FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/30/15:18:08

日経平均株価:NYダウ高や円安を好感した買い

前日の米国株市場では、NYダウが小幅高で取引を終了したことや、為替が1ドル=108円後半と前日から円安方向に振れたこともあり、東京市場は上昇して始まった。その後、NYダウ先物市場や上海株の堅調推移も投資家心理を支えた。日銀が金融政策決定会合で金融政策の現状維持を発表したことを受け、為替がやや円高方向に振れ、日経平均先物も上げ幅を縮小した。結局、92円高の2万1709円と3日ぶりに反発して終了した。

 

東京外国為替市場:日銀政策決定会合に失望したドル売り

ドル/円は、日経平均株価の反発や国内輸入企業のドル買い・円売りに支えられて一時108.94円付近まで値を上げ、約3週間ぶりの高値を付けた。しかし、心理的節目の109.00円付近まで接近すると、上げが一服した。その後は、利益確定売りやも戻り待ちのドル売り・円買いに押されて、108.75円付近へじり安となった。日銀金融政策決定会合で現時維持となったことや、フォワードガイダンスも据え置かれたことにドル/円は失望感が広がり108.65円近辺まで値を下げた。午後もこの流れが続き、日経平均株価が伸び悩むと、さらにドル売り・円買いが進み108.57円付近まで下押しした。黒田日銀総裁の会見を控えていることから、様子見ムードが広がり下げ渋る展開となった。ユーロ/ドルは、1.114ドルっ前後で方向感を欠く展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

米中貿易交渉の閣僚級協議が再開中

30-31日に米中貿易交渉の閣僚級協議が再開される。現状段階では『摩擦解消に向けた進展への期待は低い』、『中国の補助金や技術移転の強要、知的財産権侵害といった対立の本質的な問題で進展を見込むのは厳しい』といった慎重見通しが優勢になっている。一方で前週末までにはファーウェイ(華為技術)への部分的な制裁緩和や、中国による米国産農産物の購入といった動きも見られている。30-31日の会合では失望リスクと同時に、部分的な対立緩和と歩み寄りの動きも焦点になる。

 

週末の英紙は『合意なき離脱』一色の報道

英サンデー・タイムズ紙は、ジョンソン首相はブレグジットまで間もないことで『戦時内閣』を結成し、何が何でも必要なことを行い、『合意無き離脱』がとても現実的になってきたと報じている。首相はブレグジットがらみの全ての決定を『合意なき離脱』肯定派の(首相を含めた)6人の閣僚(ゴーブ国務相、ラーブ外相、ジャヴィド財務相、バークリーEU離脱相、コックス法務長官)で行うとしている。 同紙は、戦時内閣は『合意無き離脱』に際しての、緊急予算を10月7日の週に準備をしているとも報道している。また『サンデー・テレブラフ』紙も同様に、ジャヴィド財務相が10月31日のために、緊急予算を準備しているとも報じている。「サンデー・エクスプレス」紙は、仮に内閣不信任案が通ったとしても、法的に10月31日に英国はEUから離脱できると、コックス法務長官の発言を引用して報じた。法務長官は『仮に総選挙に突入しても、その間に離脱することができる』とも話したことを報じた。
 「ガーディアン」紙も、もしEUが現在の合意案と、アイルランドのバックストップ案を撤回しない限り、首相はEUとの交渉には応じず、『合意なき離脱』に進むだろうと報じた。 ここでは一部の英紙しか取り上げていないが、週末の英紙はまさにブレグジット一色だった。元々ジョンソン首相はトランプ米大統領の英国版と言われているだけあり、政策は分かりやすい。また、政治手法も側近や同じ考え方の人物だけの意見しか聞かない姿勢も似ている。『合意なき離脱』が現実的に見えてきたことで、英国だけでなく、本邦企業や投資家も『合意なき離脱』に備える必要がある。

 

