FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント

日経平均株価:米国株高につれてテクノロジー銘柄が指数を押し上げ

米国市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)高官らから利上げペース鈍化への支持が聞かれたことで引き締め長期化への懸念が和らいだ。ナスダック総合やフィラデルフィア半導体指数が上昇し、東京市場でも半導体関連や電子部品といったテクノロジー企業が堅調で指数を押し上げた。一方、米景気懸念がくすぶる中、企業決算を見極めたいとのムードから買い一巡後は伸び悩んだ。しかし、後場からはファーストリテイリングが上げ幅を拡大して指数を支援したしたことで、2万6900円台に上昇した。結局、前営業日比352円高の2万6906円と続伸して終了した。

 

東京外国為替市場:5年物共通担保資金供給オペ実施で円売り優勢に

ドル/円は、米FRBの利上げペースが鈍化するとの思惑からドル売り・円買いが先行し、129.25円付近へ下落した。仲値にかけて本邦実需筋の動向が注目されたが、本邦輸出勢のドル売り・円買いがやや多かった。仲値発表後は、日経平均株価や米長期金利にらみながら、小幅に値を下げて129.10円台を中心に取引された。春節に伴い、中国など多くのアジア市場が休場となっているため、商いは低調だった。午後に入ると、日銀が予告通りに5年物共通担保資金供給オペを通知した。これを受けて、日銀の緩和姿勢が改めて意識されたことからドル買い・円売りが強まり、129円台前半から一時129.80円台まで上昇した。ユーロ/ドルは、欧州中央銀行(ECB)が積極的に利上げを実施するとの見方からユーロ買い・ドル売り基調が続き、1.08ドル台後半から一時1.0903ドル付近まで値を上げて約9カ月ぶりの高値を更新した。その後は、高値警戒感から利益確定やポジション調整のユーロ売り・ドル買いも見られ、1.0890ドル台を中心に取引された。

 

独PPIは鈍化となりCPIの頭打ちを期待させる内容

20日に発表された2022年12月のドイツの生産者物価指数(PPI)は前年同月比21.6%上昇と11月の28.2%上昇から伸びが鈍化した。エネルギー価格の下落によるが、市場予想の21.2%上昇ほどに鈍化しなかった。前月比でも0.4%低下したが11月の3.9%減から低下スピードが鈍り、市場予想の1.2%低下ほどには低下しなかった。しかし、PPIの前年同月比での伸び率は22年8月と9月の45.8%上昇をピークとして鈍化傾向を続けており、数カ月以内にコア消費者物価指数(CPI)が頭打ちになるとの期待を強める内容と指摘された。

 

トルコの大統領選と議会総選挙前に金利引き下げの可能性も

トルコの今後数年の行く末を決める『トルコの大統領と議会総選挙』は、昨年まで6月実施と見込まれていたところから5月に前倒しが現実味を帯びてきた。早期選挙に前向きではなかったエルドアン大統領が心変わりをしたようであり、勝算があるのか、または何かしら別の要因があるのかもしれない。なお、大統領が選挙前に金利引下げを叫ぶ可能性は高く、発言や市場の反応にも目を向けておく必要がある。

 

南アのMPCに注目が集まる:国内の電力問題も注目点

南ア国内からは、南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が開催されることに注目である。先週発表された12月の消費者物価指数(CPI)後に行われた調査では、0.50%の利上げが0.25%の利上げよりも若干優勢となっている。もっとも、インフレがピークアウトされ、今週のMPCは最後の利上げになる可能性もあるとの予測もある。SARBの声明にも注目が集まりそうである。また、国内の電力問題にも引き続き注目である。昨年は過去最長の電力負荷制限が行われたが、今年に入った後も制限は緩和されず、むしろより厳しい制限になっている。ほぼ全土で一日の間に6時間は電力が無い状況となっている。これまでも、負荷制限が行われていたが、今年に入り国民の不満が爆発し抗議活動が活発化している。マンタシェ鉱物資源エネルギー相への辞任圧力も高まるなど、ラマポーザ政権の2期目はいばらの道を進む可能性が高いことがランドの売り圧力になりそうである。

 

