件数がコロナパンデミック以降で初めて30万件を下回ったこと、9月生産者物価指数(PPI)の伸び率が前月から鈍化したことも安心感につながった。前日にほぼ変わらずで終了したNYダウも534.75ドル高(+1.56%)と大幅に上昇した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月13日:▲2.988%⇒10月14日:予想▲2.934%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.778%から+0.156%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.935%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.068%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.245%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.565%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.288%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.774%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月13日:▲1.618%⇒10月14日予想▲1.587%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸した一方で、米長期金利は低下したもののイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.774%から▲0.187%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.592%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.796%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.911%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.216%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.507%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は低下した一方で、株価が続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.5%台後半で推移しているが、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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