貿易・通貨戦争リスク

米連邦準備制度理事会(FRB)は今週予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)で2008年以降11年ぶりの利下げに踏み切る可能性が高い。FRBのイエレン前議長は28日にコロラド、アスペンで開催されたアスペン経済戦略グループ会合において、25ベーシスポイントの利下げを支持する考えを示した。世界経済の弱さに加えて、米国のインフレも『低すぎる』と指摘した。また、イエレン前議長は、『米国は島国ではなく、世界経済の一部である。欧州、アジア、世界で起こっていることは米国経済に影響する』『米国の金融政策が世界に影響を与えるとの考えもただしい』と指摘した。一方、トランプ大統領はFOMCを控え、『欧州や中国は利下げや金融システムに資金を供給することで自国通貨を安くし、製品を海外に売却しやすくしている。中国や欧州に比べてFRBは非常に小幅な利下げを行うようだ』『FRBは間違った動きをした。小幅な利下げは不十分。しかし、我々は結局勝つことになるだろう』
『利上げペースが速すぎ、過剰だった』と、FRBに大幅な利下げを実施するように圧力をかけた。 さらに、トランプ大統領は29日記者団に、ドルに関して何かする可能性は除外しないとした。貿易・通貨戦争のリスクは存続する。利下げに舵を切るFRBの次のタイミングは ISMや雇用統計次第で市場の反応も大きく変わる 。

 

市場予想を上回る好調な4-6月期米企業決算

今年4-6月期の米国企業の利益は予想以上に好調となっている。これを手がかりに今月に入り株式相場は上昇し、貿易と経済成長を巡る懸念から注意がそれている。S&P500種指数を構成する500社のうち221社が26日までに決算発表を終えた。調査会社ファクトセットによれば、そのうち170社で業績が市場予想を上回り、投資家を驚かせた。26日の米株式市場で、いずれも業績が予想を上回ったハイテク大手のアルファベットは9.6%高、ツイッターは8.9%高をつけた。

 

欧米市場のポイント

○15:00   8月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:9.7)
○15:45   6月仏財政収支
○15:45   6月仏消費支出(予想:前月比0.2%)
○16:00   7月スイスKOF景気先行指数(予想:93.0)
○16:30   4-6月期スウェーデンGDP(予想:前期比0.3%)
○18:00   7月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲6.6)
○18:00   7月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:102.6)
○21:00   7月独消費者物価指数(CPI)速報値(予想:前月比0.3%/前年比1.5%)
○21:30   6月米個人消費支出(PCE、予想:前月比0.3%)
       6月米個人所得(予想:前月比0.4%)
       6月米PCEデフレーター(予想:前年比1.5%)
       6月米PCEコアデフレーター(予想:前月比0.2%/前年比1.7%)
○22:00   5月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比2.4%)
○23:00   6月米住宅販売保留指数(仮契約住宅販売指数、予想:前月比0.5%/前年比0.7%)
○23:00   7月米消費者信頼感指数(予想:125.0)
○米中閣僚級貿易協議(上海、31日まで)
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
○米大統領選に向けた第2回民主党討論会(デトロイト、31日まで)

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/29/15:18:43

日経平均株価:円高進行や上海株が軟調だったことを嫌気

日米の金融政策イベントを前に手控えムードが出る中、半導体・電子部品株などが利益確定や調整で売られた。米利下げ思惑から円高進行し自動車関連株も軒並みや巣となった。上海株や株価指数先物がやや軟調に推移したことも上値を重くした。先週の決算発表の内容を嫌気した売りが目立った。一時下げ幅を130円超へ広げたが後場押し目買いに支えられた。結局、前週末比41円安の2万1616円と続落して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利低下と日本株安を嫌気した円買い

ドル/円市場は、米長期金利の低下や日経平均株価のさえない動きをながめ、108.39円近辺まで下落した。月末に絡む国内輸出企業のドル売り・円買いも観測された。しかし、26日に発表された4-6月期米国内総生産(GDP)速報値が予想を上回り、米経済は底堅いとの見方が広がっているため、下げは一服した。その後は値ごろ感からドルの押し目買いが入り108円半ば近辺に戻した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108円台半ばもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、1.11ドル台前半でユーロの上値が重い展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ドイツ銀行のなりふり構わぬリストラコスト回避

ドイツ証券の株のリスクビジネスをBNPパリバが引き取るという噂がある。日銀などの顧客ビジネスが出来るという触れ込みがある。しかし、既に退職者が多く、実質的に機能していないとみられるチームをパリバに引き取ってもらう背景には、ドイツ銀行にとってなりふり構わぬリストラコスト回避の狙いがあるのではないかと見られている。

 

