★日経平均株価:急ピッチの上昇の反動による利益確定売り優勢に
日経平均はバブル後の高値圏にあり、急ピッチで上昇した反動から利益確定売りが優勢となった。ただ、売り一巡後はもみ合い展開が続き、下落幅は限定的だった。市場では、前日の米市場が休場で材料が少ない中で利益確定売りが優勢になったとの声が聞かれた。一方で、目先は引き続きしっかりした展開を見込む見方も出ていた。午前は利益確定売りに押される場面も目立ったが、午後は日本株の先高観の強さを背景とした海外の短期筋とみられる買いが株価指数先物に膨らみ、日経平均を押し上げた。結局、前営業日比94円高の3万1328円と4日続伸して終了した。バブル経済崩壊後の高値を連日で更新し、1990年7月26日以来、およそ33年ぶりの高水準をつけた。
★東京外国為替市場:日本株が上昇に転じると円売り優勢に
ドル/円は、仲値にかけて本邦輸出勢から月末に絡むドル売り・円買いが多く持ち込まれ、140.20円付近へ軟化した。その後も、米長期金利低下や日経平均株価の下げ幅拡大を背景にドル売り・円買いが進み、140円を割り込んで一時139.97円付近まで下落した。植田日銀総裁が参院財政金融委員会に出席し、「物価が持続的に下落するデフレ状態ではなくなった」と発言したこともドル/円の押し下げ要因となった。ただ、31日に米下院で予定されている債務上限問題を巡る採決を見極めたいとの雰囲気もあり、下げは一服した。午後は、日経平均株価の底堅い動きを眺めたドル買い・円売りが入り、140.70円付近へじり高となった。ユーロ/ドルは、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締めが長期化するとの観測から、海外短期筋などがユーロ売り・ドル買いに動き1.0680ドル台へ下落した。
★海外中長期投資家の買い余力は大きい:ゴールドマン
ゴールドマン・サックス証券は29日付のリポートで、海外・中長期投資家の買い余力は大きいとの見解を示した。リポートでは、海外投資家が4月3日から5月19日にかけての7週間で日本株を現物・先物会わせて5.6兆円買い越したとしながら、「商品投資顧問業者(CTA)などの短期投資のポジションはひっ迫していると思われる一方、海外の中長期投資家のポジションは引き続き軽いと思われる」と指摘した。しゅようなグローバル株ファンドの日本株アクティブ・ウエイトを見ると、アセット加重平均アクティブ・ウエイトは引き上げ傾向にあるものの、「4月末時点では依然として6.8パーセントポイントの大幅なアンダーウエイトとなっており、過去レンジの中央値を下回っている」という。アベノミクス相場時のピーク(2.1パーセントポイント)からのかい離は大きいといい、「構造的な変化/改革の着実な進展により日本株に対する海外・中長期投資家の確信が強まれば、日本株式市場への大規模な資金流入は続くと期待される」とみていた。
★140円から更に円安加速して株高も成立する状況は長続きしない:野村証
野村証券は30日付のリポートで、「円安・株高が相乗効果を及ぼし合うような強い上げ相場になるか」という問い合わせが増えているとしながら、「1ドル=140円から更に円安が加速し、株高も同時に成立する状況は長続きしないと考えられる」との見解を示した。リポートでは、今年4月以降は、円安・株高の関係が強まっていると指摘した。米連邦準備理事会(FRB)がインフレ退治に一応のメドをつけたことを背景に、「市場は景気が強含み(業績相場)となれば追加利上げ(=ドル高)、景気弱含み(逆業績相場)となれば利下げも視野に入る(=ドル安)という『景気次第』の反応パターンに移行せざるを得なくなろう」とみていた。
★トルコでは金融政策が正常化に戻る可能性が後退
28日に実施されたトルコ大統領選の決選投票ではエルドアン大統領が勝利し、金融政策が正常化に戻る可能性が大きく後退した。一部報道によれば、エルドアン大統領は昨日の勝利演説で『金利は低下した。インフレ率も下がるだろう』と述べた。今後、トルコ中銀に対する大統領の緩和圧力は弱まるどころか、更に強まる可能性も出てきている。為替介入の原資となるトルコ中銀の外貨準備高が底をついた今、リラ売り・ドル買いを止める術は今のところ見つからない。なお一部通信社が報じたところによると、エルドアン大統領は元副首相(経済担当)だったメフメト・シムシェキ氏と会談した。シムシェキ氏は2009年から15年まで財務相を務め、その後2018年まで副首相を務めた。同氏は国際的な認知度も高く、海外投資家からの信頼も厚いと言われている。昨日のトルコ株高は、シムシェキ氏が新たな経済対策をリードするとの期待感もあった。
★南ア中銀の金融安定性レビューではランド安進行の可能性を指摘
