FITS エコノミックレポート

イールドスプレッドで10月29日の米国株市場を先取り!

 

★NY株式市場では、主要3指数とも全て上昇する展開になった。主要ハイテク企業を中心に良好な企業決算を材料に寄り付き後は上昇した。バイデン政権が1.75兆ドル規模の経済対策枠組みを発表したが、増税規模が想定内に留まり、買いが継続した。特に、長期金利の上昇が一段落したためハイテク株に引き続き買いが向かいナスダック総合指数は史上最高値を更新し終了した。一方、長期金利は、欧州中央銀行(ECB)の早期金融引き締め観測を背景に欧州債相場が下落(利回りは上昇)した。米国債にも売りが波及した。米国株相場の上昇で相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た面もあった。 今後も米長期金利の動向には注意が必要となる。イールドスプレッドからは、米長期金利が上昇してきていることから、やや割高感が出始めてきている。

 

世界的に感染拡大が縮小してきており、世界的な経済成長による景気回復に連れたインフレ懸念が高まってきている。特に、米国金利上昇は世界的な金利上昇を招くことになり、株価にとっては、ネガティブな材料となりやすい。一方、米国株のVIX指数は16.98から16.53へ低下した。VIX指数が20を下回っていることもあり、相場的には安定方向に向かっている。しかし、米長期金利が上昇しやすいことや株高が並行していることもあり、徐々に米国株式市場全般に割高感が浮上してきている。

 

NYダウの割高の目安は3.00%近辺、S&P500は3.00%割れ、ナスダックは1.5%以下が昨年からの割高の目安となっている。一方で割安の目安では、イールドスプレッドがNYダウ:4.0%台、S&P500:3.8%~4.0%台、NASDAQ:2.3%~2.5%台で割安感からの反発となりやすい。割安感となるイールドスプレッドを大幅に上回っていることから、相場が落ち着くと戻りも大きくなりやすい。

 

★米国市場のイールドスプレッドは、米国債金利と米国株益利回りを比較する指標である。株式市場は国債市場よりリスクが高いことから、株式市場に割高感が生じ国債市場に割安感が生じれば、投機筋は株式を売って国債を買う。また、国債市場に割高感が生じ株式市場に割安感が生じれば、国債を売却して株式を買うことになる。

そのため、株式市場の天底を探るひとつの参考指標となる。

 

米10年国債金利とNYダウ:2011/4/21以降の平均▲3.287%

・直近イールドスプレッド縮小:20/09/1‐▲2.867%、20/10/12-▲2.847%

                21/1/11-▲2.611%、21/10/21-▲2.758%

(NYダウが割高・米国10年債割安の状態)

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲4.226%、19/8/5-▲4.102%、

               20/2/28-▲4.541%、20/3/23-6.017%

(NYダウが割安・米国10年債割高の状態)

・10月27日:▲2.975%⇒10月28日:予想▲2.918%(前日比で縮小:割高)

 

10月28日のNYダウが反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲3.287%から▲0.369%と平均値より下方かい離したことで割高になった。19年1月3日の大底▲4.226%から▲1.308%下回った。19年8月5日の大底▲4.102%を▲1.184%下回った。20年2月28日の大底▲4.541%から▲1.623%下回った。20年3月23日の6.017%から▲3.099%下回った。NYダウは、フォード、メルク、キャタピラーなどの主要銘柄の好決算発表が続いたほか、新規失業保険申請件数が予想以上に減少したこと、インフラ投資法案への期待などが支援となった。NYダウは239.79ドル高(+0.68%)と反発し、最高値をわずかに下回って終了した。

 

米10年国債金利とS&P500:11/4/21以降の平均▲2.778%

・直近イールドスプレッド縮小: 20/08/27-▲2.677%、20/10/12-▲2.664%

               20/12/08-▲2.666%、21/1/11-▲2.320%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲3.869%、19/8/5-▲4.002%、

                19/8/15-▲4.179%、20/2/28-4.499%

               20/3/23-▲6.222%

・10月27日:▲2.883%⇒10月28日:予想▲2.814%(前日比で縮小:割高)

 

S&P500が反発したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は前日比で割高)した。平均値の▲2.778%から+0.036%と平均値より上方かい離したことで割安になった。また、19年1月3日の大底となった▲3.869%を▲1.055%下回った。また、19年8月5日の大底となった▲4.002%を▲1.188%下回った。19年8月15日の▲4.179%を▲1.365%下回った。20年2月28日の大底▲4.499%から▲1.685%下回った。20年3月23日の6.222%から▲3.408%下回った。

 

米10年国債金利とNASDAQ:11/4/21以降の平均▲1.773%

・直近イールドスプレッド縮小:18/12/3-▲1.198%、21/1/11-1.066%

              21/2/16-1.144%、21/10/21-1.342%

・直近イールドスプレッド拡大:19/1/3-▲2.179%、19/8/15-▲2.383%、

              19/8/15-▲2.498%、 20/3/16-▲4.094%

・10月27日:▲1.532%⇒10月28日予想▲1.464%(前日比で縮小:割高)

 

NASDAQは続伸したうえ、米長期金利も上昇したことでイールドスプレッドは前日比で縮小(米国10年債金利に対して米国株は割高)した。平均値の▲1.773%から▲0.309%平均値より下方かい離したことで割高になった。また、19年1月3日の大底となった▲2.179%に対しては▲0.715%下回った。19年8月5日の大底となった▲2.383%に対して▲0.919%下回った。19年8月15日の大底となった▲2.498%に対して▲1.034%下回った。20年2月28日の大底2.803%から▲1.339%下回った。20年3月16日の▲4.094%から▲2.630%下回った。

 

NASDAQのイールドスプレッドは、米長期金利が上昇したうえ、株価が続伸したことで前日比で縮小した。イールドスプレッドは以前より半分以下まで縮小しているため、引き続き割高感から利益確定売りが出やすい地合いとなっている。NASDAQ総合指数のイールドスプレッドは、▲1.4%台半ばまで縮小推移していることで割高感が強まっている。

 

※PERの発表が時間的に遅行することから、前営業日の数値を使って当日終了時の予想を算定している。

 

※毎日イールドスプレッドを掲載していますので、米国株式市場の買われ過ぎ・売られ過ぎなど過熱感の目安としてください。

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