コメ先物の試験上場延長を申請:堂島商取

大阪堂島商品取引所は29日の臨時総会で、8月7日に期限が迫る試験上場のコメの先物について、試験上場の延長を農林水産省に申請することを決議した。延長申請は4度目となる。当初、目指していた常設の本上場への移行は断念し、2年間の試験上場でコメ先物の存続を目指す。堂島商取の岡本理事長は『本上場への移行はかなわなくなったが、試験上場で承認を得るチャンスはあるので、全力を尽くしたい』と述べた。農水省は申請を受け、8月7日までに延長を認めるかどうか判断する。堂島商取は7月16日に本上場を申請したが、22日に農水省から取引量が前回の試験上場期間から4割減っており、移行の基準を満たさないとの連絡を受けていた。試験上場は本上場より取引量など審査基準が厳しくはない。ただ、過去に4度の試験上場が延長された例はないだけに、許可されるかどうかは予断を許さない。2011年に試験上場で72年ぶりに取引が復活したコメ先物は前回3度目で商品先物が試験上場延長の最多回数を更新している。今回許可されれば期間でも10年となり、ブロイラー先物の9年を抜いて最長となる。

 

ECBは9月会合で追加緩和に踏み切る可能性も

ECBは先週24日定例理事会で予想通り、政策金利据え置きを決定した。同時フォワードガイダンスを必要であれば『少なくとも2020年上半期まで現行の政策金利を維持』から『少なくとも2020年上半期まで現行の金利または、それ以下の水準を維持する』に変更した。また、『金利階層化を含む選択肢の検討を指示、潜在的な新たな資産購入の選択肢を検討』と加え、9月会合での追加緩和に踏み切る可能性を示唆した。一部では低調なドイツやフランスの製造業PMIを受けて7月会合でECBのサプライズ利下げの期待もあったため、政策金利の据え置きで失望感が一時強まった。

 

米貿易赤字は拡大で為替に関する言及が増える可能性も

トランプ米大統領は、2020年11月の米大統領選挙での再選を目指して貿易不均衡是正を目論んでおり、通商政策として関税を引き上げることで貿易摩擦・戦争を仕掛けてきた。しかしながら、2017年の就任以来の米国の貿易赤字は減少するどころか、拡大傾向にあり『中国と欧州は為替操作ゲームを興じている。我々も同じ事(為替操作=ドル売り介入)をやるべきだ』と警告している。日本への言及が無かったのは、参議院選挙前だったからであり、今後は容赦されないことで、予断を許さない状況が続く。国際通貨基金(IMF)は、年次の『対外部門の安定性に関する報告書』で、ドルは短期のファンダメンタルズに基づくと6-12%過大評価されているとの見解を示している。また、経済協力開発機構(OECD)の購買力平価モデルによると、ユーロはドルに対して20%程度、人民元は48%程度、円は10%程度過小評価されていると示している。

 

米トランプ政権は為替介入を排除していない

ラリー・クドローNEC委員長が26日に米経済専門チャンネルのCNBCのインタビューで、為替介入について協議したものの『最終的に見送ることを決めた』との見解を示した。これについて、JPモルガン証券は29日付けのレポートで、『もっともその後、日本時間27日(土)午前9時頃にトランプ大統領が『介入を排除したわけではない』、『ドルの価値にたいして何も行動を起こさないとは言っていない。やろうと思えば2秒でできる』と発言したと伝えられている。ドルの実質実効レートはプラザ合意直前に比べればはるかに低水準だが、ハイテクバブルの頃の水準にはだいぶ近づいている』と指摘した。その上で『今後の米国のドル政策に対しては注意が必要だろう』とし、実質実効レートのドル高が進む中、トランプ政権の為替政策の先行きを警戒している。

 

欧米市場イベント

○15:00   6月南アフリカマネーサプライM3(予想:前年比8.50%)
○17:30   6月英消費者信用残高(予想:9億ポンド)
○17:30   6月英マネーサプライM4

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/26/15:11:47

日経平均株価:利益確定売りに押され軟調地合い

前日まで3日続伸し2ヵ月半ぶりの水準へ上昇していたこともあり、米国株安をきっかけに利益確定売りが出た。週末を控えてポジション調整売りも出やすかった。前日発表した決算の内容がさえなかった銘柄も朝方から売られた。市場では『米国株市場でナスダック総合が下落した影響もあり、ここまでけん引してきた指数寄与度の高い銘柄の足が止まった』との指摘もあった。一時150円超へ下げ幅を広げたが、結局、前日比98円安の2万1658円と反落して終了した。

 