昨日南アフリカ準備銀行(SARB)が公表した最新の金融安定性レビューでもランド安進行の可能性を指摘している。SARBは、ロシアのウクライナ侵攻に対して南アが非同盟(=中立)の立場を取っていることで、最悪の場合は国際銀行間通信協会(SWIFT)から除外され、ランドの決済機能を失うリスクを指摘している。また、仮にここまで厳しい制裁が無い場合でも、南アは経常赤字を補うために海外からの投資流入に大きく依存しており、経常赤字が枯渇する可能性があることや、主要貿易相手国との関係が損なわれ、優先貿易アクセスを失う可能性もあることを公表している。このようなリスクの高い状況下では、南アからの資金流出の流れは続き、ランドも当面は軟調地合いが続くと思われる。
★メキシコ政府では米中移民に対して就労ピザを発給へ
メキシコのロペスオブラドール大統領は先週、中米移民に対して一時的な就労ビザを発給する計画を発表した。就労ビザは公共インフラプロジェクトに従事するための一時的な物で、期限は1年間とされている。大統領はどのプロジェクトに対して発給するものか、どれだけ発給するかなどの詳細については語っていないが、「メキシコ国内の労働力ニーズを満たし、米国への移民流入も抑制させることになる」「今回の計画でメキシコ人の雇用機会が奪われることはない」などと述べている。公表インフラプロジェクトの中には、ロペスオブラドール大統領が強力に推し進めている大規模な観光鉄道『マヤ鉄道』の建設も含まれているとみられる。全長1470キロに及ぶ『マヤ鉄道』は大統領が今年末までに完成させると公約していたが、現状では予算の超過やスケジュール遅延などが伝わっている。自身の肝いり政策の実現にくわえて、米国との長年の課題である移民問題の解消、両取りを狙った今回の施策の行方が注目される。
★債務上限の不確実性はなくなり6月5日の期限を過ぎる可能性も低い:ゴールド
バイデン大統領と米連邦議会のマッカーシー下院議長が27日、米政府債務の法廷上限を引き上げることで基本合意した。ゴールドマン・サックスは29日付のリポートで、首脳間の合意は最も高いハードルであり、この合意により、差し迫った債務上限に関する不確実性はほとんどなくなったが、この法案は上下両院を通過する必要があるとの見解を示した。リポートでは、下院は5月31日に採決する予定で、上院は6月2日までに採決する可能性があるとしながら、「手続き上の遅れて投票が週末にずれ込む可能性もある」と指摘した。ただいずれにせよ、議会が何もせずに6月5日(に政府資金が枯渇するとみられるXデー)の期限を過ぎてしまう可能性は「非常に低いと思われる」とも指摘した。その一方、支出協定は、2024年と2025年に国内総生産(GDP)比で前年比0.1~0.2%の支出を削減する可能性があるようだと指摘した。ただ、昨年末に議会が承認した23年会計年度の支出増額は前年比10%近い増加と非常に大きく、「新しい上下にも関わらず、来年の裁量支出全体は実質ベースでわずかに増加する可能性がある」とみていた。
★米国市場では5月CB消費者信頼感指数が公表:予想は99.0
4月実績は101.3で2022年7月以来の低水準となった。現況指数は上昇、期待指数は低下した。5月については、4月時点の期待指数はが低下していること、雇用情勢は特に変わっていないこと、債務上限問題に対する懸念が消えていないことから、4月実績を下回る可能性がある。
★欧米市場イベント
○15:00 1-3月期スウェーデン国内総生産(GDP、予想:前期比0.2%)
○16:00 1-3月期スイスGDP(予想:前期比0.1%/前年比0.6%)
○16:00 5月スイスKOF景気先行指数(予想:95.3)
○16:00 4月トルコ貿易収支(予想:88.0億ドルの赤字)
○18:00 5月ユーロ圏経済信頼感指数(予想:98.9)
○18:00 5月ユーロ圏消費者信頼感指数(確定値、予想:▲17.4)
○18:00 シムカス・リトアニア中銀総裁、講演
○21:30 1-3月期カナダ経常収支(予想:93.5億カナダドルの赤字)
○22:00 3月米住宅価格指数(予想:前月比0.2%)
1-3月期米住宅価格指数
○22:00 3月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比▲1.6%)
○22:00 ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○22:30 センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○23:00 5月米消費者信頼感指数(予想:99.0)
○31日00:45 ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○31日02:00 バーキン米リッチモンド連銀総裁、講演
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