FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月19日の米国株市場を先取り!米長期金利上昇で割高感強まる!

 

★NY株式市場では、三指数とも全て大幅下落する展開になった。金融のゴールドマンサックス(GS)の決算内容に失望した売りや、国債利回りが2年ぶり高水準に達し金利高を警戒した売りに、寄り付き後は下落した。著名投資家のアックマン氏が3月連邦公開市場委員会(FOMC)での50ベーシスポイントの利上げの可能性などを指摘するなど、連邦準備制度理事会(FRB)の急激な引き締めを警戒した売りが続き、終日軟調に推移した。NYダウは前日比で1.51%安、ハイテク株の多いナスダック総合指数は安値圏での引けで2.60%安、S&P500は1.84%安となった。一方、長期金利は、米連邦準備理事会(FRB)が3月にも利上げするのではとの観測が高まるなか、その後の追加利上げへの期待感も重なって金利先高観から米国債売りが優勢になった。利回りは2020年1月以来の水準を付けた。今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が大幅上昇したことで、米国主要三指数とも大幅下落したものの前日比で縮小して、割高感が強まった。このまま米長期金利が上昇するようなら、米国株の割高感が急速に強まりやすく、大幅な下落調整のトリガーになる。

 

世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米連邦準備理事会(FRB)が金融引き締めを急ぐタカ派姿勢を強まていることから、米長期金利が上昇することでイールドスプレッドが縮小しやすく株価は売られやすい地合いになっている。そして、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、世界的な株価にとって、ネガティブな材料となりやすい。米国株のVIX指数は19.19から22.79へ上昇した。再び20を上回ってきたことで、リスク回避の動きが強まりやすい地合いになっている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.280%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月14日:▲2.565%⇒1月18日:予想▲2.548%(前日比で縮小:割高)

 

1月18日のNYダウは続落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.280%から▲0.732%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.678%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.554%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.993%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.469%下回った。NYダウは、金利上昇や予想を下回るゴールドマン・サックスの決算を受けて投資家心理が悪化した。NYダウは649ドル安まで下落し、543.34ドル安(-1.51%)と大幅に3営業日続落した。NYダウ採用銘柄は、賃金などのコスト増により利益が予想を下回ったゴールドマン・サックスが6.97%安、JPモルガン・チェースも4.19%安と連れ安し、2銘柄でダウ平均を218ドル余り押し下げた。このほか、シスコ・システムズ、マイクロソフト、セールスフォースも2%超下落した。S&P500の11セクターはエネルギー(+0.40%)を除く10セクターが下落。IT、金融が2%超下落し、コミュニケーション、一般消費財も1.9%超下落した。アプライド・マテリアルズ(-8.77%)、エヌビディア(-3.86%))などの半導体株も軒並み安となり、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は4.44%安の大幅反落した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.779%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・1月14日:▲2.609%⇒1月18日:予想▲2.607%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が大幅反落した一方で、米長期金利も大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.779%から▲0.172%と平均値より上方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.262%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.395%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.572%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.892%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.615%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.766%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/11/23-1.299%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・1月14日:▲1.338%⇒1月18日予想▲1.336%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは大幅反落した一方で、米長期金利が大幅上昇したことでイールドスプレッドは前日比で大幅に縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.766%から▲0.430%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.843%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲1.047%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.162%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.467%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.758%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が大幅上昇した一方で、株価が大幅反落したものの前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.3%台前半でスプレッドが推移していることで割高感は継続している。2%台に拡大するまでは割安とは言えず、売られやすい地合いが継続する。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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