FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:自立反発の戻り相場

前日の米国株は下落したものの、日本株は短期間で大幅に下げた反動から自立反発の色合いが強くなり、景気敏感株を中心に押し目買いが入った。また、前日に日銀が通常のETFを前回の購入額から200億円多い701億円買い入れたことも支援材料となった。東証1部の騰落数では値上がり銘柄数が8割を超え、しっかりした地合いが続いた。半導体は軟調地合いだったが、値がさ株では買い戻しの動きが見られた。結局、前営業日比324円高の2万8729円と5営業日ぶりに反発して終了した。3月第3週の海外投資家は、4088億円の買い越しとなり3週連続となった。

 

東京外国為替市場:心理的節目の109.00円が意識される展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りや日経平均株価の上げ幅拡大に支えられ、108.99円付近まで値を上げた。米長期金利が一時1.63%台へ上昇したことも、ドルの押し上げにつながった。ただ、心理的節目の109.00円が意識されると利食い売りも見られ、108.90円付近へ緩んだ。午後は、日経平均株価や米長期金利動向を睨みながら、108.90円台を中心とした狭いレンジでのもみ合いが続いた。海外時間に予定されているバイデン米大統領の就任後初となる記者会見を見極めたいとの雰囲気から、積極的な売買は手控えられた。ユーロ/ドルは、1.18ドル台前半で小動きに終始した。欧州勢待ちの様相となっている。

 

日銀保有ETFは日経平均が2万円を下回ると簿価割れ

日銀の黒田総裁は25日の参院予算委員会に出席し、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の時価が簿価を下回る日経平均株価の水準について『2020年10月以降ETF買い入れの実績などを用いた、やや粗い試算』と前置きしたうえで『やはり2万円程度になる』と話した。日銀は年に2回、ETFを含む保有有価証券の時価情報を公表している。黒田総裁は、直近となる20年9月末時点では日経平均の水準が2万円程度を下回ると保有ETFの時価が簿価を下回る計算だったとも述べた。

 

欧米と中国の対立激化は世界にとってもリスク材料

欧州連合(EU)は22日開いた外相理事会で、中国の少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害にあたるとして約30年ぶりに中国当局者らへの制裁を採択した。ブリンケン米国務長官の就任後初の欧州歴訪に合わせ同盟国との協調姿勢をアピールする狙いがある。EUの対中制裁は、EUの前身組織の時代を含め1989年の天安門事件以来であり、EU内の資産凍結や域内渡航の禁止など新疆ウイグル地区の幹部ら中国当局者4人と1団体を制裁対象とした。多くのウイグル族が不当に拘束されている他、労働や不妊手術の強制を問題視した。23日の中国・上海株式市場は朝方こそ買いが先行したが、EU(欧州連合)や米国などが22日に中国の少数民族ウイグル族の不当な扱いが人権侵害と中国当局者らへ制裁を決め中国と欧米諸国との対立激化への懸念から下落を余儀なくされた。欧米と中国の対立激化は世界にとって懸念材料であることは言うまでもない。

 

欧米金融機関のトルコリラの予想レートをリラ安に変更

トルコの与党・公正発展党(AKP)は昨日、エルドアン大統領を党首に再選した。そのエルドアン氏は演説で、自由な市場経済や財政規律にコミットすることでトルコはショックへの耐性が証明されているとし、トルコへの信頼を維持するよう外国人投資家に呼び掛けると述べた。また、国民にも、外貨と金をリラベースの金融商品に移すよう求めた。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は昨日『トルコの脆弱な国際収支ポジションは最近の出来事で更に悪化する可能性』と指摘しており、長期的な流れでもリラへの売り圧力が今後強まりそうである。欧米金融機関もドルリラの年末予想レートをドル高・リラ安方向に変更しており、前回予想1ドル=8リラだった独コメルツ銀行などは10リラとの見通しを示した。

 

