FITS エコノミックレポート

欧米タイム直前市場コメント!

日経平均株価:積極的な買いが手控えられ上値の重い展開

米国株高を受けて200円超上昇して始まると、序盤は上を試す流れとなった。しかし、2万9500円に迫ったところで上値が重くなって失速した。買いが先行したファーストリテイリングが萎んだことも嫌気された。その後、しばらくは上げ幅を2桁に縮めたところで盛り返す動きが見られたが、買い手の握力がなくなり、プラスではあるが安値圏で前場の取引を終えた。午後からは、米長期金利の高止まりに積極的な買いが手控えられ欧米諸国と中国政府の対立激化に伴う中国株の下落も重荷となった。結局、前営業日比178円安の2万8995円と3日続落して終了した。

 

東京外国為替市場:手掛かり材料難から108.75円でもみ合う展開

ドル/円は、本邦輸入勢などのドル買い・円売りが先行し、108.87円付近まで値を上げた。しかし、前日の東京市場でつけた高値108.95円が意識され、追随する動きは見られなかった。その後は、米長期金利低下や日経平均株価の上げ幅縮小がドル売り・円買いを誘い108.70円台へ押し戻された。午後は、手掛かり材料難から積極的な売り買いは目立たず、108.75円を挟んで方向感に乏しい値動きが続いた。ユーロ/ドルはドイツやフランスなどで新型コロナウイルスの感染が再拡大しているため、欧州景気の回復が遅れるとの見方から1.19ドル台前半で上値が重い展開となった。

 

米国株を8週ぶりに売り越し:米長期金利上昇を嫌気

B of Aセキュリティーズの23日付の顧客フローのリポートによると、同社の顧客は15~19日の1週間に米株を12億8800万ドル売り越した。8週ぶりの売り越しとなる。この週は19日に米FRBが補完的なレバレッジ比率(SLR)規制の特例延長をしないと発表したことで、米銀による米国債売りが出るとの警戒感から米長期金利が一時1.74%まで上昇したことを受け、S&P500指数が週間で0.76%安と反落した時だった。傾向としては、ヘッジファンドの最近の買い越し傾向が一転して売りに回ったことが目立ち、売越額も20年12月半ば以来の大きさを記録した。その一方で、個人投資家の買い越しが続き、4週平均の買越額は過去4年間で最も大きい。新型コロナウイルスの経済対策に伴う給付金の影響が関心を集める。

 

トルコリラ売りも一服も下値警戒感は残る

カブジュオール新総裁は臨時会合開催の可能性を否定し、物価の安定を重視する方針も示したことで、市場では早期緩和への警戒感が若干ながらも和らいでいる。また、エルバン・トルコ財務相も『財政政策で金融政策をサポート』『為替相場の自由変動制を堅持』などと発言し、市場の不安緩和に努めたことで過度なリラ売りは一服している。次回の金融政策決定会合(4月15日)までは3週間以上あり、市場が落ち着きを取り戻すことは十分考えられる。しかしながら大手格付け会社ムーディーズは、今回の中銀総裁解任でトルコへの資本流入の逆流が起きると指摘している。新たなトルコ中銀総裁の下でいずれ政策金利がインフレを下回る水準まで引き下げられる可能性も高いと述べており、リラの下値警戒感は暫く残る。

 

南アでは明日から重要イベント

今週は南アから24日(水)に2月消費者物価指数(CPI)、25日(木)に2月卸売物価指数(PPI)と南ア準備銀行(SARB)の金融政策委員会(MPC)が予定されていることで、本日は動きにくい展開予想される。なお、南アでは先週もフェーズ2の電力負荷制限が続いていたが、今週も一部では負荷制限が継続れている。産業界への影響は計り知れないが、負荷制限があまりにも頻繁に起こっていることで、市場への影響は限られている。

 

