FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント

日経平均株価:半導体銘柄が重しとなり上値の重い展開

前日の米国市場では、製造業の景況感指数が市場予想を上回り、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め長期化への懸念から、米長期金利が上昇した。前日のハイテク株安を受け、指数寄与度の高い半導体銘柄が売られた。一方、3月期末をにらんだ配当取りの動きや中国経済の回復期待で底堅く推移した。市場では、米ハイテク株売りが警戒されており、日経平均も2万7500円を超えると上値が重いとの声も聞かれた。結局、前営業日比17円安の2万7498円と3日ぶりに小反落して終了した。2月第4週(20日~24日)の投資部門別株式売買動向によると海外投資家(外国人)は2263億円の売り越しとなり、売り越しは3週ぶりとなった。個人投資家は887億円の買い越しとなり、買い越しは3週ぶりとなった。また、信託銀行は1339億円の売り越しとなり、売り越しは15週連続となった。

 

東京外国為替市場:日米欧の金融政策スタンスの違いから円売り優勢に

ドル/円は、米長期金利が4.015台へ上昇したことがドル買い・円売り要因となり、136.40円台へ上昇した。高田日銀審議委員が金融経済懇談会であいさつし、「現行の大規模な金融緩和を続ける必要がある」との見解を示したことも円売りにつながった。午後は、日欧金融政策スタンスの違いが鮮明になっていることで、海外短期筋などがドル買い・円売りに動き、136.65円近辺へ上昇した。米長期金利が一段と上昇したこともドル買いを誘った。ユーロ/ドルは、米長期金利上昇を手掛かりとしたユーロ安・ドル高基調が続き、一時1.0638ドル付近まで下落した。

 

海外投資家は3月最終に向けて現物株を売り越しやすくなる季節性:野村証

野村証券は1日付のリポートで、海外投資家の先物買いポジションを反映する外資系証券会社の日経225先物のネット買い建玉が2月24日時点で1万225枚まで増加したとの見解を示した。同買い建玉は過去のピーク水準と比べてまだ低いというものの、①米金融政策がタカ派化方向に変化していることに加え、②4月27~28日の日銀会合に向けて『日銀トレード』が再燃する可能性がある―とし、引き続き日経先物が売られるリスクが残るとの見方を維持した。その一方、海外投資家は年初から2月第3週までに現物株を9219億円買い越したとしながら、『ただし、3月最終週に向けては現物株を売り越しやすくなる季節性がある』とも指摘した。海外投資家が日本株に投資する場合、『配当が税引後リターンの観点で望ましくないケースがあるため、配当権利落ち前の日本株取得を控えるインセンティブが働くと見られる』とし、海外勢の日本株買いには一時的に下押し圧力がかかるだろうとみていた。

 

トルコでは本格的な5月の選挙戦が始まる

昨日発表された2月トルコ製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.1と前回から横ばいだった。トルコメディアが報じたところによると、最大野党の共和人民党(CHP)を含む6党の野党連合は本日、大統領選に向けた統一候補を決定する。当初は2月半ばに候補発表が予定されていたが、南部で起きた大地震の影響で先延ばしにされた。エルドアン大統領は昨日、大統領・議会選挙の日程は5月14日で変更なしと明言しており、いよいよ本格的な選挙戦が始まることになる。

 

南アフリカではエネルギー基準価格の上昇が懸念材料

電力問題は小康状態だが、昨日から南アのエネルギー基準価格が上昇したことについて懸念を表す声が多くなっている。また、エネルギー価格だけでなく、一昨日、Pietermaritzburg Economic Justice & Dignity group(PMBEJD) が発表した、最新の家計指数で、南アの食料品価格が先月(2月)も大幅に上昇したとのデータが発表された。PMBEJDの家庭用食料バスケットの平均支出は4928.34ランドとなり、1月から0.2%上昇した。前年比では13.1%上昇となっている。1月の南アCPIは6.9%まで低下したが、食料品インフレ率は上昇しており、国民の家計負担は相当厳しい傾向が続きそうである。

 