東京外国為替市場:108円台半ばで底堅い展開

ドル/円は、短期筋などのドル買い・円売りが先行し108.74円付近まで小幅に上昇した。しかし、前日の海外市場で付けた約2週間ぶりの高値108.75円が意識されると、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下や、日経平均株価の反落をながめたドル売り・円買いに押され108.53円近辺まで軟化した。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、108.60円台を中心に狭いレンジ内でもみ合い展開となった。ユーロ/ドルは、1,11ドル台半ばで方向感に欠く値動きとなった。欧州勢待ちの様相となっている。

 

ECB定例理事会では政策金利据え置きと9月の追加緩和を示唆

欧州中央銀行(ECB)は定例理事会で大半の予想通り政策金利据え置きを決定した。同時にフォワードガイダンスを必要であれば『少なくとも2020年上半期まで現行の政策金利を維持』から『少なくとも2020年上半期まで現行の金利または、それ以下の水準を維持する』に変更した。また、『金利階層化を含む選択肢の検討を指示、潜在的な新たな資産購入の選択肢を検討』と加えた。今回の会合では一部ではサプライズ利下げの思惑もあったが政策金利を据え置き、9月の追加緩和を示唆した。
ドイツやフランスの製造業の悪化が止まらず、ドラギ総裁も会見で、見通しは悪化する一方だとし、もはや下半期の景気回復は見込めないと指摘した。指標が第2四半期、第3四半期の成長減速を示唆しているとした。一方で、雇用や資産規模の拡大で消費が強く、リセッションリスクは少ないと指摘している。市場の焦点は来週開催される連邦公開市場委員会(FOMC)に移行した。

 

ドラギ総裁は会見でトランプ大統領を意識したのか

ECB定例理事会後の会見に臨んだドラギECB総裁は、低インフレに苛立ちをあらわにする一方で、将来の具体的な緩和策については『(理事会で)議論しなかった』で押し通した。今の時点で悲観的になる必要はないとも述べ、これらの発言がユーロ買いを後押しした。利下げや量的緩和など一連の『緩和パッケージ』を検討するとした声明の『ハト派』の印象を、ドラギ氏が修正した格好となった。市場で『ドラギ総裁が意識したのかもしれない』と囁かれるのはが、米政権によるドル売りの為替介入の可能性である。米国の市場関係者やメディアの間では、IMFが『ドル割高』と指摘したのも手伝い、7月頃から取り沙汰されるようになった。トランプ米大統領が度々名指しで批判するのがユーロ安。ドラギ総裁が追加刺激策が必要になると発言しユーロ安・ドル高が進んだ6月も、すかさず『米国との競争を不当に簡単にしている』とツイッターで『口撃』していた。ただ、米財務省は半期に一度の為替報告書を通じて日本や中国など他国の為替操作を監視している。自ら介入に動けば、他国を批判する根拠を手放すことになる。

 

トルコ中銀が予想以上の利下げで売りも声明文後に買い戻し

7月初旬にトルコ中銀のチェティンカヤ総裁が突如更迭され、ウイサル新総裁にとって始めての金融政策委員会が開かれ、政策を発表した。内容としては政策金利となる1週間物レポ金利を24.00%から19.75%へ大幅に引き下げた。市場予想は21.50%への利下げだったため、市場の予想以上の引き下げ幅となった。大幅利下げの理由はインフレが低下したことが最大の要因だということ。国内経済については、輸出・観光など好調で、今後も引き続きトルコ経済を支えていくと強気な見解を示していることを見ると、景気後退・インフレ高というスタグフレーション状態における利下げ措置ではなく、インフレの改善により景気をさらに押し上げるための緩和措置という捉え方ができる。 外国為替市場では、予想よりも大幅な利下げに最初こそトルコリラ売りで反応したものの、声明文が悲観的ではなく、さらなる利下げにも言及しなかったことで一転してトルコリラを買い戻す動きが広がっている。ただ、今回の大幅な利下げがトルコ政府による圧力に屈したということであれば、中銀に対する信頼は損なわれることになる。

 

