FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント

日経平均株価:円安と好決算企業がけん引した買い優勢に

前週末の日銀政策決定会合を受けて進行した円安を好感し、決算を発表した企業の個別物色も相場を押し上げた。円安を受け、自動車など輸出関連株が堅調に推移した。ただ、その後は指数寄与度の大きい半導体関連銘柄がマイナスに転じるなどし、徐々に伸び悩む展開が続いた。市場では、連休の谷間ということもあり、一段上を目指す展開見込みづらい展開となった。結局、前営業日比226円高の2万9123円と3営業日連続で上昇した。終値で2万9000円を超えるのは2022年8月17日以来8カ月半ぶりとなった。

 

東京外国為替市場:日米金融政策の違いが意識されドル買い優勢に

ドル/円は、日銀の大規模な金融緩和が当面続くとの観測が高まっていることで、日米金融政策の違いを意識したドル買い・円売りが優勢となり、136.90円付近へ上昇した。仲値に向けて本邦輸入勢のドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれたことや、英長期金利が上昇したこともドル/円の押し上げ要因となった。午後は、日経平均株価の上げ幅拡大にも支えられてさらにドル買い・円売りが進み、一時136.95円付近まで値を上げて約1カ月半ぶりの高値を付けた。ただ、心理的節目の137.00円に接近すると上げは一服した。その後は、急ピッチの上昇に対する警戒感から利益確定や持ち高調整のドル売り・円買いも見られ、小幅に値を下げて136.90円を挟んでもみ合いとなった。今晩発表される4月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況指数を見極めたいとのムードが広がっている。ユーロ/ドルは、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、1.10ドル台前半で方向感に欠ける値動きとなった。

 

ドル買い比率が低下し約2カ月ぶり低水準:前週のFX概況

QUICKが1日に算出した店頭の外国為替証拠金(FX)5社合計の建玉状況によると、『ドル/円』取引総建玉に占めるドル買い比率は4月28日時点で51.5%だった。前の週末から6.0ポイント低下し、2月下旬以来およそ2カ月ぶりの低水準となった。28日は日銀が大規模な金融緩和策の維持を決めたのをきっかけに、急速に円安・ドル高が進んだ。相場の流れに逆らう『逆張り』戦略をとる個人投資家は、円買い・ドル売りに動いた。円は28日に136円台半ばまで下落した。日銀の金融政策決定会合の結果発表前は134円台前半え推移していた。会合結果を受けて円売り・ドル買いが加速したほか、今年の円安・ドル高水準(3月上旬につけた137円台後半)が視野に入ってきたことでドル売り持ち高を積み上げる動きも出たとみられる。『ユーロ/円』取引のユーロ買い比率は16.4%だった。前の週から3.2ポイント低下し、2022年6月上旬以来、11カ月ぶりの低水準となった。『ポンド・円』取引のポンド買い比率は15.3ポイント低下の25.7%だった。聞き取り対象が現在の5社となった21年10月以降の裁定水準を記録した。28日に円はユーロやポンドに対しても大幅に下落した。円安・ユーロ高や円安・ポンド高が進んだ場面で、個人投資家は逆張りのユーロ売りやポンド売りに動いた様子を映した。

 

今週はトルコのインフレ指標とエルドアン大統領お体調に注目

トルコでは今週、2日に4月製造業購買担当者景気指数(PMI)、3日には同月消費者物価指数(CPI)が発表される。製造業PMIは前回50.9と景況感判断の境目となる50を超えており、今回も水準を維持できるかがポイントである。4月CPIは、前年比で久しぶりに40%台まで減速する見込みである。トルコに経済にとっては朗報ではあるが、物価水準としては高いままであり、決して手放しで喜べるものではない。気になるところでは、トルコ大統領・国会議員選挙を今月14日に控えたエルドアン大統領の健康状態である。先週は胃腸炎でいくつかの選挙活動をキャンセルし、訪問予定の一部イベントにオンラインで参加した。大統領はテレビインタビュー中に心臓発作になったとの噂もあるようですが、今のところウワサの域をでていない。

 

南アランドは独自の要因なく外部要因による変動

南アでは、国内要因でも高インフレ下の景気低迷が続いている。南ア準備銀行(SARB)の半期に一度の財務報告では、『食品インフレはまだピークに達していない』『インフレリスクは依然として上方サイド』『停電がインフレ率を0.5%増加させている』などが指摘された。南アの状況を考えるとランドを買うような要因は少ないが、対円では先週円安が急速に進んだ影響を受けている。この流れが継続する場合、対円でのランド高がランド全般の支えとなる。今週は南アからは主だった経済指標の発表予定はない。ランド相場を動かすのは、日銀会合後の円相場の動向や、米連邦公開市場委員会(FOMC)、欧州中央銀行(ECB)理事会など、先進国中銀の金融政策と中銀総裁の発言などとなりそうである。また、銀行不安に関連したリスクの選好度合いがランドの動向を左右することもあり、要警戒となる。

