FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月6日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも下落したうえ、米長期金利も大幅低下したことでイールドスプレッドは三指数ともに前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。三指数ともに高値圏で推移しているものの、米長期金利が再び1.80%割れまで低下したことで過熱感はわずかに低下した。中東情勢の緊迫化が高まったことが嫌気されたが、今後どこまでリスク回避の動きが高まるかが焦点となる。さらに、リスク回避の米国債券買いが盛り上がり長期金利が低下する一方で、米国株の下落調整が続くようなら、イールドスプレッドは拡大傾向となる。そのため、中東情勢による米国株の影響と米長期金利の動向が重要なポイントとなる。やや米国株の過熱感が後退したものの、過熱感は残っていることから、週明け以降も下落調整の可能性も残る。

 

NYダウは下落したものの、10日SMAの28,566ドルがサポートなり下げ止まる展開となった。しかし、5日SMAの28,629ドルが上値を抑えるレジスタンスとして意識された。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)では、%DがSlow%Dを下抜け、両線とも下向きとなってきたことで下押しバイアスが強まっている。今後も長期金利の動向次第で米国株の割高・割安感が意識されるようになる。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。3指数ともにこの割高の目安近辺までスプレッドが縮小してきている。割高になると米国株を売って、安全資産である債券などに資金がシフトされやすくなり、米国株の下落調整しやすい地合いとなる。一方で過度に売り込まれるようなら、米長期金利の低下にともなって一気に割安感が出る。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.103%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月2日:▲3.052%⇒1月3日予想▲3.173%

 

1月3日のNYダウが下落したうえ、米長期金利も大幅に低下したことでイールドスプレッドは前日比で大幅拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.103%から▲0.93%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.104%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.125%に接近してきた。

 

NYダウが下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利が低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。米国防総省は2日夜、トランプ米大統領の指示でイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官を殺害したと発表した。一方、イランの最高指導者ハメネイ師は米国への『厳しい報復』を宣言した。中東地域を巡る地政学的リスクの高まりを背景に、投資家が運用リスクを回避する姿勢を強め売りが優勢となった。 その後は下げ幅をやや縮小して、もみ合う展開となった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.460%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・1月2日:▲3.054%⇒1月3日予想▲3.172%

 

S&P500が下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.460%から▲0.288%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.441%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.206%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.984%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・1月2日:▲1.527%⇒1月3日予想▲1.638%

 

NASDAQが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.983%から▲0.345%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.440%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.170%に接近した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開なりやすい。

 

三指数のイールドスプレッドは、指数が下落したうえ米長期金利が低下したことで、三指数ともに拡大した。米国株は米長期金利が大きく下落し1.80%台割れとなったことから、イールドスプレッドは大幅に拡大したものの、なお割高感は残っている。しかし、中東情勢の緊迫化で米国株の上値が重くなることが予想される。また、地政学的リスク回避の動きから、米長期金利が低下すると過熱感も徐々に低下していく。そのため、株価だけではなく今後の米長期金利の動向にも注意が必要となる。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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