FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで1月13日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、三指数とも下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。史上最高値を付けた週末だったこともあり、利益確定売りが出やすい中12月米雇用統計が予想を下回る弱い結果となったことで売りが優勢となった。イールドスプレッドは株価下落と米長期金利低下から拡大したが、割高感が残っていることっから、さらに上値追いとなるには米長期金利の低下がポイントとなる。また、中東情勢の緊迫化が早々に解決するとは思えず、再びリスク回避の動きが強まることも予想される。そのため、中東情勢による米国株の影響と米長期金利の動向が重要なポイントとなる。再び米国株への過熱感が高まってきたことから、十分注意する必要がありそうだ。NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。NYダウは18年12月3日の天井となったイールドスプレッドを下回ってきたことから、過熱感が強まっている。

 

NYダウは下落したが、5日SMAの28,763ドルと10日SMAの28,696ドルを上回っており、上昇基調は継続している。また、ストキャスティクス・スロー(パラメータ:14、5、3、20、80)は、%Dが横ばいとなってきており、下押しバイアスが鈍化してきている。史上最高値圏に推移しており、しばらくは上下に振れる展開が予想される。NYダウは過熱感が出ており、いつ下振れしても不思議ではない状況となっている。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲4.109%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲3.069%、19/4/25-▲3.048%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/6/3-▲4.038%、

               19/8/5-▲4.102%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・1月9日:▲3.063%⇒1月10日予想▲3.122%

 

1月10日のNYダウが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲4.109%から▲0.987%と平均値よりかい離していることで割高になっている。18年12月3日の天井▲3.069%まで▲0.053%に接近してきた。19年4月25日の天井3.048%まで▲0.074%に接近してきた。NYダウにかなり過熱感が出てきた。

 

NYダウ下落したことで株式益利回りは上昇した。また、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大した。米国債券に対してNYダウが前日比で割安となった。前日比では米国債券を買うよりもNYダウを買う方が良いことになる。来週から本格化する米主要企業の10-12月決算を前にポジション調整目的の売りが優勢となった。史上最高値を付けたあとの週末をあって利益確定目的の売りが出やすかった。2度の墜落事故を起こした新型旅客機『737MAX』を巡る社内記録を公表したボーイングが2%近く下落し、指数の下落寄与度トップとなった。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲3.454%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲2.731%、19/4/25-▲2.966%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/6/3-▲3.881%、

                19/8/5-▲4.002%、19/8月15日-4.179%

・1月9日:▲3.042%⇒1月10日予想▲3.093%

 

S&P500が下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドは前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲3.454%から▲0.361%とかい離していることで割高になっている。また、18年12月3日の天井となった▲2.731%まで▲0.362%に接近した。19年4月25日の天井となった2.966%まで▲0.127%に接近した。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.970%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、19/4/25-1.468%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/6/3-▲2.328%、

              19/8/5-▲2.383%、 19/8/15-▲2.498%

・1月9日:▲1.502%⇒1月10日予想▲1.548%

 

NASDAQが下落したうえ、米長期金利も低下したことでイールドスプレッドが前日比で拡大(米国10年債金利に対して米国株は割安)した。平均値の▲1.970%から▲0.422%と平均値より縮小した。また、18年12月3日の天井となった▲1.198%まで▲0.350%に接近した。19年4月25日の天井となった▲1.468%まで▲0.080%に接近した。

 

NASDAQはハイテク関連銘柄が多く米中貿易摩擦の影響が大きく、三指数の中で上下に振れるボラティリティが最も高くなっている。特に米中通商協議の行方に左右されやすく、報道に振れやすい地合いとなっている。米中貿易交渉の進展期待が高まると買われやすい。一方で、米中関係悪化の報道では、売られやすい展開になりやすい。

 

三指数のイールドスプレッドは、三指数とも下落したうえ、米長期金利も低下したことで拡大した。米長期金利は低下したものの、1.80%台に上昇していることから、イールドスプレッドは縮小しやすい。中東情勢の緊迫化後退で債券売り(金利は上昇)と米国株高になりやすく、米国株に割高感がでやすい。そのため、株価だけではなく今後の米長期金利の動向にも注意が必要となる。また、中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇しやすい地合いとなっている。原油価格の上昇はインフレ率の上昇を招く要因となり、米長期金利の上昇材料となる。そのため、原油価格の動向にも注意を払う必要がある。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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