 

米PCEは高水準ながらも伸び鈍化が続く:US Dashbosrd

4月28日に発表された3月の米個人消費支出(PCE)物価指数は同年同月比4.2%上昇と市場予想の4.1%上昇を上回ったものの、2月の5.1%から鈍化し、インフレ鈍化の傾向を持続した。前年同時期にガソリン価格が高騰した反動によるところが大きいが、エネルギーと食品を除いたコア指数も前年同月比4.6%上昇と市場予想4.5%上昇ほどではないが2月の4.7%上昇から緩やかに鈍化した。

 

5月最初の営業日の米国株に強いジンクス:アノマリー分析

S&P500指数が4月に1.46%高となり、2カ月連続で上昇した。経営が不安視されているファーストリパブリック・バンクに関して、米連邦預金保険公社(FDIC)は1日の米国市場が開く前に運命を解決することを望んでいると新興情報サイトのアクシオスが4月30日に報じた。ファーストリパブリックの回収入札の結果に対し、どのように米国株市場が反応するか関心が高い。一方、相場のアノマリー分析に詳しいトレーダーズ・アルマナックによれば5月最初の営業日の米国株に強いジンクスがあるという。S&P500は1998年以降の25年間で、上昇が18回に対して下落が7回、上昇確率は72%だった。平均騰落率は0.37%高で、NYダウとS&P500は21年と22年の2年連続で上昇した。

 

米投資銀ラザードが人員10%削減を計画

英フィナンシャル・タイムズ紙は28日、米投資銀行ラザードが年内に従業員の10%を削減する計画だと報じた。第1四半期(1~3月)の決算は予想に反し赤字を計上、金融アドバイザリー部門の低迷は2023年いっぱい続く見通しを示したとしている。ジェイコブズ最高経営責任者(CEO)は「行動する時がきた」と述べたと伝えた。

 

米ディフェンシブ株はアンダーパフォーム:BofAセキュリティーズ

BofAセキュリティーズは4月28日付リポートで米国の景気後退が典型的な不況の半分程度の深さにとどまると予想する一方、投資家の債券と株式の配分比率でみたポジショニングの状態は『極端なリスクオフを示している』と指摘した。ヘッジファンドは景気敏感セクターに対してディフェンシブセクターをオーバーウエートにする比率が2012年以来、ロングオンリー(買い持ち専門)ファンドは同比率が08年以来の水準で、『世界的に深刻な景気く後退に見舞われた2009年や20年よりもディフェンシブなポジションにある』と説明した。BofAでは23年7~9月期に景気後退が始まると予想している。過去の景気後退期前後での物色の動向を分析した結果、景気後退に至るまでの半年間は国内総生産(GDP)との連動性でみた景気敏感な10業種が市場平均のアウトパフォームし、景気敏感ではない(ディフェンシブ)10業種がアンダーパフォームした。実際に景気後退入りすると、『実際の不況の間にのみ、これら業種は従来の経済感応度に基づいて予想されるよう動いた。ただし、通常は不況が終わる前に反転した』という。米債務上下問題もディフェンシブ株の動向に影響を及ぼすとみている。18年に政府機関の閉鎖が長期に及んだ際や11年に米国債が格下げされた際には、『S&P500種株価指数の構成企業で政府契約へのエクスポージャーが最も高い銘柄は、バスケットとして寄り市場平均をアンダーパフォームした』と指摘した。当該バスケットはヘルスケアとテクノロジーが最大のシェアを占め、防衛関連銘柄も多く含まれるという。ここ数週間でパフォーマンスが悪化し始めていると強調した。

 

米国市場では4月ISM製造業景況指数が公表:市場予想は46.7

3月実績は46.3で2020年5月以来の低水準だった。新規受注の急低下が要因となった。4月については、新規受注の大幅な伸びは期待できないため、3月実績をやや上回る水準にとどまる見込み。

 

欧米市場イベント

○22:45   4月米製造業PMI改定値(予想:50.4)
○23:00   4月米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景気指数(予想:46.7)
○23:00   3月米建設支出(予想:前月比0.1%)
○トルコ、南アフリカ、スウェーデン、ノルウェー、ポーランド、スイス、フランス、ドイツ、メキシコ、ブラジル(以上、メーデー)、英国(アーリーメイバンクホリデー)、ロシア(春と労働の祝日)、休場

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