★NY株式市場では、三指数とも上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。中東情勢の緊迫化が後退したことから、米国株高・米長期金利上昇となりやすく、過熱感が急速に高まる可能性がある。ただ、中東情勢の緊迫化が早々に解決するとは思えず、再びリスク回避の動きが強まることも予想される。そのため、中東情勢による米国株の影響と米長期金利の動向が重要なポイントとなる。再び米国株への過熱感が高まってきたことから、十分注意する必要がある。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。
NYダウは下落して5日SMAの28,707ドルと10日SMAの28,631ドルを再び上抜けした。米国とイラン間で軍事衝突回避の思惑が強まったことで、短期的な上昇基調を回復する展開となった。ただ、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%DがSlow%Dを下抜け、両線とも下向きとなってきたことで下押しバイアスが強まっていることには注意が必要となる。しばらくは上下に振れる展開が予想される。
★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。
そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。
○米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.166%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%
(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、
19/8/5-▲4.102%
(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)
・1月7日:▲3.177%⇒1月8日予想▲3.098%
1月8日のNYダウが上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲4.166%から▲1.068%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.029%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.050%に接近してきた。
NYダウ上昇したことで株式益利回りは低下した。また、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小した。米国債券に対してNYダウが前日比で割高となった。前日比ではNYダウを買うよりも米国債券を買う方が良いことになる。イランは7日夜にイラク国内の米軍基地を攻撃したが、米国との緊張激化や戦争を望まない意向を示した。トランプ米大統領もイランに対する軍事力行使を「望まない」と表明したことから、両国が一段の武力行使には動かないとの見方が広がった。ユナイテッドヘルスやアップル、ホーム・デポなどに買いが集まり、上げ幅は一時280ドルを超えた。
○米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.501%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、
19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%
・1月7日:▲3.134%⇒1月8日予想▲3.059%
S&P500が上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲3.501%から▲0.442%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.328%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.093%に接近した。
○米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.013%
・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%
・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、
19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%
・1月7日:▲1.587%⇒1月8日予想▲1.513%
NASDAQが上昇したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドが前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.013%から▲0.500%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.315%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.045%に接近した。
NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開になりやすい。
三指数のイールドスプレッドは、三指数とも上昇したうえ、米長期金利も上昇したことで大幅に縮小した。米長期金利が再び1.80%台に上昇したことから、イールドスプレッドは縮小しやすい。中東情勢の緊迫化後退で債券売り(切り上昇)と米国株高になりやすく、米国株に割高感がでやすい。そのため、株価だけではなく今後の米長期金利の動向にも注意が必要となる。また、中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇しやすい地合いとなっている。原油価格の上昇はインフレ率の上昇を招く要因となり、米長期金利の上昇材料となる。そのため、原油価格の動向にも注意を払う必要がある。
※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。
※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。
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