FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月8日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも下落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドはNYダウとS&P500指数は前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)したが、NASDAQ総合はわずかに縮小する結果となった。中東情勢の緊迫化が高まってきたことで、地政学リスクによるリスク回避から米国株安・米長期金利低下となりやすく、過熱感が急速に払しょくされる。中東情勢の緊迫化が早々に解決するとは思えず、リスク回避の動きが継続する可能性が高い。そのため、中東情勢による米国株の影響と米長期金利の動向が重要なポイントとなる。やや米国株の過熱感が後退したものの、過熱感は残っていることから、下落調整が継続可能性が高い。

 

NYダウは下落して5日SMAの28,666ドルと10日SMAの28,612ドルを下抜けした。米国とイラン間で軍事衝突が勃発したことで、下値模索の動きになりやすい。当面の下値として意識されるのが、25日SMAの28,252ドル、75日SMAの27,540ドルである。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)でも、%DがSlow%Dを下抜け、両線とも下向きとなってきたことで下押しバイアスが強まっている。しばらくは下値模索の動きになりやすいことから、下値反転するまでは注意が必要となる。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.152%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月6日:▲3.150%⇒1月7日予想▲3.157%

 

1月7日のNYダウが下落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.152%から▲0.995%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.088%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.109%に接近してきた。

 

NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。米国とイランの対立激化への警戒感から売りが優勢となり、一時130ドル超下落した。個別ではメルクやJPモルガン・チェース、キャタピラーなどの下げが目立った。半面、ボーイングは堅調だった。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる投資会社バークシャー・ハザウェイによる同社株取得観測を背景に買いが集まった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.500%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・1月6日:▲3.133%⇒1月7日予想▲3.134%

 

S&P500が下落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比でわずかに拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.519%から▲0.385%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.403%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.168%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲2.017%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・1月6日:▲1.596%⇒1月7日予想▲1.584%

 

NASDAQが下落した一方で、米長期金利がそれ以上に上昇したことでイールドスプレッドが前日比でわずかに縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲2.017%から▲0.433%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.386%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.116%に接近した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開になりやすい。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数とも下落した一方で米長期金利が上昇したことで、NYダウとS&P500指数は拡大したものの、NASDAQ総合は下落率が小さかったことで、米長期金利の上昇の影響が大きくわずかに縮小した。米長期金利が再び1.80%台に上昇したことから、イールドスプレッドは縮小しやすい。しかし、中東情勢の緊迫化で米国株の上値が重くなることが予想される。また、地政学的リスク回避の動きから、米長期金利が低下すると過熱感も徐々に低下していく。そのため、株価だけではなく今後の米長期金利の動向にも注意が必要となる。一方で、中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇しやすい地合いとなっている。原油価格の上昇はインフレ率の上昇を招く要因となり、米長期金利の上昇材料となる。そのため、原油価格の動向にも注意を払う必要がある。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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