米国市場では4-6月期国内総生産(GDP)速報値が公表

参考となるアトランタ地区連銀の経済予測モデル『GDP Now』によると7月17日時点で前期比年率+1.6%となっている。雇用、個人消費は悪くないものの、期間内における最高の成長率(予測値)は2.1%にとどまっており、4-6月期の経済成長率は最終的に1%台後半にとどまる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○15:00   6月独輸入物価指数(予想:前月比▲0.8%/前年比▲1.5%)
○15:45   7月仏消費者信頼感指数(予想:101)
○15:45   6月仏卸売物価指数(PPI)
○19:30   ロシア中銀、政策金利発表(予想:7.25%に引き下げ)
○21:30   4-6月期米国内総生産(GDP)速報値(予想:前期比年率1.8%)
       個人消費(速報値、予想:前期比4.0%)
      コアPCE(速報値、予想:前期比2.0%)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/25/15:09:49

日経平均株価:投資家心理改善で買い優勢に

米国市場ではS&P500種とナスダック総合が終値で最高値を更新し、投資家心理は上向き朝方から買いが先行した。ソフトバンクグループやアドバンテストなど指数寄与度の高い銘柄が堅調に推移したことも支援し、取引時間中として5月7日以来約2ヵ月半ぶりの高値をつけた。市場からは、投資家が米経済への信頼感を強めているとの声が出ていた。ただ、戻り待ちの売りに押され、結局、前日比46円高の2万1756円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ECB理事会を控えて小動きの展開

ドル/円は、日経平均株価の続伸をながめ108.24円付近まで小幅に上昇した。しかし、前日に発表された低調な米経済指標が意識され、ドル買い・円売りは続かなかった。その後は短期筋の利益確定売りに押されて108.10円台へ下落した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数をにらみながら、108.10円を挟んでもみ合う展開となった。ユーロ/ドルは、今晩のECB理事会で、近い将来の金融緩和や利下げが示唆されるとの思惑からユーロ売りが優勢となり、1.11ドル台前半の安値圏で推移した。

 

欧州市場ではECB理事会を開催

先に公表された理事会議事要旨(6月5日-6日分)には『理事会は緩和政策を準備する必要性で一致』、『市場ベースでのインフレ期待が低下している』などの意見が盛り込まれていたユーロ圏の経済見通しは不透明であるものの、早期の景気回復は難しいことから、今回の理事会では追加緩和の必要性について議論し、9月の理事会で結論を出す方向になると予想される。

 

新首相になっても英国の合意なき離脱懸念は強い

強硬離脱派の支持を受けて誕生するジョンソン首相は、EUからの離脱実現、分断した英国世論の融和、保守党の建て直し、明るい将来像を描くことを目指している。まずは10月31日に協議期限を控え、離脱実現が最優先課題となる。 ジョンソン氏には現実主義者としての一面もあるが、近い将来に総選挙が行われる可能性もあり、保守党の支持回復に向け、強硬な離脱主張を繰り返すことが予想される。EUとの協議は平行線のまま、秋の離脱期限を迎えることになりそうだ。
 議会は合意なき離脱の阻止に動くとみられるが、合意なき離脱の可能性を排除しない政府を止めることは難しい。ジョンソン氏の暴走を止める最終手段は内閣不信任案となる。離党覚悟で与党議員の一部が同調すれば内閣不信任案が成立し、議会の解散・総選挙が行われる。
 現在の世論調査からは、労働党が政権を奪取し、自由民主党と連立を組むことが示唆される。その場合、国民投票の再実施を通じてEU残留に近づく。だが、ジョンソン首相誕生で保守党の支持率は回復するとみられる。 保守党が議会の安定多数を確保すれば、EUからの譲歩も引き出しやすくなる。問題は保守党の支持回復が中途半端なものに終わり、ブレグジット党の協力で政権を維持する場合。EUとの関係は悪化し、合意なき離脱に突き進む恐れが高まる。 

 

財政の崖は回避したが米国は将来の債務リスクが高まる

米大統領と議会指導部は22日、連邦政府の債務上限引き上げと2年間で3200億ドル(約34兆円)の歳出増で合意、米国債デフォルト(債務不履行)や「財政の崖」による混乱は回避したが、新規国債の大増発は避けられず、財政赤字1兆ドル突破が確実視される。米連邦政府の債務残高はすでに22兆ドルに達し、CBO(議会予算局)はこの5月に今後10年間の財政赤字累積が9兆ドルを超すと試算した。低金利にも拘わらず利払い費は19年度時点で3900億ドルと主要国で突出している。だからこそ、米FRBは7月FOMCで世界経済減速や米中貿易戦争を巡る不確実性、インフレ圧力低下を受けて25bpの利下げの腹を固めている。

