FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月1日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全て下落する展開になった。週次失業保険申件数が予想外に増加したほか、与野党が債務上限の引き上げで合意できず、政府機関閉鎖に陥る可能性が警戒され寄り付き後は下落した。下院公聴会においてイエレン財務長官やパウエルFRB議長が債務上限が引き上げられなければ深刻な事態をもたらすと再度警告したため投資家心理がさらに悪化し、下げ幅を大きく拡大した。引けにかけ、上下院が暫定予算案を可決し府機関閉鎖が回避されたが月末・四半期要因で一段安となり一時550ドル超下げた。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)の早期金融引き締め観測などを背景に売り(利回りは上昇)が先行したものの、月末・四半期末を控えて機関投資家による保有債券の残存年限を長期化するための買い(利回りは低下)が入ると持ち直した。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、以前と比べて三指数とも割高感は解消されてきている。

 

感染拡大が縮小することや新型コロナウイルスのワクチン・治療薬の投与が世界的に普及するなど、終息の方向が出るまでは不安定な市場が続きやすい。しかし、追加経済対策期待や経済活動再開で先行きの景気回復の期待感が株価を支えてきた。ところが、このところの米景気回復基調にピークアウト感のほか、中国大手不動産の恒大集団の経営危機懸念が株価の下押し要因となりやすい。VIX指数は23.56から22.14へわずかに低下した。再びVIX指数が20を上回ってきたことで、相場が全般不安定化へ向かっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.290%

・直近イールドスプレッド縮小:19/4/25-▲3.048%、20/09/1‐▲2.867%

                20/10/12-▲2.847%、21/1/11-▲2.611%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・9月29日:▲3.072%⇒9月30日:予想▲3.180%(前日比で拡大:割安)

 

9月30日のNYダウは大幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.290%から▲0.110%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.046%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲0.922%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.361%下回った。20年3月23日の6.017%から▲2.837%下回った。NYダウは、月末・四半期末の取引となったこの日は上昇してスタートしたものの、家具・インテリア小売り大手のベッド・バス・アンド・ビヨンドが物価上昇やサプライチェーン問題が利益を圧迫したとして20%超下落したことをきっかけに小売株に売りが広がった。NYダウは166ドル高まで上昇したものの、終盤に557ドル安まで下落し、546.80ドル安(-1.59%)とほぼ安値引けた。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.777%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・9月29日:▲3.010%⇒9月30日:予想▲3.097%(前日比で拡大:割安)

 

S&P500が大幅反落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲2.777%から+0.320%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲0.772%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲0.905%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.082%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.402%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.125%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.774%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、20/12/4-1.351%

              21/1/11-1.066%、21/2/16-1.144%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・9月29日:▲1.648%⇒9月30日予想▲1.695%(前日比で拡大:割安)

 

NASDAQは5日続落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.774%から▲0.079%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.484%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.688%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲0.803%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.108%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.399%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が低下したうえ、株価も続落したことで前日比で拡大した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.6%台後半まで拡大したが、2%台まで拡大するまでは割安とは言えない。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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