FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:高値更新から利益確定売りが優勢

前日のNYダウの上昇を受けて回遊性だったが、前日に終値で27年ぶりの高値を更新して達成感が出ており、短期筋の利益確定売りに押された。また、南シナ海の南沙諸島を巡る軍事的な米中緊張が伝わったことも売り材料となった。さらに為替市場で円安・ドル高基調に一服感が出ていることも売りを促した。しかし、後場には、押し目買いも入り上げに転じた。結局、前日比24円高の2万4270円と3日続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:ハンセン株下落やイタリアの財問題懸念で円買い

ドル/円は、114円台定着に失敗したことで、持ち高調整などのドル売り・円買いに押されて113.83円近辺まで押された。休場明けの香港ハンセン株が2%超下落したことや日経平均株価が急速に伸び悩んだこともリスク回避の円買いを誘った。ただ、下値では日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りも見られた。午後は全般円買いの動きが強まり113.80円付近まで下げた。ユーロ/ドルは、イタリアの財政問題に対する根強い懸念から短期筋などがユーロ売り・ドル買いを持ち込み、1.1540ドル台へ下落した。

 

米中貿易戦争は小休止だが

今週は中国市場が1日から7日にかけて、『国慶節で長期休場』となる。米国と中国による通商対立での非難合戦が小休止となるほか、中国の株安による日本への株安・円高波及ノイズも抑制される。ただし、中華圏などのアジア休場の場合、ちょっとした悪材料の浮上で『アジア株を売れないヘッジ対応』が日本市場へと集中する。流動性の低下とあいまって、単発的に日本で株安とリスク回避の円高が激化される波乱余地も残されている。

 

ユーロの重石となるイタリアの財政赤字問題

前週末28日にはイタリア政府が示した2019年予算で、財政赤字が従来目標よりも大幅に拡大する見通しとなり、ユーロ安や欧州の株安が後押しされる場面があった。今後は格下げリスクのほか、15日までの正式予算案のEU提出や20日までのイタリア政権内での閣議了承、その前後でのEUによる拒否牽制や伊政権内での対立迷走を含めて、突発的なリスクとなる可能性がある。

 

今週の為替の注目点:米9月雇用統計

為替相場で注目されるのは、5日の米9月雇用統計だ。8月は雇用、平均賃金とも改善しただけに、通商摩擦懸念などとあいまって反動調整的な鈍化が警戒される。ただし、同じ9月分のコンファレンスボード消費者信頼感指数は、高水準に上昇した。内訳では、雇用を『十分』とする回答が前月の42.3%から45.7%に増加した。所得は6カ月後の予想で『減少』とする回答が6.5%となり、7月の9.4%、8月の6.9%から連続での減少となっている。米国では季節的に年末商戦に向けた早めの雇用確保も始動しつつあり、9月の雇用統計や平均賃金が改めて堅調さを示す可能性は無視できない。

 

経済学的には米長期金利の上昇余地

中長期スパンでのドル/円のドル高トレンドを支援するのが、米10年債金利の上昇余地となる。経済学的に長期金利は先行き期待を含めて、『経済成長率+インフレ率+財政プレミアム』が一つの適正理論値と定義されている。このうち成長率とインフレ率だけを見れば、単純に9月の米ISM製造業景況指数は61.3となり、14年ぶりの高水準を記録した。同じ9月分のインフレ指標では、PCE(個人消費支出)コアデフレーターが前年比+2.0%となり、4カ月連続で2012年4月以来の2%超えを維持させている。
よって、ISM指数を10で割った6.13とPCEコアデフレーター前年比2.0%の単純合計は、8.1(前月7.8)となって、実に2004年6月以来の高水準となってきた。2004年6月に米10年債金利は4.5%から4.8%で推移しており、今年9月の月間最高3.1%は『適正理論値の参考道標』との距離感で低過ぎる状態にある。米10年債金利と、この単純合計の差し引き格差は-5.1となり、昨年12月や2016年10月、2012年10月など以来の金利が低過ぎる下方乖離となってきた。いずれもその後は『金利下がり過ぎの修正』が入り、米10年債金利の上昇とドル/円でのドル高が後押しされた実績を有している。しかも現在はFRBが正常化利上げの仕上げに向かいつつあり、米10年債金利も過去比での正常化水準までの上昇余地が残されている。

 

欧米イベント

○15:00   9月英ネーションワイド住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
○17:30   9月英建設業購買担当者景気指数(PMI、予想:52.5)
○17:45   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:00   8月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.2%/前年比3.9%)
○23:00   クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長、米上院銀行委員会で証言
○3日01:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
○3日01:45   パウエルFRB議長、講演
○3日03:00   カプラン米ダラス連銀総裁、講演
○2-3日   4-6月期ロシア国内総生産(GDP)確報値(予想:前年比1.9%)
○欧州連合(EU)財務相理事会

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