南アでは2月のPPIが発表される:今後の経済を占ううえで重要ポイント

昨日発表された南ア消費者物価指数(CPI)への市場の反応は限られたものとなったが、南ア準備銀行(SARB)の目標バンド3-6%の下限を割り込む2.9%という結果となり、昨年ロックダウンが行われた6月の2.2%以来の弱い結果となっている。明日のSARB・金融政策委員会(MPC)での早急な利下げ論にはならないが、弱いインフレ指標が継続された場合は、利下げこそはなくても他の新興国が利上げに傾いている状況で、金利を動かせないことで高金利通貨から除外され上値が抑えられ可能性がある。本日は2月の卸売物価指数(PPI)が発表されますが、CPIと明日のMPCの間に挟まれ、市場の反応は限られそうである。ただし、結果は今後の南ア経済を占ううえでは重要なものになるので注意が必要である。

 

米・メキシコの代表団が移民問題について対談:失望が垣間見える内容

23日バイデン政権になって初めてメキシコにて移民問題について米・メキシコの代表団が対談を行った。米国からは米国家安全保障会議(NSC)のメキシコ国境問題責任者であるロバータ・ジェイコブソン氏やNSCの西半球局長であるゴンザレス氏、メキシコからはロベルト・ベラスコ北米担当局長。両国は最近の米・メキシコ国境付近で増えている移民を懸念しつつも、『短期的な中米北部の包括的経済発展を促進するための人道的行動』について語った。ただ、米国側は移民の対応をメキシコ側に押し付ける一面も見られるなど、外交アプローチを主軸とするバイデン政権に期待したメキシコ側の失望が垣間見える会談となった。

 

メキシコはジャーナリストにとって最も危険な国

2020年のジャーナリストにとって最も危険な国にメキシコがなった。昨年にメキシコで殺害されたジャーナリストは13人に上り、世界全体でのジャーナリスト死者数の約3分の1を占めている。2000年以来で133人が犠牲になっており、ジャーナリストにとって最も危険な国にメキシコが選ばれたのは過去5年でこれが4回目である。マフィアによる犯罪などを取り扱っていることもあるが、中東・アフリカなどの紛争が絶えない諸国も含まれているので、メキシコにおける状況が如何に深刻なものかを物語っている。ロペスオブラドール大統領は就任以降、暴力を抑制することを公約して積極的に対処してきたが、依然として状況の改善には至っていない。

 

米2月耐久財受注速報値は予想外のマイナス

商務省が発表した2月耐久財受注速報値は前月比-1.1%と、予想外に1月+3.5%からパンデミックによる経済封鎖が開始した昨年4月来のマイナスに落ち込んだ。変動の激しい輸送用機除く2月耐久財受注速報値も前月比-0.9%と、やはり予想外に1月+1.6%から4月来のマイナスになった。また、国内総生産(GDP)の算出に用いられる航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の出荷速報値は前月比-1.0%と、予想に一致し1月+1.9%から4月来のマイナスに落ち込んだ。

 

欧米市場イベント

○16:00   ベイリー英中銀(BOE)総裁、講演
○16:00   4月独消費者信頼感指数(Gfk調査、予想:▲11.9)
○16:45   3月仏企業景況感指数(予想:91)
○17:30   スイス国立銀行(中央銀行)、政策金利発表(予想:▲0.75%で据え置き)
○18:00   2月ユーロ圏マネーサプライM3(予想:前年比12.5%)
○18:00   ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、バイトマン独連銀総裁、ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○18:30   2月南アフリカ卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比3.8%)
○18:30   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○21:30   10-12月期米GDP確定値(予想:前期比年率4.1%)
○21:30   10-12月期米個人消費(確定値、予想:前期比年率2.4%)
○21:30   10-12月期米コアPCE(確定値、予想:前期比年率1.4%)
○21:30   前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:73.0万件/404.3万人)
○23:10   クラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長、講演
○未定   南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表(予想:3.50%で据え置き)
○26日01:00   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○26日02:00   エバンズ米シカゴ連銀総裁、講演
○26日02:00   シュナーベルECB専務理事、講演
○26日02:00   デギンドスECB副総裁、講演
○26日02:00   米財務省、7年債入札
○26日04:00   メキシコ中銀、政策金利発表(予想:4.00%で据え置き)
○欧州連合(EU)首脳会議(26日まで)

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