メキシコ1月隔週CPI結果次第で金融引き締めペースの鈍化も

今週は1月隔週の消費者物価指数(CPI)の発表が予定されている。現時点での予想では前回の+7.86%から+7.83%へやや鈍化する予想となっており、セオリー通りならメキシコ中銀による2月からの金融引き締めペース減速への思惑が一層高まることになると思われる。なお、次回会合は2月9日に予定されている。

 

米中古住宅販売はやや持ち直しの兆しも:US Dashboard

20日に全米不動産協会(NAR)が発表した2022年12月の中古住宅販売件数は前月比1.5%減の402万戸と10年10月以来、12年1カ月ぶりの低水準となった。前月日での減少は11カ月連続で1999年以来の長期間の減少が続いている。しかし、市場予想395万戸ほどには減少しなかった。30年固定の住宅ローン金利が22年10月の7.16%をピークに1月13日までの週には6.23%へと低下し、住宅販売が底打つとの期待が出始めている。前年同月比では34.0%減と11月の35.5%減から減少幅が縮まった。12月の中古住宅の価格の中心値は前年同月比2.3%高い36万6900ドル(約4800万円)と、引き続き高水準ではあるものの、22年2月以来の水準へと低下した。

 

米政府が債務上限に到達するも合意の可能性低い:レイモンド・ジェームズ

米政府が19日に債務上限に達した。米財務省は公務員退職障害者基金への追加拠出停止などの特別措置で当面の債務不履行(デフォルト)を回避する見通しだ。米証券会社レイモンド・ジェームズは20日付のリポートで『下院共和党が上院民主党とバイデン政権が拒否する可能性がある大幅な歳出削減と債務上限引き上げをセットすることを目指していることを考えれば、市場は債務上限議論にまつわる瀬戸際政策の可能性に高い関心を抱いている』とし、政治的に早期の合意は難しいとの見解を示した。リポートでは、下院共和党指導部とホワイトハウスの双方から債務上限の引き上げを巡る協議に関して働きかけが始まっているとしながら、『一般的に議会は差し迫った危機や期限に対応して迅速に動きだすため、Xデーがかなり近づくまで合意が成立する可能性は低い』と指摘した。債務上限の議論の結果は流動的で、1兆ドルの硬貨を作るなどの創造的な主要がとられる可能性もあるとしながら、『米財務省が特別措置を使い果たすXデーの時期は不透明だが、早ければ初夏にあるとの見方もある』とし、事態が長引く恐れを警戒していた。

 

米国株式市場は悪いニュースを無視して上昇も持続しない:JPモルガン

JPモルガンは20日付リポートで『22年はマクロおよび地政学的な大きな逆風にも関わらず、企業のファンダメンタルズ(基礎的条件)は回復力を維持していた。しかし、23年にはアナリスト業績予想がマイナスに修正され、より困難な見通しになる』との見解を示した。2022年10~12月期決算については、『投資家は23年の弱い企業業績見通しに対して予想を上回る10~12月期決算という環境に取り組むことになる』と指摘した。リポートでは『最近、株式市場は悪い経済ニュースを無視して、弱いデータと低い金利で上昇している。しかし、この関係が持続していくとは考えておらず、ガイダンスの弱さが株式の下落圧力になると予想している。欧米の中央銀行からのタカ派的な見出しの絶え間ない流れは、株式にとって大きな逆風のままであり、リセッションの可能性を高めるだけでなく、予想よりも早くするだろう。我々の見解では、景気後退リスクの高まりは、(相場の変動制やバリューエーションなど)市場では過小評価されている』と指摘。加えて『最近のボラティリティの低下を背景とした非ファンダメンタルズ/システマティック戦略による株式への安定した流入は勢いを失い始める可能性がある一方で、クロスアセットフローは、今後数カ月で株式にとってますます逆風になる可能性がある一方で、クロスアセットフローは、今後数カ月で株式にとってますます逆風となる可能性が高い(株式から債券への年金資産のリバランスの3~4%は、一年間で約1兆ドルの株式売却に換算される可能性がある)』とみていた。

 

★欧米市場イベント

22:30   ビスコ伊中銀総裁、講演
23:30   パネッタ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○24:00   1月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値、予想:▲20.0)
○24:00   12月米景気先行指標総合指数(予想:前月比▲0.7%)
24日02:45   ラガルドECB総裁、講演

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