FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:様子見ムード広がり上値の重い展開

寄り付きでは続落スタートとなったものの、その後急速に下げ幅を縮小しプラス転換した。しかし、来週の主力企業の決算発表をにらみ様子見ムードが広がり、指数は上げ幅を縮小した。昼休み中に、新型コロナウイルス感染がさらに拡大した場合の東京五輪開催について『とても無理というならやめないといけない』と自民党の二階幹事長が発言したと報じられたが、株価の反応は薄かった。中国・上海市場や香港市場の株安も重荷となり上値の重い展開になった。結局、前営業日比21円高の2万9642円と小幅に反発して終了した。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から108円台後半で小動き

ドル/円は、オセアニア通貨や資源国通貨を中心としたドル安の流れがドル/円に波及し、108.81円付近まで小幅に下落した。ただ、仲値発表後にはドルの巻き戻しも入ったことで、108.90円台へと押し戻され下げ幅を消した。午後のドル/円は、新規の手掛かり材料難から、積極的な売り買いは目立たず、108円台後半で小動きとなった。4月の日銀地域経済報告(さくらレポート)が公表された。9地域のうち、北海道と東北の2地域の景気判断を下方修正、残る7地域は据え置きとした。全体としては『持ち直し基調にある』などとしたが、ドル/円相場への影響は限定的だった。ユーロ/ドルは、デンマークがアストラゼネカ製ワクチンの使用を完全に中止する方針を打ち出すなど、欧州の新型コロナウイルスを巡る先行き不透明感もあり、欧州勢の動向を見極めようとの向きから、1.19ドル台後半で小動きとなった。

 

トルコ中銀の金融政策が注目:大方の予想は金利据え置き

カブジュオール氏がトルコ中銀総裁に就任して初となる会合では、主要政策金利である1週間レポレートは現行19%で据え置かれるというのが大方の予想である。一時警戒感が高まった早期緩和が避けられるのであれば、リラ相場にとっては安心材料とはなりやすい。ただ問題は、エルドアン大統領に解任されたアーバル・前総裁の下、タカ派姿勢を鮮明にしてきた声明内容を維持することができるかである。前回3月の前倒し利上げ(予想100ベーシスポイントのところ200ベーシスポイント引き上げ)を決定した会合でも、『金融引き締めのスタンスは断固として維持』『必要に応じて、追加の金融引き締めを行う』と述べていた。足もとのインフレが依然として上昇傾向を強めているにもかかわらず、もし中銀が引き締めスタンスを少しでも緩めてしまえば、市場に失望感を与えてしまう。一方、声明文言に大きな変更がなければ、新総裁に対する警戒感も後退するかもしれない。ただ、『エルドアン大統領に睨まれている金融政策委員会は、いずれ緩和策に転じざるを得ない』という市場の見方を変えるのは難しい 。

 

南アは物価指標次第では利上げ期待によるランド買いの可能性も

昨日南アフリカ準備銀行(SARB)は『水道・電気料金がインフレ予測の上方リスクを示している』『南アは高インフレ経済のままであり、中期的に消費者物価指数(CPI)が上昇すると南ア特有のリスク認識が高まり、徐々に高い金利につながる』とも発表している。2月の南アCPIは2.9%増で、SARBの目標バンド3-6%を下回るものだったので早急な利上げは考えにくい。しかしながら、前回のSARB金融政策委員会(MPC)では今まで利下げを主張していた2人が据え置きに転じたこともあり、今後の指標次第では利上げ期待も出てくる可能性もあり、ランド買いにつながりやすい。

 

メキシコの回復はバイデン米政権による大規模経済政策の恩恵

メキシコ銀行(中央銀行)のディアスデレオン総裁は『景気の回復は様々セクターで不均一であり、メキシコは新たな課題に直面する』と言及した。昨年後半の景気回復は『外需と輸出が中心となり、消費や投資といった部門を遥かに上回った』と述べた。今後の回復についても輸出関連企業が先導するとしており、バイデン米政権による大規模経済政策の恩恵を受けられるメキシコは、内需に弱みを抱えつつも他国と比較して景気回復ペースが早まる可能性もあある。

 

米イラン間接協議は15日に再開:中東和平につながるか注目

サキ米大統領報道官は14日の記者会見で、イラン核合意をめぐるイランとの協議について『間接的な形だが、15日ウィーンで再開する』と明らかにした。その上で『長期のプロセスになるのは分かっているが、(協議再開は)前向きなサインだ』と述べた。米国の核合意復帰とイランの合意違反停止を話し合う協議は、合意当事国の英仏独中ロとイランの間で6日にウィーンで開かれ、米国は欧州が仲介する間接交渉の形で参加する。今週中に再開する方針だった。しかしその後、イラン中部ナタンツのウラン濃縮施設でトラブルが発生し、イランは『テロ行為』と非難した。同国のアラグチ外務次官が13日、濃縮度を60%に高めた高濃縮ウランの製造着手を表明するなど、態度を硬化させていた。サキ氏は会見で、ナタンツの施設でのトラブルに関し『追加的な見解は持ち合わせていない』と述べ、米国の関与を改めて否定した。

 

米国ではインフレの脅威はなく金融緩和の維持を正当化

米労働統計局が発表した3月消費者物価指数(CPI)は前月比+0.6%と、伸びは2月+0.4%から予想以上に拡大し2012年8月来で最大。特に米連邦準備制度理事会(FRB)が注視している変動の激しい燃料や食料品を除いたコアCPIは前年比で+1.6%と、伸びは、2月+1.3%から予想を上回り12月来で最大となったものの、依然FRBの目標である2%を下回った。また、内訳では、ガソリン価格の上昇やパンデミックの影響を受けて需要が増えた中古車価格、車やトラックのレンタル価格の大幅上昇が目立ち、全体指数を押し上げたことがわかっており、FRBが指摘したとおり、インフレが一時的にとどまる可能性もある。現状でインフレの脅威を示すような結果ではなく、経済が最大雇用に達するには程遠いことを考えると、FRBの長期にわたる大規模金融緩和の維持は正当化される。

 

米国市場では3月小売売上高が公表

2月実績は、強い寒波に見舞われた地域があったことから、前月比▲3.0%の落ち込みとなった。オンライン販売の反動減も影響した。3月については、2月に減少した自動車、外食、電気製品のセールスが持ち直すと予想されており、高い伸びとなる可能性がある。

 

欧米イベント

○15:00   3月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.5%/前年比1.7%)
○15:30   3月インド卸売物価指数(WPI、予想:前年比5.90%)
○15:45   3月仏CPI改定値(予想:前月比0.6%/前年比1.1%)
○20:00   トルコ中銀、政策金利発表(予想:19.00%に据え置き)
○21:30   2月カナダ製造業出荷(予想:前月比▲1.0%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:70.0万件/370.0万人)
○21:30   4月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数(予想:42.0)
○21:30   4月米ニューヨーク連銀製造業景気指数(予想:19.5)
○21:30   3月米小売売上高(予想:前月比5.9%/自動車を除く前月比5.0%)
○22:15   3月米鉱工業生産指数(予想:前月比2.8%)
        設備稼働率(予想:75.7%)
○23:00   2月米企業在庫(予想:前月比0.5%)
○23:00   4月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数(予想:83)
○16日00:30   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○16日01:00   3月ロシア鉱工業生産(予想:前年比▲1.0%)
○16日03:00   デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、講演
○16日05:00   メスター米クリーブランド連銀総裁、講演
○16日05:00   2月対米証券投資動向

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