FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月7日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要三指数は全てで続落する展開になった。週次失業保険申請件数が増加したほか、12月ISM非製造業景況指数が予想を大幅に下回ったため強い回復期待が後退し、寄り付き後は下落した。連邦準備制度理事会(FRB)による速やかな金融引き締めへの警戒感もくすぶり終日軟調に推移した。米長期金利の上昇で高PER(株価収益率)のハイテク株には売りが出やすかった。ただ、前日に軒並み大幅安になったことから押し目買いが入り反発する銘柄もあった。一方、長期金利は、前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を受けて、米金融政策の正常化が想定より速いペースで進むとの見方から債券売り(利回りは上昇)が続いた。利回りは一時1.7511%前後と昨年4月1日以来約9カ月ぶりの高水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇したことで三指数ともに続落したが、NYダウ以外は小幅な下げだったことから、イールドスプレッドは前日比で縮小した。株価指数が下落しても米長期金利がそれ以上に上昇すると、イールドスプレッドは縮小傾向になり割安感が出てこない。

 

世界的にオミクロン変異株の感染拡大でも『流行が短期で終息する』との専門家の見解を好感された。しかし、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は16.91から19.73へ上昇した。VIX指数が20台付近まで上昇してきたことで、リスク回避の動きがやや強まってきた。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.281%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月5日:▲2.690%⇒1月6日:予想▲2.693%(前日比で拡大:割安)

 

1月6日のNYダウは続落した一方で、米長期金利は上昇したもののイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割安)した。平均値の▲3.281%から▲0.588%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.533%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.409%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.848%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.324%下回った。NYダウは、前日のハイテク株の大幅安を受けて神経質な展開が続いた。前日午後に公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、より積極的な利上げや、予想より早いバランスシート縮小の可能性が示されたことで長期金利が上昇した。前日に1.70%台に上昇した米10年債利回りは、この日も1.7281%と利回り上昇が続いた。金利上昇が追い風となる金融株や原油高を受けたエネルギー株が上昇した一方、高PER銘柄のネットフリックスやテスラが2%超の続落となったほか、アップルも1.67%安と続落した。ただ、メタ・プラットフォームズ(フェイスブック)やエヌビディアが2%超上昇するなど、一部のハイテク株には押し目買いが強まった。NYダウは57ドル高まで上昇する場面もあったが、170.64ドル安(-0.47%)と続落して終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月5日:▲2.701%⇒1月6日:予想▲2.687%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が小幅続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.092%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.182%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.315%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.492%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.812%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.535%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.767%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月5日:▲1.385%⇒1月6日予想▲1.371%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは小幅続落した一方で、米長期金利が上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.767%から▲0.396%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.808%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.012%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.127%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.432%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.723%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利は上昇した一方で、株価は小幅続落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台後半でスプレッドが推移していることで割高感は継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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