メキシコでは利上げ終了は近づくが利下げには程遠い

先月23日に公表された2月前半のメキシコ消費者物価指数は前年比で7.76%の上昇となった。前回(1月後半)の同7.88%から伸びが鈍化した。昨年11月後半以来の水準までインフレ鈍化が確認されている。もっとも、この7.76%という水準はメキシコ銀行(中央銀行)が設定しているインフレ目標(3%±1.0%)上限を大きく上回っており、メキシコ中銀によるとインフレ率が目標内に収束するのは2024年10-12月期とされている。メキシコ中銀は2021年6月から現在の金融引き締めサイクルを開始し、1年半余りで合計700bpの利上げを実施してきた。現在の政策金利(11.00%)は史上最高水準となっており、市場ではメキシコ中銀の利上げも終了に近づいているとの見方が大勢となった。もっとも、足もとのインフレ率を考慮すれば利上げ局面が終了したとしても、その後に利下げへと向かうには程遠い状況と言わざるを得ない。

 

利上げ織り込みみリスク資産がレジリエンスを保つ背景:JPモルガン

JPモルガンは1日付リポートで『米連邦準備理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の(利上げ見通しへの)リプライシングに対する株式やクレジットなどのリスク資産のレジリエンス(強じん性)は、ここしばらく不可解なものとなっている』との見解を示した。現在のS&P500種株価指数は、『22年5月上旬にFRBの利上げ織り込みピークが約3%だった時と同じ水準にある。つまり、それ以降にFRBのターミナルレート(利上げの最終到達点)予測が240bp上昇し、米10年国債利回りが100bp上昇しても、米国の株価全体にはほとんど影響しなかった』と指摘した。欧州株についても、当時は23年末まで政策金利がゼロ近辺にあると予想され、足元で予想は380bp上昇したが、米国株と同様に大した影響がみられなかった。こうした背景について、リポートでは『①エクイティ・リスク・プレミアムがショックアブソーバーとして機能していること、②22年以前に固定金利を採用していた借り手は金利上昇の影響を受けなかったために信用ストレスが抑制されてきた、③金融システムにはまだかなりの余剰資金がある』とみていた。

 

米債務上限問題が利上げ休止招くか:ユーラシア

米インフレ圧力の高さを示す経済指標が相次ぎ、米金利先物の値動きから市場の金融政策の見通しを測る『フェドウオッチ』によれば7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)における25bpの利上げ織り込みが強まった。ユーラシアグループは1日付リポートで『米連邦準備理事会(FRB)は7月まで25bp単位での利上げを続け、市場予想を上回る5.5~5.75%まで政策金利を引き上げる可能性がある』と指摘。来週に控えたFRBのパウエル議長の議会証言で手掛かりが示されるかに関心を寄せた。強い労働市場と高いインフレはFRBが金利を引き上げる政治的余地を生み出しているというものの、『迫り来る債務上限問題はFRBの取り組みを複雑にするかもしれない』とも指摘。リポートでは7月のFOMCは債務上限を巡る市場の懸念が高まる中で開催され、利上げサイクルの休止を招く可能性がある』との見解を示した。ユーラシアでは米連邦政府の債務が上限に達する『Xデー』を8月中旬と予想している。

 

欧米市場イベント

○19:00   2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値(予想:前年比8.2%)
○19:00   2月ユーロ圏HICPコア速報値(予想:前年比5.3%)
○19:00   1月ユーロ圏失業率(予想:6.6%)
○21:00   1月メキシコ失業率(季節調整前、予想:3.10%)
○21:00   10-12月期ブラジル国内総生産(GDP、予想:前期比▲0.2%/前年同期比2.2%)
○21:30   欧州中央銀行(ECB)理事会議事要旨(2月2日分)
○21:30   シュナーベルECB専務理事、講演
○22:30   10-12月期米非農業部門労働生産性・改定値(予想:前期比2.6%)
○22:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:19.5万件/166.5万人)
○24:00   ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、講演
○3日04:00   ウォラー米連邦準備理事会(FRB)理事、講演

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