 

米国の25ベーシスポイントの利下げが正当化

米連邦準備制度理事会(FRB)が来週開催する連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて利下げの幅を見極める上で、最新の経済指標の結果に焦点が集まる。金融政策を判断する上で重要な指標、小売売上高、雇用統計、生産者物価指数、消費者物価指数の6月分は軒並み予想を上回っており、25ベーシスポイントの利下げが正当化されるとの見方が大半となっている。しかし、関税や世界経済の鈍化が影響した製造業関連指数や住宅関連指標は依然弱い。7月の欧州やフランスの製造業PMIと同様に米国の7月製造業PMI速報値も50.0と、かろうじて活動の縮小は免れた。50は活動の縮小と拡大の境目となっている。ただ、7月のサービス業PMI速報値は好調で、消費が引き続き米国経済の成長を支援している新たな証拠となった。FOMC直前に発表される4-6月期国内総生産(GDP)速報値は1-3月期の3.1%成長から鈍化する見通しだが、予想をさらに下回ると利下げをさらに確実なものとする。

 

 

米国市場では6月耐久財受注が公表

5月実績は、前月比▲1.3%だった。民間航空機・同部品の受注額が主に減少した。ただ、輸送関連を除くと新規受注額はやや増加した。『航空機を除く非国防資本財』(コア資本財)の受注も増えた。6月については5月に減少した反動で増加が予想されるが、コア資本財については横ばいか、わずかな増加にとどまる見込みとなっている。

 

欧米イベント

○16:30   6月スウェーデン失業率(予想:6.8%)
○17:00   7月独Ifo企業景況感指数(予想:97.1)
○18:30   6月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.4%/前年比5.8%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:21.50%に引き下げ)
○20:45   欧州中央銀行(ECB)定例理事会、終了後政策金利発表(予想:0.00%に据え置き)
○21:30   ドラギECB総裁、定例記者会見
○21:30   6月米耐久財受注額(予想:前月比0.7%/輸送用機器を除く前月比0.2%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:21.9万件/168.8万人)
○26日02:00   米財務省、7年債入札

 

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

欧米タイム直前市場コメント!

2019/07/24/15:10:22

日経平均株価:米中貿易協議に対する懸念がやや後退を好感

米国株の主要3指数が上昇した流れを引き継ぎ、朝方から買いが先行した。米中貿易協議に対する懸念がやや後退する中、中国株がしっかり推移したことも日本株の支えとなった。米国企業決算は、これまで第2・四半期決算を発表したS&P500種の構成銘柄の約80%が予想を上回り、概ね好調となった。米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表らが来週29日に上海を訪問すると報じられたことなども好感され、米国株は検討に推移した。結局、前日比88円高の2万1709円と続騰して終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利の低下をながめドルの上値重い展開

ドル/円は、日経平均株価の上げ幅が一時100円を超えたことに支えられて、108.28円付近まで小幅に値を上げた。しかし、前日の海外市場でつけた戻り高値108.29円が意識されると、上げは一服した。その後は、米長期金利の低下をながめたドル売りに押され、108.15付近へ軟化した。午後は、日経平均株価や上海総合株価指数の動向をにらみながら、108.10円台を中心とした狭いレンジでもみ合いとなった。ユーロ/ドルは1.11ドル台半ばで方向感を欠いた展開が続いた。欧州勢待ちの様相となっている。

 

 IMF世界経済の成長見通しを引き下げ:リスクは下方と警告

国際通貨基金(IMF)は最新の世界経済見通しで2019年の成長率を4月の+3.3%から+3.2%に下方修正した。世界経済の成長は過去10年間で最低の伸びにとどまると見ている。米中の貿易摩擦、英国の欧州連合(EU)離脱の不透明性がくすぶり、主要リスクは下方だと警告した。また、物価圧力が弱く低金利が続くため、ショックへの対応の金融政策の余地を狭め、ショックを受けた低成長が通常よりも長引く可能性があると指摘した。IMFはさらに、米国のトランプ政権による貿易政策が米国経済以上に中国経済に害を与えていると指摘した。実際2019年の中国経済の成長率を6.2%と、4月6.3%から下方修正した一方で、2019年米国経済の成長率を2.6%と、4月の2.3%から引き上げた。中国との貿易交渉において、米国のレバレッジも高まる。関税が米国経済に与える影響が最小限にとどまる中、米国政府による追加関税は中国経済のみならず世界経済をもさらに悪化させることになる。