メキシコの注目は26日の金融政策会合の結果

メキシコ国内に目を向けると、注目はやはり26日(金)のメキシコ銀行(中央銀行)の金融政策となる。中銀は前回(2月)に3会合ぶりの利下げ(4.25%から4.00%へ)を決定したが、利下げの決定は全会一致となった。そのため一部では3月会合でも追加緩和に動くのではとの思惑もあったが、現在の市場予想は4.00%での据え置きとなっている。金融政策委員会のメンバーからインフレに関して大きな懸念は伝わっていないが、足もとでメキシコ消費者物価指数(CPI)が中銀のインフレ目標(2.0-4.0%)上限に迫る動きとなっている。声明文では今後の金融政策やインフレ圧力に対する言及などが注目される。

 

下院金融委員会でのパウエル米FRB議長は慎重姿勢を強調

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は23日に行う下院金融委員会での証言で、米議会とFRBの『前例のない』支援策により、米経済は『大きく改善した』との認識を示す。同時に、完全な回復には『程遠い』として警戒感も表明する。証言の準備原稿によると、パウエル議長は『回復は一般的に予想されていたよりも速く進み、力強さを増しているように見える』とし、消費支出が増加して、住宅部門も完全回復を上回ったとの認識を示す。ただ『新型コロナウイルス感染再拡大とソーシャルディスタンス(社会的距離の確保)で最も大きな影響を受けた部門はなお脆弱で、特に労働参加率がパンデミック(世界的大流行)前の水準をなお大きく下回っていることを踏まえると、失業率が6.2%にあることは不足分を過小評価している』と指摘。『回復は完全には程遠い。このため、FRBは必要な限り経済に対する支援を提供し続ける』と述べる。

 

FRBの慎重姿勢が正当化される理由:サプライチェーンの混乱が要因

米2月シカゴ連銀全米活動指数は-1.09と、1月0.66から改善予想に反してパンデミックの影響で経済が封鎖された直後の4月来のマイナスに落ち込んだ。サプライチェーンの混乱によるチップ不足が影響したと説明されている。2月中古住宅販売件数も前月比6.6%減の622万戸と、昨年8月来で最小となった。パンデミックで需要が急増する中、供給が追い付かず、在庫が過去最大の下落率を記録した。今まで経済の中で、唯一明るいスポットだった住宅市場も、建築材料や労働賃金の上昇に加えて、やはりサプライチェーンの遅れで、頭打ちとなっている。FRBの一部高官は、最近のインフレの上昇は、パンデミックにより生じたサプライチェーンの混乱が受給のギャップに影響を及ぼし、一時的に押し上げていることが要因と見ている。景気は回復に向かっているものの経済にはパンデミックの影響が依然、広範に見られており、FRBが指摘している通り、不透明感は強い。FRBの慎重な姿勢が正当化される。

 

欧米市場イベント

○16:00   2月英雇用統計
○16:00   11-1月英失業率(ILO方式、予想:5.2%)
○17:40   ホールデン英中銀金融政策委員会(MPC)委員、講演
○18:55   カンリフ英中銀(BOE)副総裁、講演
○19:00   ビルロワ・フランス中銀総裁、講演
○20:50   ベイリーBOE総裁、講演
○21:30   10-12月期米経常収支(予想:1885億ドルの赤字)
○22:00   ブラード米セントルイス連銀総裁、講演
○23:00   2月米新築住宅販売件数(予想:前月比▲6.5%/87.5万件)
○23:00   3月米リッチモンド連銀製造業景気指数(予想:16)
○23:10   ボスティック米アトランタ連銀総裁、講演
○24:00   バーキン米リッチモンド連銀総裁、討議に参加
○24日01:00   パウエルFRB議長とイエレン米財務長官が米下院金融サービス委員会でコロナウイルス支援・救済・経済安全保障(CARES)法について証言
○24日02:00   米財務省、2年債入札
○24日02:30   ブレイナードFRB理事、講演
○24日03:45   ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、討議に参加

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