FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント

日経平均株価:重要イベント控え様子見ムードの強い展開

欧米の景気後退への懸念が重しとなったほか、米FOMCなどの重要イベントを前に模様眺めが強まり、方向感のない値動きとなった。その中で、企業決算シーズンが本格化してきており、決算内容を材料にした個別物色がみられた。結局、前営業日比44円安の2万7655円で終了した。

 

東京外国為替市場:米長期金利が持ち直したことでドル買い戻し

ドル/円は、米長期金利の低下や日経平均株価のさえない動きがドル売り・円買いを誘い、136円台半ばから136.28円付近まで値を下げた。しかし、仲値に向けて本邦輸入勢などのドル買い・円売りが通常より多く持ち込まれ、136.45円付近へ値を切り返した。仲値発表後は、今晩の米国株動向や米経済指標を見極めたいとのムードも広がり、小幅に値を下げて136.70円付近へ上昇した。低下していた米長期金利が持ち直したことも、ドル買いにつながった。ユーロ/ドルは、この後に参入してくる欧州勢の動向を見極めたいとの雰囲気から、1.02ドル台前半で小動きとなった。

 

顧客が米国株を4週連続で買い越し:BofA

BofAセキュリティーズの26日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は17~22日の1週間に米国株を16億5800万ドル買い越した。4週連続の買い越しとなる。この週は22日の発表された7月の米購買部担当者景気指数(PMI、速報値)が総合で47.5となり、市場予想(52.1)を下回って好不調の分かれ目となる50を下回ったことで週末に株安となったものの、S&P500指数が週間で2.54%高となって2週ぶりに上昇して終えた時だった。主体別動向ではヘッジファンド(HF)が8億3900万ドルの買い越しで、3週ぶりの買い越し。機関投資家は6億3000万ドルの売り越しで、4週ぶりに売り越しに転じた。個人投資家は10億1200万ドルの買い越しで、4週連続の買い越し。企業の自社株買いは4億3700万ドルで4週移動平均(8億1500万ドル)を下回って低調だった。HFが買い越しに転じた一方、機関投資家が売り越しに転じ、リリーフラリーが続いたもののマチマチ感のある結果だった。セクター上場投資信託(ETF)は11のうち6セクターが買い越しとなり、一般消費財、エネルギーが買い越しのけん引役になった。

 

月末の特殊な為替需給にらみ:月後半からドル戻り売り強まりやすい

今週は内外の為替市場で月末を迎える。月末にかけては特殊な決済フローのほか、世界の機関投資家によるポートフォリオのリバランスなどが、特殊なドル買いやドル売りを発生させる可能性がある。最近の月末月初におけるドル/円でいえば、6月29日から7月6日かけてドル安の圧力、5月25日から6月9日にかけてドル高の圧力、4月28日から5月5日にかけてドル安圧力、3月28日から31日にかけてドル安の圧力が優勢となっていた。あくまで3月以降の実績では、月後半からドル戻り売り圧力が強まるパターンが目立っている。

 

トルコリラ防衛策が政府の財政負担を圧迫

昨年末にリラが暴落した場面では、エルドアン政権がリラ防衛策の1つとして『為替リンクのリラ建て定期預金』を導入した。しかしながら今となっては、リラの価値低下を補填するこの策は政府の財政負担を圧迫させるものとなっている。なお、トルコ統計局が発表したサービス部門と小売業の7月信頼感指数は、どちらも前月を下回った。一方で、低金利を背景とした旺盛な住宅需要を支えに建設業の同指数は前月から上振れしている。建設業界は与党・公正発展党(AKP)の支持基盤の1つである。トルコでは総選挙を遅くとも来年6月に控えるなか、エルドアン大統領の中銀に対する圧力は強まることはあっても、弱まることはなさそう。

 

南アでは大きなイベントは終了

南アからは先週消費者物価指数(CPI)と南アフリカ準備銀行(SARB)金融政策委員会(MPC)が行われたことで、大きなイベントが終了した。南ア国内からはポジティブなニュースがないことは頭に入れておく必要がある。公務員組合と政府の賃金交渉は行き詰まったままである。公務員組合は賃金の引き上げを6.5%に下方修正したが、政府は2%のオファーからの上昇を示していない。インフレ率が7%を超えているのにもかかわらず2%では妥協も難しく、ストライキは長期化しそうである。

 

低調な米経済指標で先行きの金融政策見通しの意見が分かれる

ウォール街のトップストラテジストらの間では、低調な経済指標が米金融政策見通しに及ぼす影響、およびそれが株式にとってどのような意味を持つのかを巡って、意見が分かれている。モルガン・スタンレーのストラテジストはリセッション(景気後退)懸念が強まる中でも、米金融当局が政策引き締めをやめると想定するのは時期尚早だと指摘した。株式には底打ちする前にまだ下落する余地があると示唆した。一方、JPモルガン・チェースのストラテジストはインフレがピークに達したとの見方から、米金融当局の政策転換につながり、株価の状況は今年後半に改善すると分析した。JPモルガンのミスラブ・マテイカ氏は25日のリポートで、活動のモメンタムが厳しい状況にあることや労働市場の軟化は、一段とバランスの取れた米金融政策に道を開く可能性があるとした。

 

米国市場は7月CB消費者信頼感指数が公表:予想は97.2

6月実績は98.7で2021年2月以来の低水準だった。期待指数は66.4で2013年3月以来の低水準を付けた。物価高による経済成長減速懸念が消費者信頼感の悪化につながった。7月についてはインフレの改善が遅れていることから、消費者信頼感はさらに悪化する可能性がある。

 

欧米市場イベント

○22:00   5月米住宅価格指数(予想:前月比1.5%)
○22:00   5月米ケース・シラー住宅価格指数(予想:前年比20.6%)
○23:00   6月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲5.2%/66.0万件)
○23:00   7月米消費者信頼感指数(予想:97.2)
○23:00   7月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:▲14)
○27日02:00   米財務省、5年債入札
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目

カテゴリー: 欧州タイム市場コメント

カテゴリー

カレンダー

4月 2024
« 1月    
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ページの先頭へ