 

英国の呼びかけに欧州諸国が動く:中東情勢が複雑化

英国が中東ホルムズ海峡における船舶の安全確保に向け欧州諸国と連携する計画を打ち出したことに対し、フランス、イタリア、デンマークが賛同を示した。欧州連合(EU)の複数の外交筋が23日、明らかにした。 イランの精鋭部隊『イスラム革命防衛隊』は19日、英船籍の石油タンカー『ステナ・インペロ』をホルムズ海峡で拿捕(だほ)した。これを受け英国のハント外相は22日、同海峡を航行する船舶の安全確保に向け欧州が主導する態勢の構築を目指すと表明した。米国も6月下旬に北大西洋条約機構(NATO)で類似の連携を呼び掛けたが、欧州諸国は明確な反応は示していなかった。 EU外交官は『米国ではなく英国が呼び掛けたことで、欧州諸国は集結しやすくなる』と指摘した。ただ『航行の自由は必要不可欠なため、米国のイランに対し最大限の圧力を掛ける戦略とは区別して考える必要がある』とも述べた。

 

英国のジョンソン新首相が描く3つのシナリオ

シティクループ証券の24に津付けリポートで、英保守党の党首選でジョンソン前外相が勝利したことを受けて、24日にメイ現首相の後継首相に就任する。次期首相が描いているシナリオは次の3つあると指摘。①欧州連合(EU)との新しい離脱協定の締結(但しEUは否定的)、②関税と貿易に関する一般協定(GATT)24条に適用し、EU離脱後も通商協議中は現在の自由貿易協定(FTA)を維持しる、③世界貿易機関(WTO)ルールへの移行(つまりノーディール・ブレグジット)の3つのシナリオを指摘しつつ、①と②は現実的にはハードルは高く④EU基本法第50条による離脱再延長を経て、総選挙が実施される可能性が最も高いとし、④が起こりうる主観的な確率を50%と見込んでいる。さらに、この④基本シナリオに続くのが③ノーディール(同35%)だが、これにはジョンソン政権が主体的に選択するパターンと、英国以外の全ての加盟国が合意する必要があるEUの離脱延長承認が不調に終わるパターンがあると指摘している。野党労働党や保守党の穏健派の間にジョンソン新首相の不信任案を試みる動きもある。

 

マネー逃避先は金より日本円が有利:米ゴールドマンサックス

米ゴールドマンサックスが顧客向けリポートで、相場ショック時のマネー逃避先は金より日本円が有利と推奨し、金融市場で話題になっている。伝統的に日本円や金は安全資産として見なされ、投資家がリスク回避的になると買われやすくなる。金は足もとで約6年ぶりの高値圏にあり、円は相対的に割安と指摘している。米国株をはじめ世界の株式市場は、金融緩和期待から高値圏にある。ただ、世界景気の減速で、投資家の間で割高感が意識されている。英国のEU離脱問題や中東情勢など地政学リスクの高まりで、ショック時や弱気相場に入った場合の式逃避先が議論になっている。ゴールドマンは金を買う権利(コール・オプション)価格が、円のコール・オプション価格に比べて割高になっていると指摘し、円が相対的に有利と指摘している。

 

欧米イベント

○15:45   7月仏企業景況感指数(予想:106)
○16:15   7月仏製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値(予想:51.6)
○16:15   7月仏サービス部門PMI速報値(予想:52.6)
○16:30   7月独製造業PMI速報値(予想:45.2)
○16:30   7月独サービス部門PMI速報値(予想:55.3)
○17:00   7月ユーロ圏製造業PMI速報値(予想:47.6)
○17:00   7月ユーロ圏サービス部門PMI速報値(予想:53.3)
○17:00   6月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比4.7%)
○17:00   6月南アフリカ消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.3%/前年比4.4%)
○20:00   MBA住宅ローン申請指数
○22:45   7月米製造業PMI速報値(予想:51.0)
○22:45   7月米サービス部門PMI速報値(予想:51.7)
○22:45   7月米総合PMI速報値
○23:00   6月米新築住宅販売件数(予想:前月比6.0%/66万件)
○23:30   EIA週間在庫統計
○25日02:00   米財務省、5年債入札
○ボリス・ジョンソン氏が英首相に就任
○欧州連合(EU)財務相理事会(ブリュッセル)

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